京都の知人のお話では
「炭屋さんはお料理が有名。そして炭屋さんで修行した板前さんがお店を持つと皆成功なさる。」のだそうで。
観光タクシーのドライバーさまには「昼食、どないしはりますか」と聞かれ「夕食は炭屋さんでいただくんです。量は少なめ。胃もたれしないお店でお願いします。」とこちらの要望を申し上げたところ、納得のご様子でした。
食べた順番に。
大晦日の朝食
食事は自分たちの部屋とは別に、隣にテーブル・イス式のお食事用のお部屋があります。ただしお部屋の収容人数は1組。他のお部屋のお客さんと顔を合わせることはない。7時半・8時・8時半から選べる。
「御仕度できました」とお声かけをいただき、ダイニングルームに並んでいたのは
- 味噌汁
- 焼き鮭
- 茶碗蒸し(フタ付き)
- 炊き合わせ(フタ付き)
- 和え物
- 煮付け
- 香の物
- お浸し
- 香の物
ほかにおひつの白ご飯。よそってくださり、(おひつ丸ごと含め、おかわり自由)
そして卓上には銅の湯豆腐セットがあって、こだわりのあつあつの湯豆腐が出ました。
京都だからお味噌汁は白みそ。砂糖入ってますかと聞きたくなるほど甘い。しかししつこくない。ネギは九条ねぎなので大きめ斜めに切ってあり、口当たりが柔らかく硬くない。
大晦日の夕食
[先付]
湯葉と三つ葉(細くで柔らかい)の上にカニ、カニの上に舞茸の天ぷら。青菜の葉先と金時人参を細かく千に切ったものを立てて。お味はわずかに酢の気配。
[向附]
ひらめと本まぐろとぐじ。京都では甘鯛のことを「グジ」と呼びます。
冷酒は炭屋オリジナル。
[煮物椀]
しらか(八つ頭)、ぐじ(甘鯛)、椎茸、生麩、三つ葉、柚子
とろ味がありだしのうま味と塩味。柚子の香りが効いている。
氷魚の炒め煮。 山椒、酢、塩、桜海老。
[お凌ぎ]
紅芯大根の大根おろしと岩のりを上にあしらったとろのお寿司。
[焼物]
さわらの白みそ幽庵焼き。ゴボウの白ごまあえ。松葉をあしらったキノコ。
幽庵焼き(幽安焼き、柚庵焼き、祐庵焼き、ゆうあんやき)は、和食の焼き物のひとつで、幽庵地(醤油・酒・味醂の調味液にユズやカボスの輪切りを入れたもの)を用いた魚の付け焼き。
江戸時代の茶人で、食通でもあった北村祐庵(堅田幽庵)が創案したとされる。
アマダイ、マナガツオ、イナダ、サワラ、カマスなどの魚の切り身や鶏肉などを、醤油、酒、味醂を1:1:1であわせ、ユズの輪切りを加えてつくった漬けダレである「幽庵地」に数日間漬けこみ、汁気を切った後に焼き上げる。 「Wikipedia」より。
朴葉に包んで焼き上げてあります。草の香りがする。
開くとさわらの他にレモン、銀杏、生麩が入っていました。
味噌漬けで数日置くなら作り置きできますね。今度やってみよう。
[焚き合せ]
百合根饅頭。お饅頭の中にはショウガ風味のきいたひき肉餡入り。まわりは岩のり。上にワサビをあしらって。
近江牛のビーフカツ
からしとレモンとポン酢和えの大根おろしとブロッコリーとカリフラワー添え。
[酢の物]
つぶ貝とほっき貝のぬたあえ。
上にあしらってるのはブロッコリースプラウトでいいのだろうか。それとも由緒正しい京野菜なのだろうか…。
[御飯]
「ひごなごはん」と説明があったのですがいくら検索かけてもわからない。細ぉ~い昆布がちらしてあります。香の物を添えて。
[留椀]
にしんそば。
京都名物ですね。にしんと言えば、身が薄く、脂が強く食感がぼそぼそしてる~、のにしんしか食べたことがなく、今回の京都旅行でも「京都名物にしんそば」ののぼりにもいまひとつ乗る気になれなかった。
