メスキータはスペイン南部、アンダルシアにある古都、コルドバ(人口30万人くらい)にある。世界最高のイスラム建築のひとつ 。 スペインに行くなら、アンダルシアに足を伸ばすなら、絶対に見るべき。行くべき。世界中のどこにもない、ユニークな造形美。とっても私好みの世界遺産でした。
概要
住所
Calle Cardenal Herrero, 1, 14003 Córdoba
開館時間
3月から10月まで
月曜日から土曜日 10:00~19:00
日曜日および聖日 8:30~11:30 および15:00~18:00
11月から2月まで
月曜日から土曜日
10:00~18:00
日曜日及び聖日
8:30~11:30及び15:00~18:00
休館日
なし。年中無休
入館料及び無料入館日
10ユーロ
ミナレットに登るには2ユーロ
ナイトツアーは18ユーロ
ナイトツアーのみオンライン予約受付
月曜~土曜日の8時30分~9時30分は無料で見学できる(入場は~9時20分)。
ただし、ミサの時間のため、礼拝堂には入れない。
公式HP
(スペイン語・英語・フランス語)
その他
世界に知られた名刹ですが、日中の入場券も窓口でしか買えないし、マドリードやバルセロナみたいに「有名観光スポットなんだから混んでいてもがんばらなきゃ」的な張り詰めた空気がない。程よい・心地よい人出。混んでない。
お土産物屋さんがなかった! 普通、見学順路の終わりには、関連グッズ売ってるお店があるんですけどねえ。
(歩いてすぐのユダヤ人街でお土産は調達できます)
つまり、のんびりとしていながら雅やか。川ぞいにあり、カラッと乾燥したアンダルシアにあって、湿気を感じました。むろん、日本の夏に比べるとぜんぜんたいしたことありませんが。
コルドバ メスキータの美と歴史
コルドバ駅からメスキータまでは2kmあまり、車なら10分。歩いても20分くらい。
城塞があって
アルモドバル門が見えてくる。
大きい~。入口が狭い!
門の脇には、コルドバ出身の哲学者、セネカの像。ローマ皇帝ネロの家庭教師として有名な哲学者。
門をくぐり、ユダヤ人街を歩くと、メスキータの塀です。
中に入ると目に飛び込んでくるのは続く馬蹄型のアーチ。
アーチの空間をふさぐ扉?壁?の 大きな幾何学文様がイスラミックな香り。
直線の組み合わせだけなのに、どうしてこうもエレガントになってしまうのでしょう。
いきなり目に飛び込んできたのはキラキラ輝く金色。
ガイドさんが「これはすごい! 初めて見た! 」と声を上げる。
お祭りの山車。
入口の赤と白の縞模様も凝った装飾。やっぱり幾何学文様。
厚い扉の向こうには。幽玄の世界が。
古代ギリシャ、古代ローマやビザンチン様式の混在するイスラム建築。
息を呑むような美しさの円柱の柱、折り重なるアーチ。
黄金の山車も大きい。数も多く、キリストさまの生涯を描く人形たちがポーズを決めている。
スペインではイースターの時期のお祭りを「サマナ・センタ」といい、アンダルシアのお祭りはことに華やか。
日本ではセビリアのサマナ・センタの方が有名みたいですが、コルドバにはこんな豪華な山車・おみこしが。
本番のお祭りでは、この山車に何百本というロウソクがともされ、
聖書に描かれた物語はロウソクの光に照らし出され、何十台とつらなり、しずしずと、町をねり歩くのです。
山車・おみこし以外にも常設展示はあり
ガラスケースにおさめられた昔から伝わる品々や
華麗な装飾も近い位置でまじかにあり
円柱には職人さんの名が刻まれていたりする。
屋外にはかつて使われていた木材
木に刻まれた彫刻などが
長い回廊に展示されていました。
スペインのジブラルタル海峡を越えれば、アフリカ。
昔、スペインの地は、アフリカから攻め入ったイスラム教徒が治めていた。
だからスペインの南の方の建築やデザインには、イスラムの影響がある。
さて、アンダルシアを征服したアラブ人。アラーの神に祈る礼拝堂を作る。
工期と費用の節約のため、キリスト教の教会や、ローマ時代の神殿から、大理石の柱を持ってくる。
みんな長さが違う。
ドーム構造の、高い高い天井の礼拝堂や教会が作られるのは、もう少し時代が下がってから。
