車通勤。週1~2回、ジムで歩いたり走ったりする程度の脚力で朝4時半出発・19時解散の縄文杉トレッキングツアーのミッションを完了できるのか!? 旅行前は不安でいっぱい。やりとげましたよ!
出発前
前日は島内バス1周ツアーに参加。ガイドさまに
「日ごろ運動などあまりしていない私は果たした縄文杉に行って帰ってこれるのでしょうか」
とストレートに疑問をぶつけてみたところ
「体力さえあれば行けます。がんばってください。」
との激励のお言葉をいただきました。
ツアー会社からは1週間前と前日に電話連絡があり、体調の確認とツアー参加の注意事項についてお話があった。
ホテルにチェックインするとツアー会社からの最終確認のペーパーが届いている。
(雨に濡れてズタボロで恐縮です)
- 当日ご一緒してくださるガイドさんのお名前
- 集合場所日時と場所
- レンタル品の確認(登山靴・上下レインウエア・リュックサック)
- 朝食(バスで登山口まで登り登山口まで5時~6時に食べる)・昼食のお弁当手配の確認
- 持ち物や注意事項の最終確認
が記載してありました。
ちゃんと起きられるだろうかと緊張してしまう。
ホテルのモーニングコールとスマホの目覚ましを二重にセットし、なんとか集合時間、4時半の前にホテルのロビーに出て行くことができました。
ロビーには20人ぐらいは人がいた。
ガイドさまと合流
名前を呼ばれガイドさんとご対面。
60代後半から70代くらいのベテランガイドさん。
愛想は移住者の若い人にはかなわないかもしれないが知識と経験は誰にも負けないオーラに包まれている。
レンタル品を受け取り、リュックに荷物を詰め、レインウエアを着て登山靴にはきかえて車に乗り込む。
一行は7名。ガイドさん、20代くらいの女の子3人組、小6の男の子とお父さんの親子、私。
車はお弁当屋さんでいったん止まり、私は降りて名前を告げお弁当を受け取る。
車は登山口駐車場へ。登山者は登山口までの専用のバスに乗る。
バス料金往復1,400円。他に屋久島自然環境整備基金1,000円を切符売り場で支払う。
新型コロナウィルス対策として
- バスは定員の半分で運行
- 名前と連絡先を書いた紙を自分の乗るバスの専用ボックスに入れる(万一感染が発覚したときの連絡先として保管)
- 運転手席にはビニールシールド付き
- 乗客はマスク着用
バスが登山口に到着したのは5時半過ぎで日の出前。
参加者は輪になって無言でお弁当を食べる。
縄文杉トレッキングツアー
夜が明け明るくなった6時ごろ、
ガイドさんが登山入口で参加者の写真を撮ってくださり、さあ、出発です!
初めに歩くのはトロッコ跡の木道。
ガイドさまから厳重に注意があったのは
トロッコ道の枕木(線路跡の内側ではなく外側にある部分)に絶対立たないこと!
霧と雨と苔で濡れており滑る。
今年は新型コロナウィルスの影響で観光客が少なく余計に滑りやすい。
普段はなんてことなくても、慣れないトレッキングで疲れている。
すれ違う登山者を避けようとして足元がふらつき、橋の下までまっさかさま~。
落ちた人は血まみれ。
当然トレッキングをその場で中止。救助隊が到着するまで〇時間~。
豊富な体験を持つガイドさまはリアリティーたっぷりに語り続けるのです。
すごいと思ったのは帰り道の終わりごろ。
疲れて意識も朦朧としてきた私が、つい枕木の上に立つと
「ハイ、ダメ~」
とすかさず声をかけてくださった。見ていてくださっている。ありがたかったです。
当日の天気は、出発時は曇り。
3時間くらいは濡れた木道を歩く。
滑ってころんで迷惑はかけられない。安全第一。
無事行って、無事帰ってきたいんだもの。
歩いている時はひたすら足元に注意を払い、回りの景観を楽しむのは諦めた。
とはいえ、みどころはポイントごとにガイドさまから声がかかり、一行は足を止めて説明を聞くことができるし、写真撮影タイムも設けてくださる。
目を移せは、その都度大自然のパノラマ。
