毎日運転してるけど、正直言って車にあまり興味はない。しかし土曜の夜のお楽しみ『名車再生! クラシックカーディーラーズ』は面白い!
『名車再生! クラシックカーディーラーズ』とは
BS11デジタルで毎週土曜日21時から放映されているイギリスのテレビ番組。仲買人が車を買い付け、メカニックが車を修理する。
仲買人が「マイク」、メカニックが「エド」。
大人気シリーズで、2003年にスタートし、シーズン15まで作られている。私が毎週見ているのはメカニックはエドだけど、途中で降板して今は別の人に変わっている。まだお会いできていません。
『名車再生! クラシックカーディーラーズ』の面白さ
クラシックカーが毎週入れ替わり立ち代わり現れる。
1回の放映で、1台、車をリカバリーする。マイクが車を見つけてくる。
「修理していくらで売っていくら儲けが出るか」が毎回のストーリーの流れ。
市場に出回っている車を買ってくるので、博物館に飾っておきたいような王侯貴族の乗っている車じゃなくて、一般の人が町乗りに使っていたり、農家の納屋に放置してあったような車が出ることが多い。
例外としては、コレクターが長らく秘蔵していた1台を年取ってもう使う機会もないだろう。または売って車を置くスペースを確保したい(コンディションは良好だけど10年単位で時間は経過しており、リカバリー作業は必須)なんて回もあった。
私などは、恥ずかしながらクラッシックカーの知識など全然ない。
その分素直に「今日の車は何かな~。」と興味津々。マイクがこの車種を選んだ理由と車のチャームポイントを熱く語り
そうなんだぁ、と丸ごと鵜呑みにして見ています。楽しい。
クラシックカーの年代は、さすがにT-フォードなんかは見たことがない。戦後の車。30~40年落ちの車が主流。ただしスペシャル回では、博物館に飾ってある20世紀初頭、100年モノの車を同じようなクラシックカーが集まるカーレースに出場させるためにおカネ抜きでリカバリーした。
画面ではイギリス人が車の傍らに立ち、値段交渉をしたりリカバリーの説明をする。を見ることで車の大きさをイメージできる。日本の5ナンバー、3ナンバークラスの、普通に町を走っている大きさの車がほとんどです。
車の国籍はグローバル。メインは西ヨーロッパ(イギリス・ドイツ・フランスなど)だけど、もちろん日本車も登場しているし、アメリカ車もリカバリーする。変わり種では、社会主義時代のポーランドの車なんてのもあった。(買った人はイギリスの地方都市でクラシックカーの博物館をやっていて、レアな車を是非とも手に入れたいと遠路はるばる実物を見に来た)
吹き替えが良いのか元からなのかまではわからないけど話と話の調子が面白い
マイクは敏腕ディーラーさんで、毎回
- リカバリーする車に目をつけた理由
- 売主に会いに行き、試乗して車のコンディションを確かめ
- 素晴らしい車だと持ち上げながら気になったポイントを伝えて値切りにかかる
- 売主との値段交渉はおおかた2~3往復。「現金払いで」で笑顔・握手で交渉成立
- お買い上げのクラシックカーをエドのところに持っていく。 車への愛を語り、リカバリー箇所を伝える
- リカバリーの最中にちょこちょこ現れ、経過を見届け、ひとくさりしゃべる。
- 古い車なので、部品調達に手間取ることもままある。スムーズにリカバリーが進むよう、行った先での作業や工場の様子が流れることもある。
- リカバリーが終わると、2人はガレージ前に集合。マイクは車の外観(塗装の色の使い方やホイールなどのパーツ)や内装(シートやハンドル周りの機器など)の出来上がりの素晴らしさにご満悦
- 場所を変え、2人はサーキットに移動。試乗して走りを確かめる。車内に取り付けられたカメラで、修理前と修理後の違いにゴキゲンな2人の表情とトーク
- 車を買った値段、部品代など修理にかかった費用のトータルが示され、市場価格を見極めて儲けを(ざっくり言って50~150万円で中古車を買って10~50万円の利益が出るイメージ。損することもあるし、良い車は仕入れ値も高い。利益は最高だと270万円前後)上乗せした値段で車を売りに出す。
