「息子が帰省中だからラーメン食べに行こう」
前回は喜多方ラーメン。今回は白河ラーメン。
代表する名店といえば唯一無二のお店
「とら食堂」
ここしかない。
2017年にNHKの「プロフェッショナル・仕事の流儀」に取り上げられ、放送前からラーメン好きの間では押しも押されぬ老舗で通っていた「とら食堂」は、だめ押しの一撃で白河ラーメンを全国区に押し上げた。
白河ラーメンは
- 首都圏からは新幹線で1時間ちょっとで到着、「新白河」駅もあり、新幹線通勤をしている人も多い。首都圏の人でも比較的行きやすい東北の最南部にある。好アクセス。行きやすい。
- 現在の店主は二代目であり、初代が作り上げた伝統の味を守り・引き継ぎ、父の志を継いで超超人気ラーメン店へと成功させた、といまどきの「家族・絆」のストーリーがドラマチックである。
お会計の時、二代目のご主人御自らが応対して下さったんですよ。
「とら」なんて名前がつくし(初代のご主人の名前が「寅次」、「とらの店」だから「とら食堂」)、頑固で怖そうなのかな~とか勝手にイメージしていたんですが、とても物腰が柔らかで、「…道を究めた人って、謙虚なんだよな~。偉ぶったりする必要ないんだしな~」と感じ入ったのでありました。
開店時間(11時)に店に行ったら100人待ちだった。との口コミを読んでいたため
開店2時間前を目標にとら食堂に向かい、9時を少し回ったところで店に到着。
紙に名前と人数と来店時間を書く。紙には呼ばれる時間の目安が赤字で書いてある。
すでに8番目。
1人で来ていた女性客の方とちょっとお話したのですが
「新幹線に来て、バスを乗り継いで来ました。11時開店なんですけど、帰りのバスは13時のしかないんですね。(注:土曜日)レンタサイクル借りようかと思ってたら、バスが来ちゃって、乗っちゃって…。帰りどうしよう。」
とおっしゃってました。
ラーメン店のとなりには、ラーメン御殿!?二代目当主、「竹井」の表札のかかった大きなお宅。「ラーメンって、儲かるんだ…」としきりに感心したりして。息子よ、サクセスストリーを目の当たりにして、刺激を受けてくれ!
名前を書けばあとは自由時間です。10時半くらいに戻ってくればちょうどいいだろう。1時間半。
とすると、豚に真珠、猫に小判とはわかってはいますが、
白河の関跡
に連れて行きました。
「都をば 霞とともに 立ちしかど
秋風ぞ吹く 白河の関」(能因法師)
百人一首にも採用されている、有名な歌なので、日本人のたしなみとして、覚えていても損はない、現地で実物を目の当たりにすることで記憶の焼付度アップ。の教育的効果を狙う。
持って行ったカンペの和歌を読み上げ、「知っているか」と聞くと
「聞いたことあるような気がする」との答え。
白河関は、8世紀には文献に記録がある(朝廷が蝦夷からの襲来に備える国防目的)。「寛政の改革」で有名な松平定信公の指揮による調査で1800年、場所が特定された。
仙台の地方新聞「河北新報」の『河北』は「白河以北一山百文」からとられている。
とカンペの続きを読み上げてから中に入ります。
入場無料。あたりに人影はなし。貸切です。
(山の奥に神社はまつられていますが、無人)
緑深く、マイナスイオンしゅわしゅわ~。パワースポットっぽいオーラたっぷり。昨夜は雨で、地面や木々のじっとりさ加減が雰囲気を盛り上げ、往事の栄華と繁栄を偲ぶ。
樹齢800年の「従二位の松」は気品と風格に満ち。由緒正しくすがすがしい。
1,000年前のお堀の跡(記録が残っていないし研究も進んでいないから正確な起源がわからない)なんかもしっかり残っている。
白河ラーメン食べにいらした方、順番待ちの間にぜひどうぞ!
「とら食堂」に戻ります。
再びとら食堂
とら食堂は、広大な田んぼの中、日本の典型的な中山間地の農村地帯のど真ん中にあります。
息子は「こ、こんなトコロ(田舎)に日本有数のラーメンの名店があるのか」と感銘を受けた様子。
10時半に再び「とら食堂」に戻ると、お店の前と駐車場は1時間半前とは打って変わっての大混雑。車もどうやら置けた。(30~40台とめられる駐車場は県外ナンバーがザラ。満杯に備えての臨時駐車場も店から徒歩5分くらいの場所にある)
沿道には「とら食堂」こちらです、との看板がそちこち立っているのでわかりやすい。それでも、たんぼの真ん中の譲り合うしかない、1車線の道路に、都会の人はあるいは、面食らうかも。
10時55分に入店できて、頼んだのはメニュートップの手打中華そば+半熟煮玉子。700円+100円。
私は看板の写真を撮りに行っており、いの一番の注文ができなかった。20分くらい待ったかな。
とら食堂は白河ラーメンの発祥地であり、総本山。特徴は
- あくまでこだわる自家製手打ち麺
- トッピングに「ほうれん草」と「海苔」がつく
- チャーシューは豚バラではなく「豚モモ」なので、「パサパサしている」と言う人もいるし「あっさりしていて食べやすい」という人もいる
- メンマはわりと味が濃い
- スープはよく目をこらすと脂きらきらなのだが、脂のクセ(味・香り)がほぼないため、口に運んでも脂の気配が感じられない。「鶏脂がメインで、豚脂も多少入っているのでは」とは息子の推理。
- ダシをきかせたやや薄めの醤油味
と昔風の「支那そば」「中華そば」を洗練させて、今日・現代の我々も思わず支持せずにはいられないスタンダードな一杯を作り上げたところに、偉大さがある。
店を出て、息子いわく
「喜多方ラーメンより白河ラーメンの方がウマイ。」
手打ちの中細縮れ麵がいたく印象的だったご様子です。
薬味用のみじん切りのタマネギがテーブルに置いてある。
お店にはお土産用のラーメンもあり、
二代目のご主人は、本も出版されている。
帰り道、「バスで来ました」とおっしゃってた女性・おひとりさま、歩いて白河の町中まで戻る途中でした!「乗っていきませんか」とはいちおう声をかけてみましたが、「いいです」とのこと。距離5km、所要1時間!
