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ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館で絶対見るべきおすすめ20+4の展示と見どころを紹介する!

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(Victoria and Albert Museum、略称V&A)は、ヴィクトリア女王(1819年 - 1901年)と夫君アルバート公(1819年 - 1861年)の名を冠したロンドンにある国立博物館。世界有数の博物館の一つ。特徴は装飾とデザインをテーマにしていること。時代膨大、ジャンル膨大、所蔵品膨大。ハイライトを20点、集めました。

実際に訪れ、回った感想、おすすめ鑑賞コースやジャンル、博物館への生き方、ミュージアムカフェの行き方やフロアマップなどの情報も追加してあります。

Victoria and Albert Museum1

 

 

 

アルフォンス・ミュシャのポスター Alphonse Mucha

Victoria and Albert Museum 2

Alphonse Mucha [Public domain], via Wikimedia Commons

1898年、フランス。「JOB」とは会社名。宣伝商品はたばこの巻き紙。アルフォンス・ミュシャ (Alfons Mucha 1860-1939)はアール・ヌーヴォーの雄、流麗なビザンチンの流れを組む艶なる女性像は一世を風靡した。V&A(ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の略、以下同)のHP中、コレクションオンラインで検索かけると79点ヒット。他の所蔵品にはにはデビュー作であり、出世作でもあり、代表作でもある「ジスモンダ(Gismonda)」のポスター(1895)、ジスモンダに続く、サラ・ベルナールを描いた「ロレンザッチオ(Lorenzaccio)」(1896)、「椿姫(La Dame aux Camélias)」(1896)、「メディア(メデア) (Médée)」のポスター(1898)、有名な「黄道12宮(Zodiac)」(1896-97)、美術展のためのポスター(Salon des Cent: XXme Exposition... Hall da la Plume)、ビールのポスター(Bières De La Meuse)(1897)、やベルベットのクッションカバー、メニューカードやメッセージカード、 デッサンなど。

 

 

カルティエのティアラ Manchester Tiara

Victoria and Albert Museum 3

source:123coolpictures.com

1903年。フランス。マンチェスター公爵夫人がパリ、カルティエ社に特注したティアラ。公爵夫人は1,400個以上の輝くダイヤモンドをカルティエ社に託したものの、まだ足りない。ひときわ大きなラウンド型のローズカットのダイヤモンドはカルティエ社が調達したもの。ベル・エポック華やかなりし時に製作された大振りで豪華なティアラは、7つのハートのモチーフからなり、それぞれの中央に3つのぶら下がったダイヤモンドがあり、間のフリンジのモチーフは取り外し可。

マンチェスター公爵夫人(Consuelo, Duchess of Manchester 1858-1909)は大富豪の娘。キューバ系のアメリカ人で姉妹3人はいずれあやめかかきつばた、エキゾチックな美貌の誉れ高く、パリに遊び、出会った英国貴族と結婚。

いわゆる「Dollar Princesses」。名誉を求めたアメリカ娘と富を求めたイギリス貴族の結婚は、この時期よくあったこと。妹も英国貴族と結婚し、姉妹で皇太子時代のエドワード7世と親交が深く、死後、形見のブレスレットはアレクサンドラ妃に贈られた。

Dollar Princessesの中には、露骨な財産目当ての結婚で、あっという間に夫が恋人を作って夫人も恋人が出来て…のパターンも多かった中、つつましく賢く、人望も厚かったコンスエロは公爵と添い遂げました。

 

 

ロココ時代のドレス Sack-back gown

Victoria and Albert Museum 4

By The original uploader was VAwebteam at English Wikipedia [GFDL or CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons

V&Aのドレスコレクションはロココに留まらない。世界最大。17世紀からのドレスが中心で14,000着以上。普段着はさすがに残っていないので、貴婦人の、作らせてろくろく袖など通さなかったであろうドレスが中心。

ハイライトは17世紀のガウン、18世紀のマントバのドレス、1930年代のイブニングドレス、戦後のオートクチュールなど。靴や帽子、アクセサリーなどの小物類も膨大&充実。 有名デザイナーの特別展を定期的に開催し、その都度話題を呼んでいる。

17~19世紀までのドレスははるばる中国から運ばれてきた手描きのシルク、インドから運ばれてきた金箔が織り込まれた布など、素材から贅がこらされ、しかもみなヨーロッパの市場を意識して描かれた柄。もちろん当時の本家イギリスの布も数多く、素材から今日ではまずお目にかかれないものばかり。イギリスの伝統工芸である刺繍やステッチ、レースなど、何百年も前の手仕事の見事さに見とれ、時代が変わると徐々にドレスのスタイルも変わっていくのが目で実感できる。舞踏会のドレスもあれば普段着もある。女性なら誰もが憧れる豪華なドレスの連続にため息。「このドレスにみられる〇〇は〇〇年代の特徴です」との解説つきでみせていただける。

 

 

ジェームズ2世の結婚式の衣装 James II Wedding Suits

Victoria and Albert Museum 5

By Wikipedia Loves Art participant "veronikab" [CC BY 2.5], via Wikimedia Commons

1673年、イギリス。ジェームズ2世(James II 1633-1701)とメアリー・オブ・モデナ(Mary of Modena 1658-1718)の結婚式の時のスーツ。結婚後、300年以上を衣装を下賜賜った家系で保管された後、1995年、クリスティーズのオークションにかけられ、めでたくV&Aが落札。

まず、作られた年代が信頼できる。そしてこのころ、男性のファッションのシルエットが変わりつつあった。スタンダードはペチコートのズボンとダブレット(首から腰の辺りまでを、からだに密着して覆う男性の上着)。

40歳の新郎(前妻とは死別)のウェディング・スーツはフィットしたズボン、ベスト、ロングジャケット。太めの袖口のスタイルは「ハウンドズ・イヤーズ」と呼ばれていた。ルイ14世の軍事コートから派生したとされる最新のフランスのファッションに身を包み、王は15歳の花嫁を迎えに行った。船酔いと長旅に疲れ切ったあどけないプリンセスは、夫と初めてあいまみえ、涙を浮かべたと伝わります。

式は冬だったので素材はウール。ほぼ全体が純粋で献身的な愛を意味する金と銀のユリの刺繍入り。裏地は赤のシルク。 ボタンは装飾目的のものもあわせて全部で228個!もちろん金糸のくるみボタンですとも!

