ひとみにカルチャーショックを。

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職員採用試験官のはしくれだったころの思い出話を書いてみる

わりと遠い昔になりますが、職員採用試験、3・4回は行っている。

試験担当業務だったのではなく、試験当日に駆り出される現場要員。

お休みの日にあたったりすると代休がもらえる。

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ピアノの実技の案内係にあたった

ピアノの腕前を審査するのではなく、受験生の控室からピアノのある部屋まで送り届け、終わってから次なる会場へ連れていく係。

朝は受験生の1~2時間前に会場に到着し、動線を入念にチェック。

当日の現場監督官からは「試験を受ける前の人と試験が終わった人が顔を合わせることがないように」とのお言葉を賜る。

いっぺんに7~8人をピアノ室に連れていく。

戸はしまる。でも中の音はまあまあ聞こえる。

  • 演奏を始める前に受験番号を言ってください
  • 各自の演奏の持ち時間は1分間です。時間がきたら合図しますのでそこで演奏を止めてください
  • 空調で楽譜がめくれないよう、文鎮を使ってください

そして

「では、日ごろの練習の成果を発揮して下さい。」

の言葉のあとに、受験者のピアノ演奏が始まるのです。

 

曲目はバイエルの何番かで、難易度はたいしたことない。

繰り返し受験者の演奏を聴き続け、私ですら運指くらいはできるようになった。

 

面白かったのは

同じピアノ・同じ(しかも超簡単)曲なのに、たった1分だけなのに。弾く人が違うってだけで、聞いた感じが全然違う!

たとえ素人であろうとも、鍵盤を叩いただけで個人差ってあるんだなあ、と。

  • 柔らかな、淡い音調でいかつい男の子が演奏したりする。
  • ポツンポツンと1つ1つ叩くように弾いて、それでもノーミスで弾き終わる女の子もいれば
  • ペダルを多用し、鮮やかに軽やかに弾きあげる子もいる。

 

たった1分でも。小品・小曲であろうとも

素朴・真面目・流麗・堅実・奔放・天真爛漫・思索的…。とカラーがことなる。

「書は人なり」とか聞きますが、うーん、ピアノもまたしかりだ。と聞きほれておりました。

 

もちろん、試験なので、全員緊張しまくっている。

指が思うように動かず、途中で止まる・つっかえる・戻ってまた弾き始める。

持ち時間の1分で、曲の半分くらいまでしか進まない受験生もいた。

 

戸のすき間がほんの少し開いていたので気取られないようにのぞいてみると、試験官は2人。

手前の1人はストップウォッチで演奏時間を測り、演奏が終わるとマルを1つ、つけるだけ。

評価の基準が1つしかないのか。それとも計測だけが役割の試験官なのだろうか。

 

ちなみにペーパーテストは前もって実施済みで、実技試験もピアノのほかにまだいくつかある。

ピアノをミスったという理由で試験の合否が決まるとも考えにくい。実技試験ということで、少なくても試験をする側はわりとリラックスしていたような…。

 

 

やる気のなさ丸出しの異質な人が少なからず混じるペーパーテスト

ペーパーテストは普通に試験担当官。2人組。

1人は前に立って注意事項や「はじめてください」「おわってください」の声かけ。

説明も、厳格にトーク時間が定められており時間が余り、「あー」とか「うー」とかで伸ばしていたのはご愛敬。

私は試験用紙を配ったリ、時間中に机の間を巡回したり。

真夏で、狭い部屋に机・ イス一体セットがすき間なく並んでおり、 冷房は入っているはずなのに受験者で部屋は満員のせいか、クラクラするほど蒸し厚い。

 

しかし、やる気のなさそうな受験生って、けっこういるもんですねえ。

 

子ども都会の大学に出し、就職はあわよくば地元に戻ってきてほしい。

とにかく試験だけでも受けてみろ。

受験申込は親が出したんじゃないのか。

試験会場まで行き帰り親が送り迎えしているんじゃないか。

とみまごう、

 