いまの屋
「いまの」は「今野」。「今野さんがやっているお店」だから「いまの屋」。
ナビに従い、さて、「とら食堂は2時間待ちなら次のお店も2時間待ちだろうか。待ち時間の間、腹ごなしに散歩しなくては」と「とら食堂」から車で30分あまり。 めざす「いまの屋」につくと、
駐車場の車は10台前後。つまり、そんなに待たなくても中に入れそうだ!
息子は順番取りから帰ってきて「あと3組。8人待ち」
入れるとわかれば、「とら食堂」のラーメンはあっさりめ、ほどよくお腹が満ち足りたあたりであり、もう1杯くらい、ラーメン、食べる気になれば入る気がしてきます。
白河の地元の人は「とら食堂」には行かない。おすすめは「いまの屋」、と聞かされていたのです。
そして白河のラーメン屋さんは「とら食堂」に弟子入りしてのれん分けして自分のラーメン店を持ち、独自のアイディアでしのぎを削る「手打ち麵」の名店が揃っている。
「いまの屋」さんの看板メニューは「味噌ラーメン」。
さらには、息子さんがやっている「二代目いまの屋」は、手打ち麵では白河で最高!の意見多数。
と、歴史と伝統が、店構えからも伝わってきますね。
店の中の写真を取り損ねてしまいましたが、
- お店の中に空席はあるのに、名前を書いたお客への呼び込みはまばら。
- 女子高生・週末のアルバイトと見た女の子の応対は素朴・ぼくとつ。
- 隣の席は若夫婦・小さい男の子・おじいちゃんとおぼしき家族連れ。
- おじいちゃんにはみえないおじいちゃんの男性は「やっぱりココは味噌ラーメンだよな~」とそのまた隣の席に気さくに話しかけている。
とアットホームな雰囲気は、「とら食堂」とは好対照。
でてきたラーメン。
息子は、待ち時間の間に知恵をつけたらしく、
名物「味噌ラーメン」
「いまの屋」と「とら食堂」との違いや、お店の特色としては
- 看板・評判どおり、手打ち麵がウリ。麵はやや太麵で、アフロヘアでもあるかのごとく、縮れというより凸凹麵を言っても差し支えないかのよう。歯ごたえともちもち感、麵のスープとのからみ合いが相性が絶妙でして。
…、私、間を置かずにラーメン2杯め、完食してしまいましたよ~。 - 息子の頼んだ味噌ラーメンは、スープだけ少し飲ませてもらった。唐辛子色が夢とロマンにあふれている(私は辛いものが大好き派)スープは辛いけどあまり脂っこくなく、サラっとしている。
- 味噌ラーメンのトッピングはもやしとおろしニンニクとチャーシュー。
- トッピングは海苔・ほうれん草、メンマ・豚もも肉のチャーシュー・海苔・ネギ。
まとめ
喜多方ラーメンより白河ラーメンを評価する、との息子の言い分をもう少し聞き出してみると
- 手打ち麵の個性が強く、ユニークである。
- 喜多方はスープの味が強烈だったり、チャーシューの味が濃かったりと、パーツパーツの個性を表現している感がある。
白河は突出して強い味がないかわりにラーメンをトータルで味わえ、バランスに優れラーメン全体の完成度は高いと見た。 - 本来脂ギトギトのラーメンやチャーシューでなければそうそう高評価は出さないのだが、豚ももパサパサチャーシューも、脂を感じさせない白河ラーメンも、支持できる。
- トッピングのほうれん草はふっくらしておらず、シナシナしている。冷凍ほうれん草を解凍したっぽい食感。しかしあまりにふんわりしたほうれん草だと、スープを含んだほうれん草となり、口の中では水っぽい味となってしまう。けっこう少なめの量&シナシナほうれん草は、この場合、支持する。
若造のくせに、上から目線の口のきき方、
どうかお許しください<(_ _)>
次の帰省の時にはリピートし、3店め・4店めを極めてみるか、それとも新天地に攻め入るか!? と聞いてみたところ
「考えとく」とのことでした。