 

 

ヴィヴィアン ウエストウッド Vivienne Westwood

Victoria and Albert Museum 6

By Vivienne Westwood 1990 A/W Collection CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ヴィヴィアン ウエストウッド(Vivienne Westwood 1941-)はもともとは教師を目指していた。ところが恋に落ちた相手はパンクロックのミュージシャン(兼プロデューサー)!夫のプランでお店を開いて、店に並ぶ服はとってもオリジナル。尖がっていて、クール。徐々に路線を広げていく。

下品とも取れる、挑発的で毒々しい刺激的なファッションはお金持ちの奥様の機嫌を取って育ったデザイナーにはないエネルギーに満ち、アイディアの数々は見た人の度肝を抜いた。強烈な個性があった。夫と別れ、ヴィヴィアン・ウエストウッドはエレガンスと挑戦を兼ね備えた大ブランドとしてさらなる成長を続け、つまり稼ぎに稼ぎ、ついには女王陛下から「デイム」の称号を授かった。(2006年)

イギリスの超大物デザイナーであり、活動時期も1970年代からですから新しい。21世紀、大規模なコレクションの寄付があり(コスティフコレクション Gerlinde and Michael Costiff Collection)80~90年代の衣装も充実。

V&Aでは時々、Fashion in Motion と称し、パリコレ・ミラノコレなどで披露されたドレスをファッションショー形式で展示!?したりする。もちろん常設展示あり!もしかして若い頃!?胸を焦がしたあの服に、あの靴に、V&Aで、もう1度、出会えるかも!?

 

 

世界の陶器コレクション Ceramics Galleries

Victoria and Albert Museum 7

By Johnbod (Own work) [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

ほぼ6階に展示スペースが集中している。 紀元前3000年代から現代までの世界のありとあらゆる国から80,000点以上が集まっている。コレクションを一挙に見せるため、収蔵品をガラス張りの棚に地域、技法、年代別にびっしりと並べる。

  • 部屋番号136が中国、137がアジア(中東を含む)とヨーロッパ(18世紀まで)、138がイギリス、139はイギリスとヨーロッパ、140が20世紀の工場生産の陶器、141が現代の陶芸、144が建築陶器(ポルトガル、オランダ、中東の大きなタイルパネル、中国の建築彫刻など、紀元前13世紀から現在まで)、145は中国、中東、ヨーロッパの陶器を並べ、おのおののスタイルと特徴、技術の交流など。目玉多し。53a(ここだけ2階)はロココの陶器。
  • マイセン・セーブル・デルフトとブランド陶器の洪水。
  • トルコからのイスラミック陶器のコレクションは、世界最大。
  • 当然ですがイギリス陶器のコレクションも世界最大。
  • 中国陶磁と日本陶磁の充実ぶりも忘れてはいけない。収集家ジョージ・ソルト(George Salting 1835-1909)は死後、膨大な東洋陶磁のコレクションを寄付。ただし寄贈品を分けて展示するのではなく、自分の分類に従って自分のコレクションと銘打つことが条件。

…と息つく暇もない…。

 

 

ネプチューンとトリトン ジャン・ロレンツォ・ ベルニーニ Neptune and Triton Gianlorenzo Bernini

Victoria and Albert Museum 8

I, Sailko [GFDL or CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini 1598-1680)はイタリアバロック彫刻の巨匠。建築家でも画家でもある。この像は教会の偉い人のお家の噴水に置くために作られ、後にイギリスに渡り、何人かを経てV&Aに落ち着いた。

ネプチューンもトリトンも海の神様。2人は貝殻の上にいる。筋骨隆々、勇ましいネプチューンは風が吹きつける荒波の中立つ。足元のトリトンは、神の到着を告げるほら貝を必死の形相で吹く。 ネプチューンの肉体表現が見事である。たくましい。筋骨隆々。そして貝がらの上でバランスを取って立つ。やや体をねじり、よりダイナミズムが増す、が計算されている。一方のトリトンは少年の面差し。

力強い表現はイタリアで作られた像であること、強い光が照り付ける野外の、噴水というロケーションを計算に入れているのですね。

 

 

ミケランジェロのダビデ像のレプリカ David di Michelangelo

Victoria and Albert Museum 9

source:Kathryn Yengel

16世紀、イタリア。それは、本物はイタリアのフィレンツェにあることくらいは知っています。かつてトスカーナ大公が原寸大のダビデのレプリカ像をヴィクトリア女王に贈ったのです。女王はV&Aにおさげ渡しくださり、平民も観光客もフィレンツェに行かずしてミケランジェロのダビデ像を眺めることができる。