ビリビリ緊迫したほかの受験生とは一線を画す、さめた顔つきの、いかにもつまらなそうな、顔の良い、あか抜けたシティ・ボーイ(今こんな言葉使うのかしら)がぼつり・ぼつり。

テストは早めに解答終了し、虚空を見つめている。熱のこもらない視線、ボクはこんなとこいる人間じゃないんだ的の透明なオーラがある。

 

ニ次試験まで進める子はこの部屋にいる子のほんの一握り。

採用する側にしてみれば、間ロは広く、できるだけ多くの人に来てもらい、その中から明日を担う若い人材を登用したい。

 

私も採用試験のためには過去問をずっしり買い込み、眠気ざましに夜中にリポⅮ一気飲みして勉強し、

当日にはせいぜい必死でつめこんた知識がこぼれおちないよう試験に臨んだ遠い記憶がある。(基本真面目な性格)

 

真夏の試験だし、リクルートスタイル必須はニ次試験からです、との告知があらかじめされており、受験生はあらかたTシャッスタイル。ランニングシャツ姿で来た猛者もいた。

 

多分私と同類なのであろう、ダサい(失礼)が試験に受かれば来るつもりの初々しい子と、年齢制限ギリギリまでトライし続ける勢いの脂ぎってお腹の出たおじさん(再び失礼)なども入り交じり、8割男性の試験会場は男臭く汗くさいカオスと化しておりました。

 

試験終了。山の中の試験場(なぜこんな会場なのかがよくわからない)前は親御さんの迎えの車でごった返す。車のグレードを限界まで落とした夜の六本木のようだ。

私は車に戻り、パンパンに氷をつめこんだ子どもの運動会用の特大保冷水筒の冷水を一気に飲み干したことでした。

 

 

採用すべき人材ははたしているのかと心配になる

わが職場の採用すべき人材は多岐にわたり、枠が小さくニッチな職種であれば、受験者が来てくださるだけで御の字。

かといって受験資格を満たしているというだけで無条件採用はできない。一通り専門知識やー般教養や人柄を問う。

 

受験番号もまともに書けない試験会場にブチあたったことがある。

 

試験官業務に先立ち、にわか仕立ての職員を集めて打ち合わせなども当然ある。

これまた当然ですが

受験生への教唆・教示などはもってのほか。とレジュメに書いてある。

しつこいですが決まりきったことです。くどいですが言われなくてもわかります。

 

しかし。当日、試験会場に座っているのはまだ子どもの面影をとどめた、赤ちゃんのようなピュアッピュアな面々。

解答用紙に受験番号と名前が入っていないのを見つけた時は、心底悩んでしまった。

不安に駆られ、受験生全体を巡回したところ、

受験番号または氏名の記入に問題あり。1人や2人じゃない!

 

やっちゃいけないのはわかっている。

しかし。抜けていたのではこの子たちの合格の可能性は消滅してしまう。

 

固い職場なんだから、地元に就職できるんだからと学校の先生に言い含められてきたのだろうに。

先生もこの子たちに試験を受けさせるまでの指導にさぞや心血を注ぎこまれたことでありましょうに…。

 

この場を借りて懺悔させていただきます。

解答用紙の受験番号または氏名の空白欄、指差ししました。

真に公正な選考は、行われなかったことになる。

 

しつこく繰り返しますが基本私は真面目な性格。

 

受験者すべてを同じ条件で能力を測るための職務命令に逆らったうしろめたさ。

今でもふとした拍子に思い出し、後味の悪さに苦しめられています。

とはいえ、黙って見過ごしていても、たぶん「あの時私はどうするべきだったのか」はつきまとったと思う。

 

 

どストライクの人材は、集まりそうで集まらない。

逆に言えば、真剣に情報収集して真剣に準備を重ねていけば普通にやるだけでかなり合格圏に近づきそう。

今もインターン、来てるなあ。リクルートスーツ着た若い子たちが玄関前、歩いてた。

 

取って付けたようで恐縮なんですが、社畜なもんですからPRをひとこと。

ウチの職場の採用試験は実力主義で、学歴や性別その他の忖度は一切ありません。よろしかったらぜひ、一緒に働きましよう!

 

 

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