京都にお住まいの知り合いの方に、家族で京都行くんですが、良いお店ありますか。とお伺いを立てたところ、間髪入れず帰ってきた答えは
「『三嶋亭』がよろしいでしょう。」
地元の方が太鼓判推すんだもの。行くしかないでしょう!
検索かけてみてびっくりした。
最高級の牛肉の赤身と脂身のレース模様がうるわしく、また大き~いお肉。京野菜の具ははんなり華やか。期待で胸がはちきれそうだったりします。
予約
希望は12月30日。で、予約って、1カ月前からしか受け付けてくれない。(オンラインでも予約可。7日~1カ月前。)しかも人気店だから予約ははっきり言って取りにくい。日が決まったら正座して電話にかじりつかなくては。
そして、HPには出ていませんが、三嶋亭、単品メニューでも料理は頼める。しかし暮れも押し詰まった日の予約、コースのみでお願いしたい。とのお話なので逆らわず、
夜のコースだと
- 花コース(すき焼きの他にお料理とかデザートのお菓子が出る)
1人20,000円。 - 極上月コース(月コースよりさらに上質の牛肉)
1人19,000円。 - 月コース(スタンダードコース)
1人15,000円。
とのことだったので、上質のお肉はお腹いっぱいになるし、すき焼き以外のお料理はこの次でもよいかしら。と月コースでお願いしました。
夜のコースは17時から。お店はお客さん早く回転させたいから、時間早いのは大歓迎なんですね。そして遅れるのを嫌がる。夜の京都のそぞろ歩きも楽しみたかったものですから、夜の部開店時間、17時からでお願いしました。丁度よく、年末年始のシーズン、京都の日没は17時ごろ。暗くなっての入店の方が、テンション上がるし。
入店
source:Richard, enjoy my life!
その昔、冬の京都はオフシーズンだったはずだ。しかし昨今、外国人観光客がどっと増え、一年中人がごった返す。うらやましい話ですねえ。どこも人集めたくてあの手この手だっていうのに、黙っていても人が来る。
三条通りと寺町京極通りのぶつかったトコに明治6年創業、ノスタルジックなガス燈が目印。京都の伝統的な町屋でひと時を過ごせるのもポイント高い(もともとは旅館。改装してすき焼き屋さん。)。地階には直営販売コーナーがあり、地元の京都の方々も、おうちですき焼きをされる時には三嶋亭のお肉を買いに行くんだとか。うらやましい。
開店と同時に入店したため、従業員の方々が総出で「いらっしゃいませ~」と立ってお出迎えの大合唱。男性は和風料理帽をかぶり、ネクタイ締めた板前姿、女性は全員着物で髪を束ね、パリっと糊のきいたまっ白のフリルのエプロンかけていらっしゃる。昔の写真で見かける、カフェーの女給さんがかけてる、アレですよ。
案内されたのは2階で
さりげなく歴史と格を感じさせる写真や昔のメニューなどが飾ってあったりして。
2階はいくつものお部屋に分かれていて廊下も
四方八方に伸びているため、トイレの帰り、迷ってしまいました。
お料理
六角形のコンロと蚊取り線香のような熱線も、考え抜かれて行きついた形。各々の前の置かれた白いのは不織布のエプロンです。部屋を貸し切ったんだ。人目を気にする必要はない。と勝って兜の緒を締めよならぬすき焼き前のエプロンの紐をきつくしばる。
突き出しは大根と牛肉の煮物。柚子があしらってある。ほうじ茶とともに。
お味は東日本の人間の舌にも濃からず薄からず。風味のしみとおり加減がほのかで、ゆずの香りと酸味がアクセント。
箸置きもガス燈の形だ!可愛い~♪
で何か月も前から楽しみにしていた最高級の黒毛和牛が、ついに我々の前に、生で、姿を現すのです。