19世紀後半から、イギリスはレプリカの石膏を精力的に収集。教育目的にも使われたし、個人が装飾品として自分の家に置くことも多かった。 時代は流れ、場所を食いすぎるしょせん偽物、のヨーロッパ各地(ベルリン、パリ、ウィーン、リヨン、ミュンヘン、ドレスデン、ミラノ、ヴェネツィア、ボストンなど)の広大なレプリカコレクションが次々廃棄、雲散霧消していく中、V&Aは踏みとどまった。V&Aはもともとは産業博物館。イギリスの工芸品や工業デザインの質を高めるために設立された。 たとえ偽物であろうとも、レプリカであろうとも、膨大な石膏は啓蒙目的としては必要である。結果、大成功。「キャストコート」として今なお人々が押し寄せる人気のブースであり、なにしろ世界の有名な彫刻が原寸大で所狭しと並んでいるのです。老若男女問わず、楽しめそう。有名なのはスペインの大聖堂の「栄光の門」(幅18メートルごえ)、ピザ大聖堂の説教壇、ドナテロとベロッキオも加わった3人のダビデ像など。

 

 

トラヤヌスの記念柱のレプリカ Trajan's Column

Victoria and Albert Museum 10

By M.chohan (Own work) [Public domain], via Wikimedia Commons

19世紀、イギリス。 ええ、本物はイタリアのローマにあります。ローマへ行きたしと思へどもローマはあまりに遠し…。ロンドンで見られるなら、とても嬉しい。助かる。

建設2世紀。戦争の勝利を記念して作られた。高さは台座を含めて38m、中のらせん階段をのぼればてっぺんまでいける。石の重さだけでも1,000トン以上あるというのに、もうすぐ建立2,000年だと言うのに。揺るぎもせず立っている。

しかし残念なことに長く続いた酸性雨により、オリジナルの装飾は腐食が進み、19世紀の半ばに作られたこのレプリカは、いまやある意味ローマにそびえ立つ本物の記念柱より建設当時の姿を残す。

本物は広場にそびえたっているが、ロンドンのV&Aのレプリカは建物の高さが足りず、半分に切って2本並べて展示されている。近づいて生で見ることができる。 らせん状に塔の上へ上へ上るレリーフは200m近く、描かれる人物は2,500人以上。戦勝記念だから遠征の場面、要塞建設の場面、皇帝の演説の場面、勝利の場面。当時を知る貴重な資料でもある。

パリのヴァンドーム広場の記念塔も、ロンドンの大火記念塔も、トラヤヌスの記念柱のコピーです。人類史上初がトラヤヌスの記念柱。

 

 

女王エリザベス2世陛下の戴冠式のポートレイト Cecil Beaton Coronation Day

Victoria and Albert Museum 11

source:ale ☆

1953年、イギリス。

私は、私の全生涯を、たとえそれが長かろうと短かろうと、あなた方と我々のすべてが属するところの偉大な、威厳ある国家に捧げる決意であることを、あなた方の前に宣言する。

こうおっしゃられたとき21才ですよ。女王陛下。思わず土下座したくなってしまいます。

戴冠式は27才。王座に座って、新しい女王が戴冠し、右手に王権を象徴する十字架付きの宝珠を、左手に笏を持つ。 象の毛皮で縁取られた真紅のベルベットのガウン、 重いドレープカーテンの向こうには、式典の執り行われたウェストミンスター寺院。美しさと威厳。名誉と栄光。

撮影したのはセシル・ビートン卿(Sir Cecil Beaton 1904-1980)。セレブやスターのポートレイトも数多く、「ヴァニティ・フェア」や「ヴォーグ」などのファッション写真で有名。 映画「マイ・フェア・レディ(My Fair Lady 1964)」で衣装デザインを担当したり、往年の大女優、グレタ・ガルボとのロマンス…など、なにかと華麗な写真家。長く女王陛下の写真を撮り続けた。ビートン卿は死後、コレクションを秘書に託し、秘書は1987年、コレクションをV&Aに寄付。お宝揃い!

 

 

世界で一番有名なペルシャ絨毯 The Ardabil Carpet

Victoria and Albert Museum 12

See page for author [Public domain], via Wikimedia Commons

すばらしい説明がありました。

絨毯の芸術は、16世紀の間皇帝の保護のもと、王室用の工房などでペルシアとインドで技術的、また芸術的に発展されました。

この時期に、世界で最も素晴らしく、恐らく最も有名な絨毯である、アルダビール絨毯が生まれました。

アルダビール絨毯はロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館にて展示されています。絨毯の大きさは534x1152 cmで、ペルシアのケシャン市に住むマクスードという人物により手織りされたと言われています。カーペットは、イスラム暦946年(西暦1539年)に5人の織職人がタフマースブ王に命じられ、シャイフ•サキーモスクに使用される目的で、3年の年数をかけて完成されました。

アルダビール絨毯はもともと2枚作られましたが、一枚はその後別の一枚の修復の目的で解体されました。解体された絨毯の一部は、アメリカの米ロサンゼルスカウンティ美術館にて展示されており、最も良好に保存された残りの一枚はロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館にてご覧いただけます。

アルダビール絨毯はペルシャ結び、羊毛製パイル糸、絹製の経糸と緯糸で織られおり、平方メートル当たり51万8千ノットの密度を記録しています。絨毯は19世紀に、北ペルシアのアルダビール州にある大きなモスクの修復代として売却されました。

             出典:カーペット百科事典・「歴史」より

 V&Aには名高いアルダビール絨毯のための専用のケースがあり、床に敷かれた絨毯は、褪色を防ぐため90分に1回、10分間、ライトが点灯されます。

 

 

 

シェイクスピアの戯曲にもでてきた巨大なベッド Great Bed of Ware

Victoria and Albert Museum 13

By Wikipedia Loves Art participant "veronikab" [CC BY 2.5], via Wikimedia Commons

16世紀、イギリス。長さ3.38m、幅3.26mの巨大な天蓋付きのベッド。ダブルベッドの2倍の大きさと思っていただければと。そりゃ、大きいですが。それは、豪華ですが。シェイクスピアの「十二夜」でもこのベッドについて言及するくだりがある。バイロンが詩にしている。

当時は郊外であり、交通の要衝であったロンドン近郊、馬や馬車でちょうど1日の距離にあり、旅館が立ち並んでいたハートフォードシャーの宿屋(HotelではなくInn)の1つに置かれ、「あのベッドに泊まってみたい!」と大人気の観光スポットであったという。記念に宿泊者が刻んだ落書きも残っている。名物ですね。プロデュース力とPRの勝利!

