スペイン名物・伝統・国技、闘牛。でも牛さんが闘牛士さんに刺されてしまうのをわざわざ見に行く気にはなれない…。
マドリードのラス・ベンタス闘牛場は、闘牛のない日・時間帯なら見学できる。しかも、日本語対応! 行ってきました。レポートします。
概要
住所
Calle de Alcalá, 237, 28028 Madrid, スペイン
アクセス
地下鉄 ベンタス駅を降りてすぐ。
時間
朝10時から、6月から9月は18時30分まで、
10月から5月は17時半まで。
30分刻みで予約できる。
所要時間は、1時間程度。
料金
大人 14.9ユーロ
学生 11.9ユーロ
シニア、5~12才の子ども、障がいのある方 5.9ユーロ
5歳以下の幼児は無料
( ↓ こちらから日本で予約できます)
ラス・ベンタス闘牛場 内部見学ツアー<午前・午後/マドリード発>
本物の闘牛を見るには
スペインのどこででも闘牛を観戦できるわけではない。バルセロナでは完全廃止され、闘牛場はショッピングセンターになってしまった。
ラス・ベンダス闘牛場の闘牛は、3月から10月までの毎日曜日の午後開催。日陰の席は高い。日向の席は安い。
(闘牛の開かれる日の席と入場料)
( ↓ こちらから日本で予約できます)
闘牛観戦ツアー(3~10月の日曜日)<マドリード発>
公式ホームページ
Plaza de Toros Las Ventas - Madrid - Web oficial
ラス・ベンタス闘牛場 入場まで
地下鉄にそのものズバリ「ベンタス」駅があるので迷わない。(2号線・5号線)
マドリードの地下鉄は安全・清潔。女性おひとりさまの私でも安心して利用できます。
「ベンタス駅」で下車の上、地上に出ると
目の前にラス・ベンタス闘牛場が! 絶対迷う心配なし!
10時、朝一番の予約で、2~30分前には到着してしまったので、人はまだ少ない。
闘牛の日には、スタンドオープンするんでしょうね。チケット売り場かなあ。
レトロなポスター。でも、今期ものですよ。
正面入り口。
ゲート脇のポスターは闇の中光が差し込み、闘いに向かう牛がリアルですね。
ネオ・ムデハル様式の闘牛場。イスラムの流れを組むアーチの形。建築は1931年。
闘牛場の周りには、観衆の歓呼の声にこたえる闘牛士の銅像
荒ぶる牛に挑む闘牛士の銅像(下の3人は何をしているのだろう)
私が行った日は雨模様。お土産屋さんが開店準備をしている。
団体ツアーの撮影スポットにもなってるみたいで、バスが次々と止まり、写真を撮っては次の場所に移動していく。
闘牛場の前は環状線の大通り
クラシックなマドリード中央部とは一味違う街並み
帽子をとり敬意を表すマタドール。
ペニシリンを発見したフレミング博士に感謝を捧げているのです。
天を仰いでいるのは
ルイス・ミゲル・ドミンギン(Luis Miguel Dominguín 1926-1996)。
1940~50年代、スペインの国民的人気を誇った伝説のマタドール。
露店のお土産屋さんが開店したので行ってみる。
かわいいお土産がたくさん。
ラス・ベンタス闘牛場 見学ツアー
入場・受付・①大門
時間になったら、「正面門右手のチケットオフィス」でバウチャーをチケットに交換。
私が行った日は、行列はなし。
正面の鉄格子の門が開く。
チケットを出し、パスポートと引き換えに、日本語オーディオガイドを受け取る。
パスポート、出したくないのですが、仕方がない、パンフレットを渡され、
11番、博物館カウンターでオーディオガイドと引き換えにパスポートを返す、と身振り手振りで説明を受ける(注:私、英語もスペイン語も話せません)。