そして持ってきた柱を有効利用し、さらに高さを出すために二重のアーチ構造とした。
赤いレンガと白の石灰岩を組み合わせたストライプの二重のアーチ。8世紀。
視覚的効果は絶大。
時は過ぎ、礼拝堂は次々と増築されていく。むろん、始めと同じデザインで。縦に2回。回廊の長さは倍近くになった。次に横。2倍の広さ。
もっとも、時代が下がると、白の大理石の柱を使えず、黒の大理石の柱になっていたりする。
予算の都合で、最初は赤レンガと石を組んだアーチは、石のみに変わり、赤レンガ色の塗料を塗る。
と素人目にもわかりやすかったりするものの。
つまり棟の広さ、100メートル㎡あまりにわたって、ほの暗いお堂の中は二重アーチのツートンカラーが幾重にも幾重にも連なり、続いている。
結果、まるで無限に世界が拡がっているかのように華麗で幻想的。
いままで見てきた日本や世界の古い建物は、彫刻とか絵とかで飾られていた。
メスキータは構造だけで。シンプルなのに、規模とデザインで、ものすごい完成度を持っている。
10世紀までに完成している。
日本でいえば平安時代。メスキータに参拝に訪れたイスラム教の信者は、神様の姿は見えねど。神様の気配をきっと感じたに違いない。
イスラム教徒はキリスト教徒に攻め滅ぼされ、コルドバでも教会が必要だ。
でも、キリスト教徒は、イスラム教徒が作った、この礼拝堂を、壊せなかったんですね。完成された美ゆえに。
そして二重アーチの間の真ん中に巨大なキリスト教の礼拝堂を作ってしまう。
メスキータを見ずに、メスキータを壊し、真ん中に礼拝堂を作れと命じたスペインの王様は、後に実物のメスキータを目の当たりにし
「世界に2つとないものを壊し、世界のどこにでもあるものを作ってしまった」
とため息まじりに後悔の深い吐息を漏らされたと伝わります。
信じる宗教は違えど、先人の残した遺構の業績の大きさに打たれ、地域の人々が守り伝えてきた堂々たる世界遺産。
1,000年以上前の世紀の美のイスラム建築が今日まで建設当時の姿のまま伝わる。
ついでに(と言ってはいけないのでしょうが)14世紀ごろから建設されたキリスト教の教会の内部も見学できる。
連なる円柱の他のみどころはメッカの方向を示すマクスラとミフラープ
メスキータで最も豪華な場所。
ダークカラーと燃え立つ黄金。
辛い浮世を忘れさせてくれる場所。祈りを捧げる場所です。
イスラム教は偶像崇拝は禁止されており、キリスト教の教会にはよくある、神様の絵や彫刻がない。
かわりに幾何学模様や植物をデザインしたアラベスク模様などが発達した。
テレビや本で見かけるたびに、憧れていた。
個人的には、
ベルサイユ宮殿より、アルハンブラ宮殿が好みなのです。
ノイシュヴァンシュタイン城よりアンコールワットに行ってみたい。
ノートルダム寺院よりもメスキータに行ってみたかった。
スペインに行ける自分を、想像もしていなかった、ずーっと前から。
スペインで、イスラム建築(スペインではムデハル様式とよばれている)は絶対見て帰ろう。
決めていました。
見学を終え、外に出る。
イスラム寺院の塔は「ミナレット」と呼ばれています。
塀とメスキータに囲まれているのは「オレンジの庭」。
イスラムの塔と
キリスト教の礼拝堂が
並び立っています。
メスキータの外には、キリスト教徒によって塞がれてしまった門の跡が残されている。
きれいだなあ。
周辺観光スポット
ローマ橋
ちょっとあるくと(5分くらい)
グアダルキビル川が流れており
ローマ時代の橋が残っています。
つい最近まで、実際に使われていた。今は観光客だけ。
橋の手前にはこれまたローマ時代の立派で重厚な門。
ユダヤ人街とお土産物屋さん
川・橋・門と同じく、歩いて5~10分で白い壁(アンダルシアは暑い)、細い石畳の迷路のような道に迷い込んでしまいそうなユダヤ人街。
イスラム教徒がコルドバ(に限らず)を支配していた頃、町にはイスラム教徒・キリスト教徒・ユダヤ教徒が共存共栄していた。
かつてのイスラム国家の懐の大きさ、寛容さが伝わってきます。
今は観光客相手のお土産物屋さんが立ち並び、かわいい、アンダルシアならではの品々は見てのお楽しみ。