正直大きいし豪華なのは認めるけど、細工や装飾が歴史に名を残すというよりは、時代の1つの象徴として、有名になり、V&Aが後世に語り継ぐに値すると認めた。ってトコでしょうか。展示の中でも、とっても人気があります。巨大ベッドがV&Aにやってきたのは1931年以来、展示替えなし。

パネルの装飾はルネサンス風で当時の人気の建築家、ハンス・フレデマン・ド・フリースのスタイルを真似て、ロンドンの大工さんが作った。朱とウコン色のカーテンは後世のものであり、ベッド自体も、できたばかりの頃は彩色され、もっと色鮮やかだった。

 

 

グリンリング・ギボンズの木彫りのレース Grinling Gibbons Carving

Victoria and Albert Museum 14

source:The Appendix

1690年、イギリス。これ、木製なんです!ベネチアンレースの、あの薄物のフォルムと質感を、まんま木彫りで表現している…。絶句。まさに神。ギボンズの家の木彫りの花は外を通る馬車の振動によって揺れたと言われた。

グリンリング・ギボンズ(Grinling Gibbons 1648-1721)。オランダ育ちのイギリス人。それまでイギリスの木彫りに使われてきたオーク材にかわり、柔らかいlime tree(シナノキ)を使い、彫刻した木を重ねていく技法は、おそらくはオランダで習得し、ギボンズが洗練させた。柔らく深く細かな彫り込み、華麗なバロック様式は他の追随を許さず、17世紀の後半に一世を風靡した。

チャールズ2世、ジョージ1世、ウィリアム3世、ジェームズ2世の依頼を受け「国王の彫刻家」と呼ばれ、ウエストミンスター寺院、ウィンザー城、セントポール大寺院、ケンジントン宮殿、ハンプトンコート宮殿、聖ジェームズ教会などのロンドン周辺のたくさんの教会、ケンブリッジ大学の図書館などににギボンズの木彫りは今なお残されている。外国への献上品も依頼された。 この木彫りは小品でほぼ実物大。

 

 

ティプーの虎 Tipu's Tiger (Mechanical organ)

Victoria and Albert Museum 15

By Ricardo Tulio Gandelman from Rio de Janeiro, Brazil (P1060252Uploaded by Marcus Cyron) [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons

18世紀、インド。V&Aで最も有名で、人気のある展示のひとつ。

「Tipu」は人名。ティプ・スルタン(Teu Sultan、 1749~1753頃-1799)別名「マイソールの虎」。18世紀、イギリスは着々とインド支配を進めていく。敢然として立ち、降伏を勧められても「異教徒の慈悲で惨めに生きるくらいなら死んだ方がましだ! 」とはねつけ、その死を経てイギリスのインド侵略は加速していく。勇猛果敢な軍人であるだけでなく、世界の情勢に気を配り、タイミングも悪く他国の援助を得ることはかなわなかったものの、外交政策にも積極的。軍の近代化と内政の充実に努め、智謀の限り生き抜いた英邁な、そして悲運の君主。

「ティプーの虎」はティプ・スルタンの死後、廃墟と化したスルタンの居城から戦利品としてイギリスに運ばれ、強国の象徴としてオリエンタリズムも相まってずっと大人気。機械仕掛けで、小さければおもちゃなんでしょうか、ほぼ等身大で大きい。虎の脇腹のパイプオルガンのハンドルを回すと、虎はインドの敵である東インド会社のイギリス人に襲いかかる。男の手は動き、虎はうなり、男は悲鳴をあげる。虎にはティプ・スルタンの紋章が刻まれている。

 

 

ユニコーンタペストリー unicorn Tapestry

Victoria and Albert Museum 16

source:commons.wikimedia.org(CC BY-SA 2.0)

16世紀・フランドル。ルーブル美術館に行って、タペストリーの間に迷い込んだことあるんですよ。体育館みたいなだだっ広く薄暗い空間に、緞帳サイズのタペストリーが延々と続いている…。

昔は壁紙がなく取って変わられるまでは家ではタペストリーを吊っていた。持ち運びが容易で保温・防音効果があった。豪華なタペストリーは富の象徴であり、教会や宮殿向けに荘厳な品々が作られた。15世紀フランス、16世紀フランドルが名産地として名高い。

全面に広がり、びっちりと織り込まれた細かいお花模様はミルフルール(Mille-fleur)、千花模様と呼ばれ、このタペストリーでは漆黒をバックに、赤・青・白の花が茎や葉の緑とともに光輝くばかりに、こぼれんばかりに咲き誇る。小鳥が飛んでいる。鳴いている。集っている。伝説の動物、中世の人々にとっては貞操と不老不死の暗喩を意味する白いユニコーンは中央に。

当時の貴族のファッションと狩りの光景を描いた「デヴォンシャー・ハンティング・タペストリー(The Devonshire Hunting Tapestries オランダ 15世紀)も必見。 壁全面を覆う巨大な狩りの饗宴の4枚組!猪、クマ、白鳥、カワウソ、鹿、鷹刈りの場面を描いています。 スケールもデザインも超絶級!

