横浜・山手では大正末から昭和初期に建てられた西洋館をまとめて一挙に見ることができます。外国人向けの邸宅、外国人向けの集合住宅、移築された貴重な西洋館もある。
横浜初心者だし、基本に忠実に。モデルコースどおりに横浜洋館めぐりしてきました。実際に行ってのアドバイスも一緒に。
参考にしたのは
横浜市と神奈川県が先頭で旗振ってる財団。まんべんなく、公平なコース選定であろう。とアタリをつけました。
なお、最初に行った洋館で、マップもらえて、大助かり。
実際に行ってわかったこと、アドバイス
- 地図で見ると洋館は固まっていますが、全部歩いて回るとなると体力・脚力は必要。地下鉄やバスを使うほどの距離ではないし、本数がひんぱんにあるわけでもない。そして「山手」だからアップダウンが激しい! 後半は、上り坂を見つめ「次いつ来れるかわからないんだし」と歯を食いしばって歩きましたよ~。1つ1つの洋館を丁寧に見て回れば20~30分すぐにたってしまうし、洋館、6つ回りましたが。かなり脚にきました。車いすの方なんかは正直厳しい。ただし、洋館に入ってしまえば、どの洋館にも身障者用トイレはあるし、配慮はあり。
- 見学料は全て無料。
- 場所は離れていますが、洋館は全部、同じ財団が運営しています。開館は9:30~17:00(7・8月は~18:00) 、休館日は第4水曜日(祝日の場合はその翌日)と年末年始(12/29~1/3) は全館、同じ。
- 山手イタリア山庭園の「外交官の家」のみが国指定の重要文化財、残りはすべて横浜市指定歴史的建造物です。
- 洋館のあるエリアは港の見える丘公園内、元町公園周辺、山手公園内、山手イタリア山庭園内と4つ。全部見たいけどそうもいかない。時間がない。のでしたら、
- 重要文化財の「外交官の家」が立派度でいけば一番。ただし横浜に建てられた洋館じゃないんですよね。渋谷にあった豪邸を横浜に移築してきた。
- 元町公園周辺が山手234番館・エリスマン邸・ベーリックホールと3つ固まっていて、ベーリックホールは横浜洋館の最大規模でスペイン風、エリスマン邸は貿易商のお宅でこじんまりながらモダン、山手234番館は外国人居留者向けの集合住宅でちょっと毛色が違う洋館、とバリエーション豊か。
- 港の見える丘公園だと、目の前に駐車場がある。11月平日午後に回りましたが、駐車場、空いていました。大繁忙期でなければ、車は置ける。そして港の見える丘公園エリアだと。大佛次郎記念館・県立神奈川近代文学館も固まっているし、高台からみる横浜港の景色を一望できる。
- 山手イタリア山庭園はやや離れているので、静かでした。そして2つの洋館、どちらもクオリティ高っ!
- 喫茶室は港の見える丘公園内なら山手111番地、元町公園内のエリスマン邸、山手イタリア公園内の外交官の家の3か所にある。洋館めぐりは体力使う。3か所全部、お茶しながら回れます。
- 山手の洋館は観光名所でもあるのですが、お部屋の貸出(結婚式・個展・会議など)もしている。よって、台所などは最新の設備が備え付けてあるし、お屋敷が人が住んでいた当時の姿をそのままにしてあると思っていくと拍子抜けするかも。
- お土産用のオリジナル商品あり。
- 今治タオルハンカチ
(イタリア山庭園・元町公園・港の見える丘公園の3種類 3色) - 一口練羊羹
- ダマスクローズジャム
- 絵はがき
- ローズケーキ(ブランデー入りパウンドケーキ)
- ローズドロップス(バラの花びら入りキャンディ)
- ローズティー
- 薔薇色ドラジェ(アーモンドチョコ)
- クリアファイル(A4サイズ、2色(紺・白))
- ミニファイル
- 今治タオルハンカチ
- 洋館めぐりの途中で一緒に見ることのできる(観光)名所としては前にあげた大佛次郎記念館・県立神奈川近代文学館の他には
- 山手外国人墓地
- 岩崎ミュージアム
- 山手資料館
- 山手聖公会
- カトリック山手教会
- 回る順番としては、山下公園側からであれば港の見える丘公園側にある洋館から。中華街でゴハンを食べてからなら山の手イタリア山庭園から。最寄駅はJR京浜東北・根岸線「石川町駅」または「桜木町駅」。