みるからに登山慣れしていない私たち。先頭を歩くガイドさまは歩くペースをかなりゆっくりめに調整してくださったので、
ずぶの素人でも、進むことができました。
お天気は下り坂。雨の気配は濃厚なのですが、空から雨は降ってきても森の木の枝が雨粒を受けてくれる。登山客の我々は霧雨にむせび、じわじわと濡れていく。
そして、動いているから、体温も上がっている。霧雨に濡れても、濡れちゃった感はなく、むしろ暑い!(注:参加は9月20日)。湯気を立てながら歩いているイメージですね。
休憩は2回。屋久杉を切り出す前線基地のような集落(小杉谷集落)の跡地を少し過ぎたあたりに
小杉谷休憩舎という東屋タイプの、2~30人くらいまで使える休憩所がある。
最後のトイレは木道の終点、登山道の入口の大株歩道入口。
手前にもう1か所、トイレはあったけど、誰も希望者がいなかったため、通り過ぎるだけでした。
登山道に入るとトイレはこの先にはない。もっともガイドさまは
「携帯トイレ持ってきてますからどうしてもの時は早めに声をかけてください」とおっしゃってくださった。
屋久島の森の中でガイドさまに教えていただいたこと
木道のクライマックスは苔むす森でしたね。ガイドさまのお話。
屋久島は花崗岩でできており半端なく雨が多く湿度も高い。
岩に苔がはえる。厚みが4~50センチくらいになる。(厚さ2㎝くらいのをちょっと触ってみたら、しっかり水を含ませたスポンジみたいな感覚だった。)苔の上に植物が自生する。 樹齢1,000年以上の杉だけが「屋久杉」と呼ばれる。
種類としては本土の杉と同じなのだが、苔を土替わりにしていると栄養がたりない。やせた土壌(苔壌というべきか)なので発育が悪い。
1年に育つ年輪はせいぜい5mm。つまり屋久杉はよその地域の杉にくらべて年輪の幅が極端に狭い。木目が細かい。
また、よその地域の杉に比べて油分が多く、築年数が過ぎてもシロアリの被害にあいにくい。
また樹齢1,000年を超えると、地元の人の言葉でいえば「杉が化ける」。
杉と言えば大きくて古いお寺の参道の杉並木の、太くてまっすぐ、天を突くかのように伸びるイメージが先行してしまうのですが
屋久島で杉が樹齢1,000年を超えると、幹は当然巨大。幹の肌が凸凹になり、こぶができる。
さらに台風が多いから、大風で幹や枝が折れてしまう。巨木であり、枝ぶり・幹ぶりが奇観になる。
近くに杉の木があると途中で合体しちゃったりする。
他の木を巻き込んで育ち、ほかの木が枯れちゃうと巨大な空洞ができたりする。
幹にも苔が生え、そこに他の植物が根付く。1本の杉の木から別の木が何種類も育っていく。
他の植物は、根を地表へと地表へと伸ばし(屋久島ならでは湿度が高いからこそ使えるワザ)これまた奇観。
花の時期だと杉の木に白だのピンクだのの花が咲く。
花の季節でなくても、葉陰が杉と全然違う。
1,000年もたつと、杉の葉は出方も色も若木とは貫禄大違い。
縄文杉・仁王杉・紀元杉・大王杉・三代杉・夫婦杉と名前がつく。
縄文杉より大きい、天空杉っていうのもあるんだそうです。
ただし谷の奥深くにあり、一般人が見に行けるレベルではない。
森の中、薄く霧が立ち込め、苔は水気を含んだ鮮やか色のグリーンで、水滴なんかついている。
撮影してみたけどうまく撮れなかった。
ハイスペックな機材を持っている写真愛好家の方が狙うショットだとのこと。
『苔むす森』の屋久島の有名スポットには白谷雲水峡、という映画『もののけ姫』の舞台ともモデルとも言われる人気エリアは別にある。
縄文杉のトレッキングツアーの途中で、案内板は見かけた。
行ってみたいのはやまやまだけど、縄文杉だけでも行けるか行けないか自信のない私は、無理もできず、今回は行けなかった。
縄文杉を見に行く途中でも、森の神秘的な雰囲気はとても、楽しめたし、
はるばる来てよかったなあ。と感動してしまう風景でした。
木道エリアは終わり、本格的な登山が始まる。
3時間歩いて、もう2時間。で縄文杉です。