 

 

ムガール皇帝のワイン・カップ Shahjahan cup

Victoria and Albert Museum 17

By V&A. VAwebteam at English Wikipedia [GFDL or CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons

1657年、インド。愛する女性をしのび、タージ・マハールを作ったムガール帝国の皇帝、シャー・ジャハン(Shah Jahan 1592-1666)に捧げられた白の翡翠のワインカップ。 花は蓮。葉はアカンサス。取っ手にはヤギと取れる角とあごひげを持つ動物。400年の時を経ても玉のテリはそのまま。

このカップは帝国が崩壊し、転々と持ち主を変えた後、ムガールが先立つティムールに続くことを示す「第二の主」の文字が発見され、皇帝の持ち物であることから、1962年にV&Aがお買い上げ。

蓮の花びらと動物はヒンズー教の、ワインカップのフォルムは中国の、台座のアカンサスはムガールとヨーロッパの影響を受けている。小さなカップは、広大ないくつもの文化の折衷の結晶なのです(長さ18.7cm、幅14cm)。

V&Aの南アジアの展示室はインド建国の英雄にちなみ、ネルー・ギャラリーと呼ばれています。当然、西洋最大。シャー・ジャハンのワインカップは、もちろん、ネルー・ギャラリーのハイライト。ムガールゆかりの品々はどれも模様が繊細で優美。翡翠の指輪、鏡、ティーセット、翡翠の剣、ルビーとエメラルドとダイヤモンドを埋め込んだ金のスプーンなど。

 

 

ロセッティの「白昼夢」 Dante Gabriel Rossetti - The Day Dream

Victoria and Albert Museum 18

Dante Gabriel Rossetti [Public domain], via Wikimedia Commons

1880年、イギリス。ロセッティは19世紀前半のイギリスのラファエル前派の画家。詩人でもあった。この絵はロセッティの代表作の一つ。官能的な女性の絵がいくつも残されています。

ロセッティは愛した女性を次々にモデルにして絵を描いており、その意味とてもわかりやすい。ロマンティックで耽美的な画風にふさわしく、女性の噂は途切れることもなく、悩みすぎてメンタルを病み、悪い薬に手を染めてしまい、54歳の若さでこの世を去った。

この絵のモデルはウィリアム・モリスの妻のジェーン・モリスで、2人は惹かれ合いながらもお互い別の人と結婚、しかし、関係は再燃。ジェーンをモデルにした絵はこれまた代表作「プロセルピナ(Proserpine)」。別れてもロセッティはジェーンを愛し続け、晩年に描いたのが「白昼夢」とも、まだ関係は続いていて描かれたのがこの絵だとも諸説あり。

ジェーンはシカモアの木の枝に座り、ビクトリア時代の愛の象徴とされていたスイカズラの小枝を持つ。緑の枝に抱かれているかのような、緑の服をまとった女性。意志の強さを表すかのごとき、ブルネットとくっきりした瞳と唇。スイカズラの甘い香りが禁断の恋をほのめかす…。

 

 

レオナルドダビンチのノート An early 16th Century Leonardo da Vinci notebook

Victoria and Albert Museum 19

source:bodythongs

いわずと知れたレオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci 1452-1519)のメモ帳。ダ・ヴィンチはメモ魔であり、40年にわたって個人的に取り続けたメモは、現在イタリア、フランス、イギリス、スペインにあり、あの、ビル・ゲイツは1994年、30,802,500ドルで落札(ざっと30億円)したノートを個人的に所有している。V&Aのノートはジョン・フォスター(John Forster)さんが持っていたことから「フォスター手稿」と呼ばれている。

羊皮紙で製本された3冊の手稿集で、 フォースターI(54ページ、14.5cm×10cm) フォースターII(158ページ 19.5cm×7cm) フォースターIII(94ページ 9cm×6cm)と呼ばれている。リットン伯爵(Earl of Lytton)、ジョン・フォスター(John Forster)所蔵を経て、現在に至る。内容は幾何学、物理学、水力機械、建築など。推定年代は1487~1505年頃。

ダ・ヴィンチのメモはイギリスではほかに大英図書館とイギリス王室が所蔵。絵は「岩窟の聖母」がロンドンのナショナルギャラリーにあり、「糸車の聖母」がエジンバラのスコットランド国立美術館にあります。

 

 

