スペインと言えば本場のフラメンコ。場所は? マドリード・バルセロナほか、町ごとのフラメンコのカラーの違い。おすすめエリアと日本で、日本語で予約できるフラメンコのお店の紹介です。
フラメンコの歴史
スペイン人ならだれでもフラメンコを踊るわけではない。
そもそもフラメンコは大道芸。スペインの南、アンダルシアの地に流れてきた流浪の民が自分たちの先祖からの受け継いだ踊りとアンダルシアの踊りを取り入れ、独自の踊りを作り上げた。草の根から生まれ、芸を披露するのも、路上であったり、酒場であったり。今でこそ踊り手はアーティストであり、名の通った大家は「芸術家」扱いされているけど。浮世絵なんかと同じ。大衆の、単なる慰みものだった。 バレエみたいに王侯貴族の庇護のもとに発達したのとはぜんぜん違う。
グラナダやロンダ(アルハンブラ宮殿のあるあたり、スペインの南の端)が発祥の地
で、次第にアンダルシア一帯に広がり、ジプシー以外もフラメンコを踊るようになる。 小さいころからフラメンコを学校で習い、お祭りの日には民族衣装を着て伝統芸能のフラメンコを踊る。町の主催でフラメンコのコンテストが行われ、上位入賞者がフラメンコダンサーになる、という、少年野球・少年サッカーのようなフラメンコダンサー養成システムが、アンダルシアではできあがっている。
スペイン各地のフラメンコ
スペインでフラメンコ鑑賞できる主なエリアの特色と、日本から日本語で予約できるタブラオ(フラメンコのサパテアード・足拍子を取るための床板のある飲食店や酒場のスペインでの総称)を紹介します。
- 同じタブラオでも、ワンドリンクつき、タパス(小皿料理)つき、コース料理つきなど、サービスの内容には違いがある。
- 送迎つきのコースもある。フラメンコショーは始まりが遅く、おひらきは深夜になってしまうので、治安面で安心。
- ほかの観光プランと抱き合わせになっていることもある。
- フラメンコ、踊ってみたい! のでしたら、体験レッスンのコースもあります。
バルセロナ
バルセロナに住んでいる人は自分はカタルーニャ人だと思っている。アンダルシア人とは人種が違うと思っている。フラメンコに興味なんかないし、踊れない。
それでもスペイン第一の都市、主要な産業の一つは観光。
「スペインでフラメンコ見たい」「タブラオ行ってみたい」の観光客のニーズに合わせ、フラメンコを鑑賞できるタブラオは右肩上がりで増えている。
舞台やダンサーの質も本家アンダルシアにひけをとらない、良いパフォーマンスを楽しめるタブラオはたくさんある。
エル・コルドベス(El Cordobes) |
王道。スタンダード。劇場の質、ダンサーの質、生演奏と歌。老舗。みなハイレベル。 もちろん一番人気。 ただし料金は高め。 |
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カタルーニャ音楽堂(Palacio de la Música Catalana) | 美しき世界遺産のコンサートホールの、しかも夜の風情を楽しめる。 フラメンコを見れば一石二鳥、一挙両得。 |
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パラシオ・デル・フラメンコ (Palacio del Flamenco) | 場所が元劇場で、店内が広く、天井が高い。バルセロナのタブラオの中でも最大規模。 伝統のフラメンコに現代の解釈を加えた演出。見やすいかも。 |
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ロス・タラントス (Los Tarantos) |
ショーが30分と短い。料金が安い。 かわりにダンサーの質にはばらつきがあり、店内の内装も現代風。 |
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タブラオ・デ・カルメン (Tablao de Carmen) |
バルセロナのはずれ、スペイン村の中にある。中心部から距離がある。 スペイン村もあわせて楽しみたい。 |
マドリード
伝統と格と歴史のステータス持ってるタブラオの数だとマドリード。
大道芸や余興が洗練されてきてレベルが高く、グラナダやセルビアあたりのおおらか、素朴、荒削りの踊りが変わってくる。食事も素材から厳選したスペインの伝統料理、壁には著名人のサイン。
ネームバリューのあるダンサーの出演歴、有名人の通ったお店などのエピソードも、当然田舎より豊富。
トーレス・ベルメハス (Torres Bermejas) |
アルハンブラ宮殿のベルメハスの塔の内装を再現した店内、お料理も高級。 フラメンコの世界のスターを数多く輩出している。 |
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コラル デ ラ モレリア(Corral de la Moreria) |
内装はレトロで、フラメンコが生まれた時代と地域を再現。 もちろん有名アーティストを数多く輩出。 |
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ビジャ・ロサ(Villa Rosa) | 作家のアーネスト・ヘミングウェイやハリウッドスターのエヴァ・ガードナーも通った。100余年の歴史と名声を誇る老舗タブラオ。隣接のビクトリアホテルには、数多くの闘牛士たちが宿泊してきた。 | |
カサ・パタス(Casa Patas) |
日本のドラマのロケに使われたことがある(萩原聖人出演)。 踊りの質が高く、イベントの会場としても使われ、国際的にも知名度が高いタブラオ。 |
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カフェ・デ・チニータス(Cafe de Chinitas) | 18世紀のタウンハウスをタブラオに改装。マントンや闘牛のモチーフが用いられ、マドリードのアルムデナ大聖堂の扉の彫刻家、マヌエル・サンギーノをはじめとする彫刻家たちの作品がある。 | |