行く場所行く場所、オーディオガイドの番号があるので、見つけたら番号を押して説明を聞く方式。
大門はいわば花道。闘牛士が牛を倒し、観客が納得した時だけ、闘牛士は大門から退場することができる。
天井もムデハルの紋様。色数を使っていないのでシック。
階段を上り
2階。外観は華麗な作りだったけど、入ってみると案外質素。闘牛の日は、人であふれかえるのでしょうね。
バルコニーに出ることができます。
②テラス
テラスからの眺めは
さっきまでいた入口前広場、遠くに街並み。
振り返ればタイルの紋様や、レンガの浮き出しの幾何学模様に目を奪われてしまう。
雨模様だけど、光はさしてきて、回廊を進むと
③野生の牛
牛のはく製が展示してある。
牛を群衆の面前で殺すなんて残酷。ごもっともです。
しかし闘牛の起源って、そもそもは神様への命の捧げものですよね。
フランドルの画家、ファン・エイクの畢生の大作「ゲントの祭壇画」には「神の子羊」が描かれている。胸から血が噴き出している。神々しい表情のままで。
南米では子どもの生贄のミイラなんかも時々見つかって、話題になったりする。
自然の前に、人間はあまりにも無力だ。どうか私たちを見守ってください。私たちにとって、かけがえのないものを差し上げます。だからどうか、私たちを生き永らえさせて。
時代が下がると、王の前で、騎士と牛が戦った。己の武勇と、王への忠誠を見せるために。
日本で見る牛や写真の牛と、違うなあ。思ったより小さくてきゃしゃ。顔が小さくて花が平べったくて大きい。そして角が立派。
黒毛和牛とホルスタインの写真しか知らない。スペインの牛は、グレイだったり茶色だったり。
パッと見、小さそうに見えるけど、500kgもある。
さらに進んでいくと
中には人の気配がぜんぜんありませんけど、順路はわかりやすい。
④屋根のない観客席
日曜日、闘牛の開催される日の朝一番に行った。夕方から闘牛が始まる。
そして今日は雨なので、全面白いシートで養生してある。
そして広大な観客席が見渡せる。収容人数24,000人弱。
振り返れば、ロイヤルボックス。
一般観客の座席は石です。当日は座布団は有料で貸してもらえる。(本場の闘牛ははじめからおわりまで見ると3時間かかる)
⑤闘牛退場門
「門」とは言ってますが、置いてあるのは牛のはく製とプレートです。なぜここが退場門なのだろう。いいけど。
牛の毛並みの色の説明のプレートと
スペインの地図に〇がついている。固有種の牛なのでしょうか。前にみた牛のはく製とちょっと顔も体つきが違い
地図の○の位置が変わると、また牛が変わる。
簡素な造りにも見えるけど、窓の金工の装飾はキレイ。さすが。
⑥砂場
再び闘牛場の中に入ると、観客席は木製で、日よけつき。
まじかに見る(養生された)砂場。
振り返るとすり鉢状の闘牛場の高さが感じられ
建物に戻る通路脇のモニターでは、スペインの原野を疾走する牛たち。
濁流の中
勇ましく進んでいく。
⑦闘牛の門
ここから、連れられてきた牛が、解き放たれるんだ~。
⑧闘牛士たちの門
ここから闘牛士たちが華麗に入場。
屋内に戻ると
歴代の人気闘牛士の写真が展示してあります。
大観衆のどよめきを感じなきゃ。
⑨医務室 売店/ギフトショップ
今までの通路は暗かったけど、ココの通路は明るく、タイル張り。
闘牛士にはケガと事故はつきもの。ラス・ベンタス闘牛場では、闘牛が開かれる時には必ず医師が常駐する。医務室を供えた闘牛場は、珍しいのです。とは、オーディオガイドの説明。
左半身が人体解剖図、右半身は闘牛士の衣装の説明図。