博物館内のカフェ The V&A café

Victoria and Albert Museum 20

source:london road

世界で初めて美術館にカフェを併設させたのはV&A。いずれも1868年オープン。

  • ギャンブル・ルーム(Gamble Room)
    巨大な シャンデリアとステンドグラス・天井・壁の内装もとても豪華。天井高く伸びるアーチと白と金がメインカラーで明るく壮大。ゴドフリー・サイクス(Godfrey Sykes 1824-1866)のデザイン。彼の死後、ジェイムズ・ギャンブル(James Gamble 1837-1911)が手がけたことから、ギャンブルルームと呼ばれている。落成時から「パリのカフェみたいでおしゃれ」と大評判に。ゴシック・リバイバル様式。内装に使われたタイルは当時は目新しい素材。美観とともに防災の目的を兼ねていた。カフェですもの、火事がおこっては大変!
  • ポインター・ルーム(Poynter Room)
    エドワード・ポインター(Sir Edward John Poynter 1836 -1919)のデザインだからポインター・ルーム。ギャンブル・ルームとは一転して重厚かつオリエンタル。壁はブルーのアズレージョ・タイル製。昔は今も部屋にあるオーブンを使い、ステーキプディング、子牛カツレツ、ソーセージ、マッシュポテト、煮込んだウサギなどがメニューにあがっていたそうです。
  • モリス・ルーム(Morris Room)
    緑の壁紙のウィリアム・モリス(William Morris 1834-1896)がデザインしたからモリス・ルーム。今でこそモリスはイギリスの歴史に残るデザイナーですが、V&Aのティールームを手掛けたころはまだ新進・若手。明るく豪華なギャンブル・ルームから一転、ほの暗い。「グリーン・ダイニング・ルーム」とも呼ばれた。のちにモリスの名声を決定的にした植物の模様は、部屋を取り巻くオリーブの枝(石膏細工により盛り上がっている)に、ちょっと、似ています。

 

 

ヘレフォード・スクリーン The Hereford Screen

Victoria and Albert Museum 21

By The original uploader was VAwebteam at English Wikipedia [GFDL or CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons

1862年、イギリス。ロンドンで万国博覧会に出品された。幅11m、高さ10m、重さ7tごえ。当時の最先端の建築様式であったゴシック・リバイバル様式で、有名建築家、ジョージ・ギルバート・スコット(George Gilbert Scott 1811-1878)の作品で新素材、金属を使う(中世のスクリーンは石や木でできていた)。スコットは鉄を重要な「現代」の素材とみなし、構造的にも飾り的にも大胆に使用。直線と曲線の織りなす繊細かつ華麗なモニュメントは「現代建築芸術の最も壮大で最も成功した成果」「現代の金属工芸の最も重要で最も成功した例」として絶賛を浴びた。

万国博覧会終了後、名声を博したスクリーンはヘレフォード大聖堂に移され、聖職者と信者を隔てる荘厳な仕切りとして使われた。しかし建築も世につれ、仕切りは時代遅れになってしまい、1967年にスクリーンはとり外され、1984年に鉄くず同然でV&Aにやってきた。寄付活動は成功し、解体されてさびと腐食だらけだった鉄くずは、2001年、完成時の姿と色彩と輝きを再び取り戻した。

アーチと柱は磨かれた石英とモザイクのパネルで飾られ、多くの情熱的な花々が配置されている。花々は十字架上のキリストの受難を象徴しており、中央にはキリストさま。両側の天使たちは楽器を奏で、キリストの天国への昇天を歓迎しているのです。

 

 

ヴィクトリア&アルバート博物館への行き方

https://www.vam.ac.uk/moc/

地下鉄のサウスケンジントン駅で下車。

(黄色のサークル線、緑のディストリクト線、青のピカデリー線)

Victoria and Albert Museum 22

「Way Out」が「出口」なので表示に従って出口へと。

地下鉄駅から直通で行ける地下歩道があるので、雨の日でも濡れずに行けて、表示に従えば道に迷うこともない。

Victoria and Albert Museum 23

改札を出て

地上階段の手前から地下歩道、

Victoria and Albert Museum 24

博物館口(MUSEUM ENTRANCE)の目印が見えるので進みます。

 

Victoria and Albert Museum 25

ゆっくり歩いて駅から10~15分。

Victoria and Albert Museum 26

 

地下道出口の階段を上り地上に出ると大きな道路、クロムウェル・ロードの交差点が目の前。

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左の横断歩道を渡ればヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の入り口、右に進むと自然史博物館。自然史博物館は、巨大な恐竜の骨がまるっと何体も迫真の展示!のヴィクトリアアンドアルバート博物館に負けじ劣らずの巨大博物館。子どもが多い。平日であれば学校の見学学習。週末であれば家族連れ。

横断歩道を渡り、開館10時少し前に列に並びきましたが、結構な行列。でも、開館してしまえばすぐ中に入れます。

 

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概要

入場料

無料。

館内マップは1ポンド。ただし任意。

 

開館時間

10時から17時45分まで

金曜日のみ 10時から22時まで

 

休館日

12月24日から26日まで

 

所要時間

カフェが有名で、名物。カフェだけなら1時間。

1階(世界各地の展示・彫刻・ファッション)だけなら1時間。

全館見て回るのであれば、半日。

 

手荷物検査

はっきり言ってヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は手荷物検査やセキュリティが甘い。いちおう博物館に入館し、手荷物検査する係の人はいるのですが、大きさ・規模だけで言えば大英博物館に勝るとも劣らない。なのに手荷物検査の人はクロムウェルロード側にたった2人。エキシビションロード側にたった1人。混んでくるとお客さんの荷物は見なくでもいいというマニュアルなのでしょうか。検査を受けている人を尻目に、いいですよ、入ってください。と目くばせされた。もちろん、明らかに危なそうな雰囲気の人には声をかけるのでしょうが。

入場無料だし、開館前はともかく、開館時間中は入場に長蛇の列はない。ボディー・手荷物チェックが(ほぼ)なく、理屈から行けば何回出入りしても構わない。ふらっと出て、ふらっとノーチェックで入る、が可能です。

 

写真撮影

可能(三脚は使わない方がいいでしょう)

 

クローク

 正面右手にあり

 

【注意】日本語オーディオガイドなし

美術館にはつきものだと思ってたんですが。こじんまりした個人の美術館ならともかく、巨大な博物館なのに、日本語のオーディオガイドがない。

ちなみに英語オーディオガイドもなし。

かわりに収蔵ジャンルごと、展示品の詳しい説明が閲覧できるPC端末は館内の随所に設置されています。

 