ラ・キメラ(La Quimera) | 伝統に忠実に、歌とギター、手拍子とダンスのみのフラメンコショー。フラメンコ通に人気 |
グラナダ
フラメンコ発祥の地の一つ。
荒削り・粗野な踊りかもしれないが、フラメンコの源流、もともとの姿を見るのであれば、大都市よりは田舎。スペインの北よりは南。
また、その昔、フラメンコを踊り始めた流浪の民(ヒターノ・ロマ)の住まいは洞窟だったので、「洞窟タブラオ」でフラメンコ鑑賞が楽しめるのはグラナダ。
ベンタ・エル・ガリョ(Venta El Gallo) |
アルハンブラ宮殿の前という恵まれたロケーション。 |
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クエバ デ ラ ロシオ(Cueva de la Rocío) |
洞窟タブラオ。 アットホームな空間で情熱的な踊り。2010年には観光大賞を受賞。 |
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ラ アルボレア(La Alborea) |
踊りの質が高い! ダンサーはステージで踊り、内装は現代風。 |
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ハルディネス デ ソラジャ(Jardines de Zoraya) |
グラナダの老舗一流タブラオ。 最高のフラメンコと洗練された店構えと地中海料理とワイン。アンダルシア情緒満点! |
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テンプロ デル フラメンコ(El Templo del Flamenco) | オープンは2012年。 グラナダで最も大きい洞窟タブラオ。もとは古い聖堂であったとの言い伝えあり。 広い店内のどの部屋にいてもショーがよく見えるよう工夫されている。 |
セビリア
アンダルシア地方の最大の都市であり、州都。スペインの3大祭りはバレンシアの火祭り、パンプローナの牛追い祭り、そしてセビリアの春祭り。男性も女性も総出で伝統的な民族衣装に身を包み、町中がフラメンコを踊る。と本格的。母数が多いので、ダンサーの層が厚く、現在「フラメンコの本場」といえばセビリアあたりのこと。
エル・パティオ・セビリャーノ(El Patio Sevillano) | 速水もこみちが行った。 スペイン最古のタブラオで著名人も多く訪れるセビリアの名所となっている。 |
セビリアでフラメンコ鑑賞体験一部始終
セビリアでのフラメンコ鑑賞を選んだ理由は
- 女おひとりさまの旅であり、深夜に及ぶフラメンコショーは気が進まない。
アンダルシア地方は、個人旅行ではなくツアーに参加。 ツアーではオプションとして夜、セビリアでのフラメンコショーのメニューがあったので、
- みんなと一緒、添乗員さんつきなら安全面はパーフェクト
- 本場のフラメンコを1回は見ておきたい
ことか
ら申し込みました。
(フラメンコツアーは現地で現金払60ユーロ)
ホテルロビーに集合、フラメンコ劇場まではバスで送ってもらえる。
隣にはマエストランサ闘牛場。スペインといえば『カルメン』。『カルメン』の舞台はセビリア。『カルメン』に出てくる闘牛場がマエストランサ闘牛場。外観はスペインらしくカラフルでエキゾチック、かつエレガント。
スペイン情緒たっぷりの入り口
お店の外観
劇場の中
二階席もあった。
収容人数300人のフラメンコ専用の小劇場。私たちが行った平日夜のお客さんは1階席だけで間に合ってしまった。 当方日本人一行は6人。アメリカ人の団体客らしい集団が30人くらい。(個人客もいたかいないかは不明)
で、21時30分にフラメンコショーがはじまります。
ショーの最中は、写真撮影は禁止。
(観客は踊りに集中し、ダンサーは気が散らないよう)
ざっと1時間半のステージ。ステージは男女3組6人、ギター奏者と歌手3~4人、でほぼいっぱい。
ショーは1曲終わってキャスト交替、1曲ごとにギター演奏と歌のみ、『カルメン』のあらすじをパントマイムとフラメンコで長めに熱演、ダンサーも男性のみ、女性のみ、1ペアで踊る、両手に花で男1人女2人とか、カスタネットを奏でながら踊ったりとか、バリエーション豊か。曲相も明るめ・ドラマティック・アップテンポ・悲壮・スローナンバーといろいろ。
フィナーレだけは写真撮影可能なので、一生懸命写真を撮る。
フラメンコダンサーは熟女&ど迫力。
ダンスは日本でミュージックビデオや映画やテレビ番組鑑賞などが関の山の私。
生でフラメンコダンサーを見て、率直な感想は
…太っている…。
BMI軽く22・3はいくのでは。健康体重なんだから誠に結構なのですが、吹けば飛ぶような!? 枯れ木の小枝のような細身のダンサーを見慣れた身には新鮮すぎた。さらに頭が大きい。そしてスペインの女の人は目鼻立ちがはっきりしており、舞台人としては当然ながら、化粧が濃い。
加え、前座や脇役ならともかく主役を張るのは、40代くらいからに見えた。
つまり
「大柄で目方のある熟女が本気でサパテアードをダンダン鳴らし、スピードと迫力ある重量感のスピンやターンはつむじ風をおこす勢い。背中を反らしたり扇を振り上げたりしてはっし! と観客に視線を向け、ポーズを決める。凄みがある踊りを、日本のコンサートホールとは比べものにならない近い距離で鑑賞。」
となる。
日本では、群舞のフラメンコなど、気軽に見に行ける機会は滅多にない。
楽しかったです!
劇場ロビー
街角でフラメンコを踊るセビリアのお嬢さんたちのタイル絵がステージに
最後の踊りは明るく楽しく軽快
男性の踊りもセクシーでかっこよかったです!