- 横浜・洋館のもう一つの見どころとしては家具ですね。メイド・イン・ジャパン。9月にイギリス行ってきまして、アンティークの家具など、美術館・博物館・ホテルや観光名所を見て回りましたが、横浜家具、本場に見劣り、しませんでした。
港の見える丘公園
花壇に囲まれたこの公園の展望台からの眺めは横浜随一。名前のとおり横浜港やベイブリッジ、そしてランドマークタワーを一望できます。
開港当時にイギリス兵舎のあったところを整備し、隣り合ったフランス山の樹林も含んだ大きな公園で、園内のローズガーデンは5・10月頃が身頃です。
横浜市イギリス館
電 話 番 号:045-623-7812
開館/閉館時間:9:30~17:00(7・8月は~18:00)
休 館 日:第4水曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/29~1/3)
昭和12(1937)年建築の英国総領事公邸です。
回った洋館は土足禁止。玄関でスリッパに履き替えるのですが、唯一、イギリス館のみが土足OKです。
広々としたホール。白を基調としたインテリアで品格高く格調高い。
奥はサンルームになっています。
…これが洋館か、とちょっとびっくりしてしまったのですが、お部屋を貸し出ししているので厨房は今使えるよう、施設設備はひととおり揃っている。
でも、やっぱり、雰囲気ありますね。
階段。てすりの形も凝っている。
二階の展示は
お食事の間。ここだけ、カーテン、ゴールド。
寝室。カラーバランスがシンプルなんだけどステキで、清潔感がありますね。
寝室の続きの間。領事さまの安らぎの空間。
山の手111番館
電 話 番 号:045-623-2957
開館/閉館時間:9:30~17:00(7・8月は~18:00)
休 館 日:第2水曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/29~1/3)
アメリカ人の両替商J.E.ラフィンさんという方が昭和2(1926)年に建てた家。
アメリカ人なのにスパニッシュスタイル。当時人気のあった建築様式なのでしょうか。
玄関入ってすぐ、吹き抜けの広いホールがあり、ホールをとりまくようにお部屋がある。
広い窓と窓の格子とシャンデリア。
日当たりのいいダイニング。
食器棚、かわいい。
お庭も遊歩道やヤシの葉が、南国風。
洗面所。良いものを大切に使うと価値が出る。の見本のようだ。
どのお部屋にも光がいっぱい。陽光うららかな横浜に、ことのほか合うのがスパニッシュスタイルなのかもしれません。
元町公園
深い緑の中にプールや弓道場をもつこの公園は、山手本通りに面し、周辺の歴史的建造物とともに、山手を象徴する絶好の景観をつくりだしています。園内にはブラフ80メモリアルテラス、プラフ溝など横浜の歴史をしのばせる施設があります。
山手外国人墓地
港の見える丘公園から元町公園に行く途中、入り口が見える。外国人墓地資料館もあります。はるか海の向こうからやってきて、異国の地で生涯を終えた方々の眠る場所。
山手資料館
エメラルドグリーンの外観と咲き乱れるバラの花。山手外国人墓地から山手234番館に行く途中、左手に見える。
山手234番館
電 話 番 号:045-625-9393
開館/閉館時間:9:30~17:00(7・8月は~18:00)
休 館 日:第4水曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/29~1/3)
昭和2(1927)年頃建築の外国人向けアパート。4軒のお宅が入居できる。
古い建物って、お金持ちの邸宅とお寺や教会が通り相場じゃないですか。珍しい。
正直、誤解を恐れずに言えば、安普請っぽい。しかしながらかえって目新しく、今までに見たことのない建物でした。
お金持ちの家にはない、なんていうんですかねえ、軽快さがある。
家具も質素だし、絵も飾ってないし。そして結構、広い。
ピカピカの床。でも、1980年まで、実際に人が住んでいたのだそうです。
なんだかほっこり。心温まる洋館でした!