日本語の図録なし

英語の総合図録もなし。

少なくても私がV&Aのミュージアムショップを見た限りでは、見つけられなかった。

英語の特別展の図録や美術本とかはたくさん置いてありました。

 

 

V&Aカフェの行き方

実はV&Aカフェが一番のお目当て! まず腹ごしらえ。続いてじっくり博物館めぐり!のお客さんもたくさん! 世界で最古!?のミュージアムカフェ。10時の開館と同時にV&Aカフェに直行したところ、既にけっこうな行列が出来ていました。

行き方としては、正面玄関から入り、ミュージアムショップを突っ切り

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左右に続く彫刻の細長い展示をさらに突っ切り中庭に出る。

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中庭も突っ切り、

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再び建物に入るとそこがV&Aカフェ。

 

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カフェの内装もため息もので美しい。

 

ギャンブルルーム(真ん中)

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ポインタールーム

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モリスルーム

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と3つ続いている。

さらに両脇に華麗な装飾は無いけれど、机とイスの並んでいるコーナーがある。

 

料理とメニュー

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カフェテリア方式になっていて、好きなものを注文してトレイに取り、精算後空席を探して座る形式。お皿は紙なのでちょっと味気ない気がしないでもないけど、でもトレイはウィリアム・モリス柄ですから!

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メニューは、しっかり食事したいのであればキッシュや肉料理、魚料理もあり、イギリス伝統料理・郷土料理系統はおおむね量が多いのでしっかりお腹にたまる。 軽く食べたいのであればコンビニ形式でサンドイッチやペットボトルの飲み物もある。

スイーツも豊富。

私が頼んだのはクリームティーセット。

スコーンとクロテッドクリームとジャム。

クロテッドクリームは、味も見た目も生クリームとバターの中間のようなもの。イギリスでは普通にスーパーに並んでいるものの、日本ではついぞ見かけない食材。 スコーンにバターのかわりにクロテッドクリームとジャムをつけて食べます。

4~5ポンドくらいで、アフタヌーンティーと比べて利が薄いため、あまり取り上げられないけど、まぎれもなくイギリスのソウル・フード、名物スイーツの1つ。 V&Aのスコーンは、おいしい!イギリス滞在中、一番おいしいスコーンはV&Aカフェのスコーンでした。イチオシです。

 

 

お土産

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メインの吹き抜けの正面エントランスの奥、見えるところにミュージアムショップがある。広いミュージアムの中、迷ってしまいそうな時はショップに戻ってこらられば「とりあえず真ん中にいるのだ」と安心できる。

エコバックにマグネット、メモ帳、キーホルダーなど、主要なお土産物はひととおり揃う。大型のポスターなどもあるけど、日本まできれいなままで持ち帰るには神経を使いそう。

ウィリアムモリス関連グッズ(レターセット、紙ナプキン、ティークロス、スカーフ、大判のショール、エプロン)などはV&Aならではで種類も豊富。

気を入れてチェックすべきなのはアクセサリー類。ブランドショップにひけをとらないクオリティ・デザインが並び、それでいてお値段は絶対にミュージアムショップがお得!

 

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おすすめの回り方

最上階から見る

とにかく広いので、1階あたりで右往左往していると何回も同じ場所を通ってしまう。限られた時間なのに、もったいない。

まず6階に行ってしまいましょう。デパートの特別展とかと同じ、シャワー方式。下から上に見ていったのでは、3階あたりで挫折してしまうかも。最上階まで上ってしまえば、降りていかないことには帰れない!

 

正面のエントランスホール。前方上に見えるのはヘレフォード・スクリーン。みどころの一つ。あとでゆっくりご覧ください。

 

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吹き抜けのホールの右に進み、

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彫刻の数々を鑑賞しながら展示場所、50a、50bの表示を確認し、

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右手奥の博物館の最上階、6階に直通で行けるエレベーターに乗ってしまいましょう。

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と、その前に!地下に降りて織物のコーナーで、

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地下の一番奥まった場所にあり、壁一面を覆う、「デヴォンシャー・ハンティング・タペストリー」を見ましょう。

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15世紀オランダ貴族の狩りと収穫と祝宴の饗宴を描いた巨大タペストリーで、ひと目で足が釘付けになること、請け合いです。

 

タペストリーを目に焼き付けたあと、エレベーターで一気に6階まで上がってしまう。

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6階の前半は陶磁器で後半は家具。

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階段で5階に降りて、…と階下に徐々に降りていく。

帰り際に1階、「コートキャスト」のミケランジェロの「ダビデ」と「モーゼ

を見ましょう。

 

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「モーゼ」はおひげがフサフサで細マッチョでなおもイケメン、「ピエタ」「ダビデ」と並び超有名。本物はローマのサンピエトロ寺院にあります。もともとはローマ教皇ユリウス2世の霊廟の彫刻の一部。

 

トラヤヌスの記念塔は修理中でした。

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1階の展示を見て世界を極める

V&Aは1階が一番わかりにくい。

系統の全く違う展示が隣り合っていて、見ていく方向を一歩誤ると 「この博物館のコンセプトって、いったいなんなんだ」がわからなくなります、

 

まず正面から入りミュージアムショップまで行き

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左に進めばイスラミックのブース、中央に巨大な「アドミラルの絨毯」。

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隣が「ティプーの虎」のある南アジア。

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入口よりの回廊に出ればヒマラヤと東南アジアの彫刻が並んでいるので、

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再びミュージアムショップまで戻り、さらに進めば中国です。

