南会津に行ったなら、ぜひとも極めておきたい老舗のフランス料理レストラン、「Chezやまのべ」の紹介です。
Chezやまのべ とは
住所・電話番号
福島県南会津郡下郷町大字湯野上字舘本乙1316
0241-68-3585
完全予約制
概要
シェフの山野辺宏さんは
1956年、福島県のいわき市生まれ。
東京エアーターミナルホテルを皮切りに
本場フランスや銀座レカンで修行を重ね
葉山の「ラ・マレード茶屋」の三代目総料理長。
伝説の料理番組、「料理の鉄人」に出演し、鉄人シェフに勝利した。
の輝かしい経歴をひっさげて、
自らのレストランの場所として選んだのが、
人口5,000人の豪雪地帯、福島県・南会津の下郷町!
重要伝統的建造物群保存地区として名高い「大内宿」から車で15分ほどの、
よく言えば大自然に囲まれた、別の言い方をすれば、すごい田舎で山の中。
小さいお店なので完全予約制かつメニューはおまかせコースのみ。
(ランチは12:00ごろ、ディナーは18:00ごろに行けば良い)
しかもランチが税抜で3,500円と5,000円のコース、
ディナーが税抜10,000円のコース。
と地元の人はビビってしまう価格帯。
世界規模でいけば、
ものすごい僻地に高級レストランを構え、目の玉の飛び出るようなお値段で、でも世界中から予約が殺到する超セレブなテストランも確かにあるけど。
日本で、東北で、福島の、奥会津で
スターシェフが腕をふるう。
交通の便の悪い立地にあえて店を出す。
材料は華麗な経歴を活かし、厳選された肉や魚をその都度送ってもらい、
野菜などはできる限り地元の食材を使う。
当然地元の人が気軽に常連として通える店ではなく、
山野辺シェフの料理を食べるためなら万難を排して駆けつける!
熱意と行動力がなければ、シェやまのべさんのお料理はいただけないのです。
との
話題性とストーリー性とオリジナリティで、
オーナーシェフレストランとして
福島県内では抜群の知名度を誇り、
1996年のオープン以来、もう20年以上、トップの座を譲らない。実力の証です。
お店の雰囲気・外観
緑濃いエントランス。
玄関が見えてきます。
薪が置いてある。
入口。
入ってすぐ右。毛皮はなんと、熊! とマダムが教えてくださいました。
シェフは狩猟もなさるとかで、猟銃も飾ってあった。ジビエ料理がメニューに載ることもあるのでしょう。
やや肌寒い日の夕方でした。予約の10分前くらいにお店に入りました。中は暖房でしょうか。ほんのり心地よく温かい。
外観はテラコッタ色の、フランスやイタリアを思わせるたたずまい。
中は正統派フランス料理を心豊かにいただけそうなおもむきです。
焼き菓子のコーナー。
「十念スティック」「花豆タルト」「しんごろうサブレ」「熊油」など、地域色を活かしたものばかり。
料理(ディナー)
一口前菜・ずわいがにのキッシュ
1コだけ出てきたのにはわりと驚いた。焼き立てのアツアツです! 厨房との距離の近さがよくわかる。野菜が細かく刻まれて入っている、中には分厚いずわいがにが豪快に入っている。のが、普通のキッシュと違う。そしてどこまでも舌ざわりが滑らか!まろやか!
オードブル・あわびのステーキ
あわびに賽の目の切れ目を入れて焼き上げてある。
サラダ風オードブル・お刺身サラダ
色とりどりのお刺身を柔らかい葉野菜とドレッシングであえてある。細い千切りはポテトフライ。カリっと揚げてある。
パン
ひと皿ひと皿、ソースの味が違うので、もれなく味わえるように、丸パンが出ました。バター・ジャムはなし。肉料理の前にもう一度「パンのおかわりはいかがですか? 」と聞かれる。
柔らかく、皮も薄く、ちぎるとふわっふわ!