華麗な衣装は、あるいは死んでしまう時のため。死装束の意味合いがある。死を覚悟して牛に立ち向かう姿を、スペインの人々は、昔から、固唾をのんで見守り、喝采を送ってきたのですね。
ムデハル様式の装飾がここにも。
売店へと続きます。
記念に闘牛士の扮装!? で写真が撮れる。
大きい闘牛場ですけど、ショップは小さい。
カラフルですね~。子どもが喜びそう。
ショップを抜けると
外に出る。
中庭があります。さっきから動物の匂いがしていた。今日は夕方から、闘牛がある。牛が連れられてきたのでしょう。奥が牛小屋で、男の人たちが集まっている。
⑩礼拝堂
外観だけで、内部の見学はなし。闘牛士が神に祈りを捧げる部屋。命がけのお仕事をしている人は、信心深いし、ゲンをかつぐ。暴れ牛に立ち向かう前に、神に御加護を願う。
なので、お目当ての闘牛士の待ち伏せにも使えるスポットなのだとか。
⑪博物館
ここからは写真撮影禁止です。ロッカーに荷物を預けさせられ、窓口の人にチケットを見せ、2階へ。
闘牛場は、外観こそ立派だけど、内部は経年なりの年季が見て取れる。
一方、博物館は明るく、新しい。
展示物は昔の闘牛の絵、かつて闘牛で使われた道具、牛の剥製、闘牛を題材にした絵やポスター、歴代闘牛士のバイオグラフィーの紹介と衣装・装束の現物など。数も多く、展示物の状態は良好。
オーディオガイドはないし、説明のプレートもスペイン語のみなので、ざっと見て回ることしかできませんでしたが、ひととおり見ていくと10~20分はかかる。
女性なら、歴代闘牛士の豪奢な衣装なんかに見とれてしまいそう。色もビビットだし、凝らされた装飾も分厚く、写真や映像で遠目に見てもわからなかったゴワゴワ・デコラティブな細部がよくわかる。
男性なら、360度スクリーンで上映される闘牛なんでいかがでしょう。真ん中にたち、「オレ!」の大観衆のかけ声を浴び、気分は花形闘牛士!
展示物を見終わり、カメラやスマホをコインロッカー(戻ります、無料)から出し、オーディオガイドをロッカーの向かいの受付に出し
「サンキュー、サー。パスポート プリーズ」と
お願いし、無事パスポートを返していただけました。めでたく一件落着!
闘牛のスペインでの人気
長い伝統をもつスペインの国技なんだし、殺された牛は食用にされるから、無駄に殺生しているのではない。
しかし動物愛護の機運がさかんな昨今、旗色は悪い。
スペインの今の最大の大衆の娯楽はサッカーで、闘牛の人気は右肩下がりであることだけは間違いない。
宗教的な意味合いはなくなってしまい、王様の庇護もない。
そう簡単になくなったりはしないはずですが。
見学ツアーを終えての感想
オーディオガイド利用なので、時間や曜日の制約が比較的少ない。
見て回る観光スポットが、何百年も前のお城や教会ばかりなので、新しめの施設は目新しい。
公共施設で、規模壮大。
マドリードの観光スポットの中で、ムスリムのエキゾチックな雰囲気漂うムデハル様式はわりとレア。
ほぼ貸し切り状態(時々1~3人の観光客を見かける・すれ違う程度)
スペイン情緒はたっぷり味わえる。
スペイン国内にはいくつか闘牛場はあるけど、日本語対応のあるのはラス・ベンタス闘牛場だけ。
入場料を払って、空のスタジアムに入れるだけの闘牛場もあった。
バルセロナには現役の闘牛場はない。(禁止してしまったので)
アンダルシアには闘牛場はあるけど、アクセスに難あり、おおあり…。
…となるとマドリードで行っておくしかない。
行って良かったです。
もらったチケットとパンフレットの画像です。
ツアーへの参加は ↓ こちらから申し込めます。
マドリードの闘牛場見学・闘牛観戦ツアー