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清朝の華麗な文物のかずかずなど。

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再び回廊に出て

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また南方のお顔・体つきの仏さま。

中国の隣が「日本」ギャラリー。

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アイヌの衣装、大名道具、歌舞伎衣装、印籠・根付け、

 

日本の「可愛い」の展示もある。女の子のロリータの衣装と、キティちゃんのトースターや炊飯器が展示してある。

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SONYのウォークマン(1980年代に一世を風靡した携帯できるヘッドフォン付きカセットレコーダー)も展示してある。)

 

クロムウェル・ロード側の回廊に出れば向かって右が韓国。

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廊下の片隅の展示で小さい。韓国の文物ははんなり・しなやか。

韓国の展示のさらに奥にあるのがキャスター・コートで、「ダビデ」と「モーゼ」。

韓国のブースに戻り、正面エントランスを突っ切って行くと

 

左側に体育館みたいな大きな部屋があり、

ラファエロの巨大な絵がいくつも展示されていて

絵を守るためなのでしょう。照明も落としてあり、厳かな雰囲気。

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おすすめジャンルとV&Aの展示の特徴

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ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に行く人なら、まずは大英博物館めぐりは済ませているはず。

大英博物館はエリアと時代によって展示が別れる。V&Aならではの展示の特徴としては、

展示品のジャンルが先にありき

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陶磁器が一番わかりやすいのですが、ティーセットならティーセット、作った年代順、作った地域順で天井近くまである高さの総ガラス張りの中に見きれないほどのおびただしい数が、まとめて展示してある。

イギリス・イタリア・フランス・ドイツ・オランダ・スペイン・ポルトガル。

同じ時代に、生産地が違うと、出来上がった陶磁器はどう違うのか。の豊富な実例を1つの展示室でまとめて! いっぺんに! 本物を! じかに! 見ることができる。 中国陶磁にも専用の部屋がある。現代工芸のスペースもある。

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ジュエリー

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アンティーク・ジュエリーの18○0年代と18○0年代ではこうトレンドが変わるのです。が巨大ポスター大の展示スペースにブローチやネックレスが数十点ずつ、左右に見比べられる形で展示されており、ホントだ、たしかに変わってる!が肌でわかる。超高級品、超絶お宝一点展示では気づかなかったものも見えてきます。

既に紹介したカルティエのティアラも、極めて無造作にその他大勢の宝石と一緒に集団で飾ってあった…。(セキュリティチェックは甘いし、…。本当にこれで、いいんでしょうか…。)

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と、展示品の数の多さにものを言わせて!? 数の力でなぎ倒し!? 見学者はまさかの展開にあっけに取られてしまう。

 

ほかに印象に残ったのは

ファッション

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クリノリンスタイルのドレス、ナポレオン時代のスリムシルエットのドレスに始まり、シャネルやディオール、バレンシガやエルザ・スキャパレリのオートクチュールも直にこの目で見ることができる。(昔のですけどね)

1930年代のフラッパードレス、1950年代のニュールック、1960~70年代のサイケデリック。

もちろん、男性の衣装の展示もあります。

 

舞台・エンターテインメント

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現実離れしたど派手な衣装も舞台芸術であればむしろ必需品。ミュージカルやバレエの衣装、ロックスターの衣装や、レトロな舞台のポスターや大がかりな舞台装置など。

 

金工

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Telemaque MySon [CC BY-SA 3.0 or GFDL], from Wikimedia Commons

小さければアクセサリーになるし、もう少し大きければ食器になる。道具になる。さらに大きくなれば家具となり、さらに大きくなれば上で紹介したヘレフォード・スクリーンのようになる。

郷土博物館とかでは昔の農機具や民具の展示が定番ですが、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は装飾博物館ですから、見た目のデザイン性の高い逸品が、古今東西から集められている。ちなみに英語での展示ジャンル名は「Metal」。

 

家具

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ロココの家具から現代作品まで。どの展示もお金持ちが自分のステイタスの象徴と成功の証として手に入れた(大きさが)大きいものばかりであり、細長ぁ~~~い展示室をすみからすみまで歩いていくととても疲れます♪

 

もちろん、普通に!?昔、イギリスのお金持ちが買い求め、後に寄付されたり売りに出されたりして自然と吸い寄せられてきた、ヨーロッパやイギリスの絵画や彫刻や調度品もたくさんあります。

 

マイベストワンを選ぶとしたら!?

やっぱり、「ティプーの虎」でしょう。

作られて300年もたつのに、色鮮やかでニスもつややか。

憧れてやっとのことでガラスケースごしの本物の「ティプーの虎」の前に立ち、

「惨めに生きるくらいなら戦って死んだ方がマシだ! 」

と言い放ったセリフが、叫びが。

頭の中でずっと。繰り返し繰り返し。こだましていました。

 

 

フロアマップ

地下1階(レベル0)

Victoria and Albert Museum floor map level0

地階(1階・レベル1)

Victoria and Albert Museum floor map level1

2階(レベル2)

Victoria and Albert Museum floor map level2

3階(レベル3)

Victoria and Albert Museum floor map level3

4階(レベル4)

Victoria and Albert Museum floor map level4

5階・6階(レベル5・レベル6)

Victoria and Albert Museum floor map level5・6

 公式のフロアマップ(デジタルマップ)もあります。

https://www.vam.ac.uk/features/digitalmap/

 ただし重くて見にくいですね。パソコンの環境にもよるのかもしれません。

 

 

まとめ

人の手が紡ぎ、人の生活の傍らにあったもの。膨大な所蔵品に、過去に生きた人々息遣いを感じ取り、匠の技に酔いしれることができる博物館です。ぜひ、足を運んでみてください。

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