魚料理・霜降り鯛のリゾット(えびソース)
ソースはエビかな? ブイヤベースがベースかな? の上にリゾットがスプーン2~3杯ぶんくらい。の上に鯛。の上に青菜。
正直、どの料理もにぎりこぶし大なので、腹5~6分目、あたりなのですが
肉料理・福島牛のステーキ
赤身でありながら脂があるので、大きさとしては5~6センチ角くらいの大きさなのに食べ終わると丁度満腹になります。焼き加減は聞かれませんでしたが、レア~ミディアム。季節の旬野菜を添えて。
デザート
クリームブリュレと
オレンジ、チョコレートケーキ、バニラアイスクリーム、クッキー。
コーヒー
所要2時間でした。
感想
一口で言えば、
「美味しいんだけど、町場のレストランと比べてしまうとちょっと面食らう。」ですね。
予約を入れたのは1ヶ月くらい前。
「ランチですか、ディナーですか」と聞かれる。
「ディナーで。」と電話口で言うと
「ウチのディナーのお値段、税抜き10,000円なんですけど。」とマダムがおっしゃられ
「いいです。4人でお願いします。」と答えました。
当日は
マダムがお料理を持ってきて下さるのですが
「○○(←素材名)の○○(←調理法名)」
(例:福島牛のソテーです)
と一言だけ。
ほかに使われている食材や、ソースについての説明が一切ない。
また、私たちが行った日は予約は私たちだけの貸切状態。
福島の人はですね、聞かれたら、しゃべるんですよ。
ただ、聞かれもしないのに、余計なことはしゃべらない。
もうちょっと詳しく、お料理の味付けやこだわりの食材のことなどを教えて欲しいのですが~。
マダムはすぐ引っ込んでしまう~。
私たちもわざわざ呼びつける度胸もなく~。
びん詰めのウォーター(車で行ったのでお酒が飲めない)を置いて、
声をかける間もなく引っ込んでしまう~。
他にお客さんもいないので、テーブルに料理を運び、戻るタイミングで声をかけるコトもできない~。
「呼べば来て下さる」のはわかるのですが。
呼べばいいんですが。
聞きたいことがあるならきちんと聞けばいいんですが。
…遠慮して、聞けなかった。
見た目は家庭料理の延長のよう
そして、盛りつけが超シンプルなんですよね。
例えば、
最初の一皿のキッシュにしても、演出はない。
野菜料理も魚料理どれをとっても
一口大に切った素材を調理して
極論すれば
「肉野菜炒め」状態で出てくる。
もちろん
選び抜いた食材
究極の腕を絶賛されたシェフの味付け
良いテーブルセッティング
一口一口を味わえる絶妙な量
温・冷、ちょうどいいタイミングでいただく
のですから家庭料理とはレベルが違うに決まっているのですが。
都会でフランス料理のディナーなどいただくと、
選択肢が多いでしょう。
オードブルも魚料理も肉料理も、いくつもの種類の中から選べる。
デザートとかは、ワゴンに満杯の何十種類もある中から1つか2つ、選ぶことができる。
組織と個人の差。
「一見肉野菜炒めみたいなんだけど、味付けに文句なく、食べてる途中は出てくる料理の味を楽しみ、ステーキを食べ終わると脂で丁度満腹になる」料理が、山野辺シェフの行きついた結論なのかも。
厨房の音がダイレクトに客席に伝わる
もっとはっきり言うと、デザートとコーヒーの時に、
厨房で、店じまいを早めるために食器や道具を洗う音が響いてくるんですよ。
それも、おとなしい音ならまだいいんですが、
かなり荒っぽい音が…。
貸切なので他のお客さんの気配でかき消す、とはいかなかった。
ここはちょっと減点させてほしい。
スタッフは3名でした。シェフとマダムと、厨房に男性1人。
お皿が次々と運ばれてくる間は
私たちは、お食事をいただきながらも、おしゃべりに夢中だったので、
煮たり焼いたり、お皿を出したり並べたりする音は、
全然聞こえなかったんですけどね~。
まとめ
福島で、会津で、南会津で、一定レベルのレストランで食事したいのであれば
必ず候補にあがる店であることは確か。
味には文句はつけようがありません。
…だから、
やっといただくお料理なのだから、
食べさせていただけるだけで良し、としとかなきゃならないんだろうなあ。
が率直な感想。
山野辺シェフも還暦を過ぎ、
「来たい人にだけ来てもらえばそれで充分…」
のスタンスなのかも、のお店です。