一人3枚だ~。と素早く勘定する自分がカナシイ;;
三つ葉、ネギ、シイタケ、シラタキ、金時人参、えびいも、ゴボウ、安平麩。
ネギって、青いところ使うんですね。さすが、関西。
海老芋って初めて聞きました。里芋の一種で、季節によってはカブになったりするそうです。粘りはなかった。もっとも、しっかりアク抜きしてあるのでしょう。
目の前で、仲居さんが焼くのも味付けも全部やってくれる。ハタチくらいの可愛い女の子でした。息子よ、京美人を真近にできてよかったね!京都弁で、鍋の盛り付けも味付けも手際よく、お料理の説明もテキパキしていてすがすがしい。
南部鉄器の鍋は温まり、牛脂とともに最高級の黒毛和牛は鍋に入り、秘伝の割下がかけられ、そして仲居さんの白い手で白砂糖はさらさらと振り入れられて(関西はすき焼きに砂糖が入る)
「さ、召し上がってください。」と食べごろを教えていただき、まずは極上の1枚めを頂戴しました。
砂糖が入ってますから、当然、甘い。割下は黒だから醤油が入っていますが、甘しょっぱさがマイルドで、正直醤油の風味や塩っ辛さはあまり感じられない。しかし、ただ焼いただけの牛肉の味くらいわかる。肉の脂とうま味を引き立てる砂糖であり、割下であり、食べごろの温度なんですね。よそで食べたり、家ですき焼きの素使って食べるすき焼きみたいに、割下の味が表に出てこない。で、美味しいのです。
続いて、鍋に牛肉のうま味が残っているところに具が入り、再び割下と白砂糖。
青ネギが美味しいんですよ!柔らかくて辛味が全然ない!青ネギは辛いし固いから。の固定観念が覆る!(日ごろはスーパーの白ネギと万能ねぎしかお目にかかれない)
九条ネギという、伝統的・由緒正しい京野菜。初めて食べた!こんなに美味しいなら、ウチで家庭菜園で、作れないかしら。
ゴボウが太い。堀川牛蒡というこちらも京野菜。これもあく抜きしてあるのかクセがないですね。
もちろん卵はおかわりできます。お店の方にお願いすると、卵をカチっとわり、からざを箸でスッと取って、小鉢を渡してくださいました。もちろん卵も三嶋亭専用。(養鶏場を持っているのだろうか)
具が程よく減ったところで2度目の牛肉を投入。
そして3度目の肉・野菜投入。
最後にご飯とお漬物と特製の牛肉のしぐれ煮(お土産に最適、日持ちもするしお値段お手頃)で
デザートはリンゴのコンポートにシナモンをかけたものとイチゴに粉砂糖をまぶしたもの。
お手洗いの写真も撮ってきました。
ボウルも水栓も古都らしく風情に富み
当たり前ですが、清潔。
お会計を済ませ、「ありがとうございました~」との声を背にお店を出たのは18時半。(注:お酒を頼んだのはオットとお店を紹介してくれた知人のみ)
まとめ
ずいぶん前、浅草の超高級店ですき焼き頂戴したことがあるのですが、割下が筆舌に尽くしがたいほどに辛く、また肉にサシが入りすぎ、2枚でギブアップしてその後胃もたれに苦しんだ経験があり、また家でスーパーの牛肉・割下・卵買ってきてすき焼きしても、家族のリアクションはいまひとつかんばしくなく、よって我が家ではすき焼きの地位は低かった。しかし材料と腕が変わると料理はここまで変わる。お肉はもちろんなんですが、野菜が美味しい!超おいしい!
三嶋亭のすき焼きは胃もたれなんかしません♪味も東日本の我が家族、脱帽、でした。世界中からやってくるお客さんも、みなさんきっと同じ。だから145年、続いているんですね。また行きたいな~。
おまけは
満腹・満足・すき焼きで体も温まり、夜の京都を散策し、連れていっていただいた幕末・新選組ゆかりの地、「池田屋騒動」の跡地。
今は居酒屋さん。