しかしにしんそばがこんなにおいしいものだとは!にしんは身が厚く、柔らかに口の中で崩れ、甘辛風味がそばとこよなく相性がいい。知らなかった!人生損した!のレベル。家族も全員、「おいしい!」と喜んでいる。
なお、にしんの上に乗っているのはお団子状に丸めた青のり風味の大根おろしと柚子です。
[水物]
キウイフルーツ、いちご、グレープフルーツ、オレンジ。
元旦の朝食(おせち料理)
まずは昆布結びと梅干がおめでたい昆布茶を頂戴し
松の枝と金箔とちょろぎをあしらった竹筒の中に入った黒豆。
田作り。
数の子。鰹節をあしらって。
これで2人前。
そして和服姿の京美人のお部屋係さまがしずしずと華やかな水引きをかけたお屠蘇セットを運んでこられ、一家の長たるオットに4段重ねの一番下で一番大きい盃をすすめ、オットは鷹揚に受け取り、お屠蘇は注がれ、オットは飲み干す。
オットも生きてこんな日が来るとは想像もしていなかったことでありましょう。
良かったね!(残念なことに写真を撮り漏れた)
その後、順番に残りの人間もお屠蘇、頂戴しました。
そしてお膳が運ばれてきます。
ふたを開けたら
お雑煮は白みそ仕立てで中には丸もちの焼き餅。
たぶん紅芯大根と生節を短冊状に切ったもの、小ぶりの蕪を丸のまま。辛子のせ。
お重の中身は
- 堀川ごぼうの煮つけ
- 角煮
- えび
- あわび
- 焼き魚
- 生麩
- うなぎの卵巻き
- 松をかたどったれんこん
- 色とりどりの昆布巻
- 栗
でした。
興奮して感動の朝食を終え、いくら待ってもお部屋係さまはお見えにならず、元旦だもの、お忙しいのよね、と一同が部屋に戻ると、ほどなく
今年は戌年。可愛い焼き印のはいったお饅頭が運ばれてきて、次にお抹茶をいただきました。
お勘定を済ませ、呼んでくださいとお願いしたタクシーはピタリ時間どおりに到着し、無事新幹線に乗ることができました。
まとめ
- 東国の人間に合わせて料理の味を変えてくださったのかどうかまではわかりませんが、京料理と言えば味つけが薄いというイメージがある。しかし頂戴したお料理に「これはちょっと…」的なものはなかった。とてもおいしかったです。そして量もぴったり。食べきれる丁度の量がその都度運ばれてきて、食べ終わってすごぶる満足。それでいて次の食事に響かない。おせち料理なんか、重いから、後を引きそうなものですが、平気で昼食、食べました。
- 強いて言えば、強い味付けのものがない。焼き物なら塩が効いている、酢の物なら酢の風味が残る。甘辛なら甘くておいしい。がない。どの料理も素材の味が前面に出て、だしを効かせ、甘さはあくまで奥ゆかしく、塩味も味噌も酸っぱさもほのかに感じられる。が会席料理なのかな。なにしろ一流旅館の料理など、そうそう食べる機会はないので、押し頂いて食べさせていただいて帰ってまいりました。
そりゃ、泊まってみたいけどなかなかね。の方。
炭屋さんはお食事だけでも予約、できます。
夕食で27,000円、21,600円、19,440円の3コース。
個室の和室(椅子席を希望する場合は前もって知らせる)で一流旅館のお料理をいただけます。
珍しいトコでは、炭屋さんって、いまどき喫煙可なんですよ。
愛煙家の方、「一流旅館で食事だなんて、めんどくさい」と渋る愛煙家のお父さんやおじいちゃんを連れて行くには助かりますね。
そして、部屋の中は喫煙可ですけど、私たちが泊ったお部屋も、お食事をいただいたお部屋も、お掃除と換気が行き届いていて、喫煙の気配・匂いはない。
毎日働いて、辛いこともイヤなこともあるけれど。
素敵な場所で素敵な方々に優しくしていただいて、
大事にしていただいて、
おいしいお料理を頂戴して幸せな気持ちで帰ってくることができました。
また、行きたいな。
のために、明日からまた頑張ってみよう。