3年ぶりに京都に行ってまいりました。
最初の夜は祇園・河原町の個室ででてっちり(ふぐ)料理。子どもは人生初ふぐ。私とオットは何年前にふぐを食べたかどうしても思い出せない。安いか高いかもわからない。押し頂いてまいりました。
祇園河原町ふぐのコース料理にたどりつくまで
ホントは三嶋亭のすき焼き、リピりたかったんですよ。
HP見たら、予約は1か月前からって書いてあったので、ピッタリ1か月前に予約しようとしたら、満席。(3年前は京都の知人が予約してくださった)
…「1か月前から予約受付と書いてあるのに、1か月後が満席表示。」(次はオンライン予約はやめよう。半年前に電話だ。)
三嶋亭にまさるとも劣らない京都の名店でお食事をしたい。どうすればいいんだ…。
ひらめいたぞ。
( 「麻布でフレンチを食べる自分」になってみたいばかりにがんばってみた。)
ダイナーズのエグゼクティブダイニングのお店なら、グレード最優先で厳選されたお店が並ぶはず。
もしかして星の数より多いかもしれぬ京都のお食事どころを探し回るより、よっぽど効率的ではないか。
19店舗ありました。
近江牛、懐石、フレンチ、イタリアンと数あれど。
古都京都でお食事。子どもは肉は食べてもふぐ料理など見たことはないはずだ。
場所も祇園・河原町とくれば申し分ない!
GoToトラベル使えるし、と予約入れたけど、年末年始の旅行で、クーポンは出なかった。ここは心残り。
- 創業は昭和10年
- 京情緒と老舗の味とふぐ料理のフルコースを一気に体験
期待、盛り上がりまくりです!
割烹・ふぐ料理 京都 由兵衛
住所
〒600-8012 京都府京都市下京区西 石垣通四条下ル斉藤町118
電話番号
075-351-1053
公式HP
割烹・ふぐ料理 京都 由兵衛 外観
鴨川手前の西板垣通りに入ってすぐのところにあって、わかりやすい。
昔ながらの通り=狭いということ。石畳の細い路地で、京情緒たっぷり。
しかし道幅が狭い=写真は撮りにくい…。
のですが「祇園」「ふぐ」で舞い上がっている我が家族は写真を撮りまくり、興奮を抑えきれず、つとめて平静を装いながら店内へ。
割烹・ふぐ料理 京都 由兵衛 室内
個室確約のプランを予約していた。
通されたお部屋は
消毒薬つきでスタンバイOK。正直言って、決して大きい部屋ではない。天井も低い。遊びに行ったよその地方都市なら、「・・・」ま、こんなものよね。となってしまうのですけど。
創業昭和10年、地元の人々に愛され続いてきた祇園の老舗名店のお部屋ともなりますと、入れていただいてありがとうございます。との気持ちが先に立つ。床の間の置物や掛け軸もありがたく拝見させていただく。
和服姿の中居さんが入れ替わり立ち代わり(部屋を担当する、とかはないのかも。3人くらい、料理ごとに別の人が来た。)お世話してくださる。
あんまり、愛想はない。(失礼)
かわりに、こちらが質問を重ね、出てくる料理にリアクションを繰り返していくと、次第に口数が増えてきて、いろいろお話を聞かせてくださいます。これって、もしかして個室の醍醐味なのかも。
ふぐの白子とユリ根の茶碗蒸し
生麩とふぐ白子と百合根入り。、ホクッとしたユリ根いり。
生麩に弾力があり、白子はトロッとしていて、百合根はほっくり。と具の食感が全部違う。そして生麩も白子も百合根も、日頃の茶わん蒸しの具材でお目にかかることはほぼない身の上なのでめずらしい。寒い中歩いてきた我々には茶わん蒸しの温かさと柔らかさが骨身にしみたりする。
てっさ(ふぐ刺し) 芽ネギと紅葉おろし添え
お皿の模様が透けて見えるふぐ刺しは、子どもには初体験だった(はず)。薬味はほかに菊。少量、ふぐの皮と身を湯引きしたものもついてくる。
中居さんに「ふぐで薬味を巻いてお召し上がりください」と教えていただく。ねぎ入りポン酢しょうゆに浸していただきます。
淡泊なのにしっかりしている。超薄切りのはずなんだけど噛むと弾力があり、「…今までの生涯で何度かふぐ刺しは食べたことはあるんだが、ココが一番厚切りなのでは」と思ってしまった。材料が違うのか、料理の腕が違うのか。わかれば苦労しないんですけどね~。
ふぐと下仁田ネギと青唐辛子の焼きもの
青唐辛子は京野菜。見た目は唐辛子だけどぜんぜん辛くない。味はピーマンをイメージしていただければ。下味をつけたふぐの切り身と一緒に中居さんが目の前で焼いてくださり、取り分けてくださる。