エリスマン邸
電 話 番 号:045-211-1101
開館/閉館時間:9:30~17:00(7・8月は~18:00)
休 館 日:第2水曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/29~1/3)
大正15(1926)年建築の貿易商のエリスマン氏の豪邸です。
とはいえ、豪邸だけど外観は結構地味。セ〇ス〇ハ〇スみたいだな~などと失礼な感想が頭に浮かんだりして。
なんか泊ったことのある温泉宿みたいです。特にこの藤の椅子。
…つまり時代を先取りしたデザインなのでしょう。
大御所フランク・ロイド・ライトのお弟子さんが設計した家なのですって。
お屋敷の説明。
(どっかのモデルハウスの展示場みたいだ、と思ってはいけません)
上がリング状になっているシャワーって、日本ではあまり見かけない。地方で洋館作ったって、この手の細かいパーツにまで手が回らないから、結果、「日本で作った西洋建築」ぽくなってしまう。横浜はさすがに、違います。
モダニズム・モダニズム。と唱えたりして。私たちがイメージする「洋館」とはちょっと違う気が。でも紛れもなく、本物の洋館。
ベーリック・ホール
電 話 番 号:045-663-5685
開館/閉館時間:9:30~17:00(7・8月は~18:00)
休 館 日:第2水曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/29~1/3)
一目でわかるスペイン風。そういわれてみれば長崎のピンカートンさんのお宅も南方系のお家だったっけ。
なぜイギリス・アメリカではなくスペインなのだろう。昭和5(1930)年に建設されたイギリスの貿易商、ベーリックさまのお宅。
横浜・戦前の洋館としては最大規模で、見どころも多い。
床のタイルも、階段のレッドカーペットお、階段の手すりも、みんなステキ~。
ホールではボランティアさまによるクラシックの演奏やってました。ホールに響き渡るヴァイオリンとピアノの音色。別世界に迷い込んだかのよう。
ダイニングルームも瀟洒だし
家具にも重厚感漂い
とっても素敵なお宅ですよねえ。でも竣工は昭和5年。
ベーリックさまは好きでこの家を手放したのではなく、時代も時代だったし、戦時色強まる、長年慣れ親しんだ日本を離れなければならなかった。
後にインターナショナルスクールの寄宿舎として使われたのが「ベーリック・ホール」の名の由来です。
お庭には横浜の洋館の可愛いミニチュアがありました。
勢ぞろい!
山手イタリア山庭園
イタリア式庭園に代表される水や花壇を幾何学的に配したデザインの庭園です。
明治13(1880)年から明治19(1886)年までイタリア領事館がおかれたことから「イタリア山」と呼ばれているこの場所は、みなとみらい21地区やベイブリッジが一望でき、晴れた日は富士山も見ることができます。
ブラフ18番館
電 話 番 号:045-662-6318
開館/閉館時間:9:30~17:00(7・8月は~18:00)
休 館 日:第2水曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/29~1/3)
白壁・緑の窓枠、オレンジのフランス瓦のコントラスト。オーストラリアの貿易商バウデンさまのお宅として関東大震災後に竣工。
室内の建具は外観より薄いグリーンで統一されていて、スイートだなあ。家具も立派です。
テーブルクロスも淡いグリーン。奥はサンルーム。
窓側にも細長いサンルームがあります。
二階に行って
またサンルーム。
ブラフ18番館の歴史を知ることができる。
ベッドは貴重な横浜家具のアンティーク。
作られて100年たつという「松本ピアノ」も有名。
外交官の家
電 話 番 号:045-662-8819
開館/閉館時間:9:30~17:00(7・8月は~18:00)
休 館 日:第4水曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/29~1/3)
明治43年(1910)年建築の明治政府の外交官内田定槌(うちださだつち)さまの豪邸。渋谷にあったのを横浜に移築してきた。回った洋館の中では一番古いし、アメリカン・ヴィクトリアン形式と形式が違う。
平成9年に移築されてきた。
今まで回ってきた洋館とは、毛色が違い、より重厚。
梁や柱の色も渋いし
明治の渋谷には、こんなお宅がいくつもあったのかしら。
やっぱり、サンルームがある。今の家ではあんまり見かけない。豪邸だから? それとも今の私たちの生活に、サンルームでのんびり寛ぐなんて余裕、ないからかなあ。
お付きの人の控えの間。
大客間。昔のまま残っているものと復元したものもきちんと説明がある。家具はだいたい復元。
二階にのぼって
書斎があり
寝室。
二階の部屋は書斎の他は皆寝室として使われてきた。で、洋館は廊下を隔てて一つ一つが独立しているけど、「外交官の家」は各々の部屋を行き来することができる。
和風西洋建築と西洋建築の違いなのだそうで。
発想の違いで、家って変わってくるんだ~。気候とか、地元で調達できる材料で変わると思ってた。
まとめ
観光名所に行けば、どこに行っても一つや二つ、古い建物は残ってる。その土地の歴史や人々の暮らしをしのぶことができる。
西洋館、6つまわりましたからね。時代と用途が少しずつ異なるのを目で・肌で感じることができました。そして、どのお宅のインテリアも垢抜けてるし、目の保養。横浜って、やっぱり、特別な場所なんですね。