- 買い手はすぐ現れることもあるし、なかなか売れずにじりじり待つこともある。
- 買い手だって『名車再生! クラシックカーディーラーズ』のマイクが手掛けた車であることは百も承知。現れた購入者はみんな、いいですねえ、この車。欲しいですねえ、の興奮を抑えきれず、目はうるみ口元はほころんでいる。人が好きなものを見る、好きなものを語る様子って、見ていて楽しい。最後の値段交渉があって、たいがいはマイクが多少譲り、現金払い。マイクとお客はガッチリと握手して交渉成立。
- 〇〇ポンドの儲けが出ました! と結果報告。
「愛着のあるこの車と別れるのはとても辛い。でも、お金には替えられません(!)」
「それではまた、『名車再生! クラシックカーディーラーズ』でお会いしましょう」のマイクのトークが番組の締めくくり。
マイクは車が大好きで、お金も大好き。
惚れた車への語り口が熱い! いい歳した人の男の人なんですが、エドが「ボクはこの車どうもねぇ~」なんて言おうものなら、「なんで? なんで? なんで? 」とムキになって詰め寄る様子が微笑ましい。
商売の駆け引きのおりおりに垣間見えるやんちゃさがたまらない。吹き替えでは早口でまくしたてるかのようにしゃべる。
もちろん
- 使えそうな車の目利き
- 少し試乗しただけでリカバリーの必要な場所を次々と言い当てる。
- エドへの無駄のない情報の伝え方。
など知識と経験の豊富さは言わずもがな。
+パーソナリティで、
クラシックカー買い付け→リカバリー→販売をエンターテイメントにしてしまうことに感心し、
私みたいなそもそも車に興味のない人間まで、自分の世界に引き込んでしまう。
エドの名車再生のプロセスも毎回お楽しみ
車はマイクからエドにわたり、リカバリーの過程もエンターテイメント。
正直申し上げまして、エドのしゃべっている、車のメカニックのことなど、女の私にはほぼわかりません。それでも
- リカバリーすべき部分はどこなのかの説明
- リカバリーしていくプロセス
を精力的にじっくり語り、画面で見せてくれる。
(コマーシャル込みの1時間番組で、エド担当のリカバリーシーンは半分くらい)
そして、技術畑の人って、黙ってひたすら作業に没頭しているイメージがありますが、エドは金髪・イケメン・細面で身長2mを超える長身の巨漢、ファッションも作業着ではなく、ロンTの重ね着が定番でカジュアル。
そして手も動かすが口も動かす。私には猫に小判、豚に真珠なんですが、リカバリーの間中しゃべっている。(DIYのノウハウを広めることがこの番組の目的の一つなんだそうな)
自分の世界に埋没・熱中・没頭しているさま。いいですねえ。オタクぶり。フリークぶり。
言っていることはわからなくても画面をみれば「なるほど、ここが言っている場所なのか」 「なんだか手間がかかっている」「リカバリー前と後では雲泥の差だ」 くらいはわかる。感心しながら見ている。
テレビ番組なんだし、必ず時間内にリカバリーが完了し、「絶対失敗しない」のが物足りないといえば物足りないくらい。
エドはマイクよりはクールで、自分の感情を言葉や表情に出さない。
徹底して目の前にある事実と、自分の取る解決策と結果を語る。
ので、マイクが感情的に!? 食い下がり、エドから自分の聞きたい一言を引きださせるトコなんかも、おもしろい。
番組の始まりと終わりに日本語の解説がつき
「ココとココが面白かったですよね~」
とリフレインしてくれるのもありがたい。
もともとはオットの見てるテレビでした。お付き合いで仕方なく見ているうちに あまりの面白さに、ハマってしまった。
旅番組や観光番組ではあまり見ることのない、イギリスをはじめとする(時々イギリスの外に買い付けにいくこともある)外国の、ごく普通の人の住む街並みも、私にとってはなかなか貴重。 車関係の業界の人同士のよもやま話や、エンジニアの方々の車や部品のウンチクなども、この番組ならではの名物の一つです。