焼き下仁田ネギはほっこり甘い。ふぐの下味は唐辛子の入ったわりと強めの照り焼き。甘くはないけど、重め。みりんかお酒が強く。色がしっかりつく。
焼き加減はレア、だと思う。切り身はしっかり柔らかく、ふぐ刺しよりも身が厚く噛み応えがあって、ふぐ刺しよりももっちりさ加減を楽しめる。
皮も、火が通っているのに、パリパリじゃなくて、濃厚なジェルっぽい食感。衝撃的だったりする。
そして次からのふぐ料理にも言えるんですが、ぶつ切りにしてあって、骨は自分で外してたべる。「ほとんど骨」の固まりをあててしまうと!? ガラばかりでハズレの気分になったりして。スリリング!? だわ。
あと、わりとびっくりしたのは、焼いている間、「ジュ~」といったたぐいの音がぜんぜんしない。ふぐと野菜だからなんでしょうが、材料の水分がアミの下に一切落ちない。全く煙があがらない。こんな焼き物、はじめてだ。備長炭を使っているそうです。
切り身が大きかった・下味が強かったこともあり、私はかなり満腹度が上がってきた。
白子の炭火焼き
一番インパクト強かった。皮がパリっと焦げ目の風味が入っていて噛みごたえがあり、口に入れると身がとろり。私、ふぐ刺しは食べたことあるんですが、白子焼きはたぶん食べたことないな。こんなに珍しくも美味しく、いままで食べたことのないお味の記憶、ないもの。
家族全員、ここまではるばる出てきた甲斐があった、と感動の気配が部屋に満ちている。
ふぐのから揚げ
骨が多いか多くないかの差が一番出たのがから揚げ。揚げ物にしたせいか、骨についた身をこそげ落として食べるせいか、噛んでもっちりの食感があまり感じられない。もちろんおいしい。
息子は「かぶりつけないのは問題大ありだ」と申しておりました。「8割骨だ」と不運を嘆く声がうるさい!(←ハイテンション)
ふぐ鍋
具はふぐの切り身と白菜、豆腐、春菊、よもぎ麩、湯葉、エリンギ。
中居さんが味を見てよそってくださいます。
いの一番に「奥さん、コラーゲンですから」とふぐちゃんのお目目のところを取り分けてくださいました。うー、こっち見てる…でも、コラーゲンなんだし…と噛まずに飲み込んでしまった。3杯も4杯もいただいてしまった。
うまい! が肉を骨から外すのがめんどい! と息子は相変わらずうるさい。
ふぐのあら鍋、と言いますか、皮も頭もヒレも、くまなくもれなくふぐ全身を鍋にこめ!? すべてをいただいてしまいます。
お店の爪楊枝と爪楊枝入れ。京都だなあ。
香の物
利尻昆布の煮付けは酸味がきいている。煮もの? 漬もの? 浸しもの? わからないがこれもまた生涯初めての食感。生涯初めてのお味。
しっかし、京都のキュウリって、こんなに小さいの? 味と同じく、見た目もお上品だなあ…。
ふぐの天ぷら
から揚げにしても、天ぷらにしても。フルコースでなければ、揚げものでふぐを頂くなんて選択肢は、私にはない。貴重な体験です。から揚げと天ぷらを食べ比べることができるのも、ふぐフルコースならではです。
揚げ物は、けっこう、お腹にもたれます。どんな油使っているんだろう。聞いておけばよかった。
ふぐ雑炊
土鍋いっぱいに出来上がってしまい、全員で一生懸命食べたのですが(私2杯息子3杯オット知らない)半分くらいしかなくならなかった。
お米のつぶつぶ感はなく、どちらかというとおかゆっぽい。ふぐのうまみを味わい尽くさなければ。
水菓子
梨とイチゴを一口大に切って、ミントの葉が添えてある。
コース・お値段・その他気づいたこと・感想
- コースは『【てっちり:フルコース】てっさ、焼きふぐ、白子炭火焼き、唐揚げなど全8品』。
- お値段はコースのみで@19,250円、個室確約だと@21,175円。(個室は10%増し)
- 個室は4室。とはいっても、京都の町屋のつくりなので、続きの間との仕切りはふすまだし、通路を隔てたお部屋の気配もわりと伝わってくる。
- 話し声は多少は聞こえるけど、中身までは聞こえない。隣のお部屋の鍋や焼き物の気配はわからない。
- 個室は2階で、食事を済ませ、1階に降りていくと女将さんが「私は岩手の生まれなんですよ。」とにこやかにご挨拶してくださいまして、光栄です。ありがとうございます! 若きご主人とたぶん若女将さまも店の外まで出てきてくださり、見送ってくださいました。再び恐縮。
- 冬だからふぐのフルコースを選びましたが、夏ははも、四季を通じて京会席を楽しめます。
一生懸命働いて、京都まで出てきてよかったなあ、と幸せな気分で
振り返った祇園の夜景。