湖水地方はイギリスの有数のリゾートエリア。詩人ワーズワース、絵本作家ビアトリクス・ポターとポターの産んだキャラクター、ピーターラビットゆかりの地として名高い。イギリスの世界遺産の一つでもある。
湖水地方をざっくり紹介
湖水地方はロンドンから北西に400kmあまりの位置にある。 古くは石斧の産地であり、時代が下がり、採石業・鉱業と牧畜が主な産業。 グレートブリテン島は平らな島で、進めど進めど平坦な丘が続く、 珍しく!?湖水地方は山々と湖に囲まれた風光明媚な場所。
世界一のお金持ちになったイギリス。貴族や有閑階級はフランスやイタリアまでバカンスに出かけていた。イギリスにもこんな良い所があった! と発見!? され、以来認知度はうなぎのぼり。
湖水地方への行き方
鉄道
ロンドンからでもエジンバラからでも3~4時間。
最寄駅はウィンダミア駅だが、乗り換えが必要。
乗車する列車により、乗換駅は違う。
(オクセンホルムかランカスター)
長距離バス
あることはある。もちろん鉄道よりはるかに安い。
しかし、長時間の乗車になること、便数が少なく、車中泊も覚悟しなければならない。
貴重な旅先の時間、正直あまりおすすめできない。
湖水地方めぐりの注意
- 公共交通機関はバス・湖の遊覧船によるクルーズ。
- 交通の便はあまり良くない。世界各地からやってくる観光客は基本観光バスを使う。イギリス国民は車を使う。
- さらに道幅が極端に狭いところもある。山道など、まじめに1車線分しか道幅がなく、路肩の整備もされていなかったりする場所があるので、注意が必要。(すれ違う時などはどちらかがバックして譲り合うしかない)
ただし、私の通った道は、細ぉ~い峠の1本道で、通ると車に生い茂った木々の緑がおおいかぶさるような道でもすべて舗装されていた。
湖水地方のツアーの種類
おんな、おひとりさまが外国の田舎を効率的に見て回るのは厳しいため、ツアーを選びました。
比較したのは3つ。
- ミキ・トラベル(日本人むけの現地ツアー専門)
- MyBus(JTB系)
- EvanEvans(イギリス系)
選んだのは ミキ・トラベルさんの ロンドン発着の日帰りツアーを利用。
往復の列車の手配(2等車)・昼食(サンドイッチ)・ミニバス乗車で日本語ガイドさんがつく。
決め手は音声ガイドではなく日本語ガイドさんであること。現地にお住まいの日本人女性でした。
バリエーションとしては
- ホテルの宿泊をプラスして1泊2日のツアー。
- 列車を1等席にグレードアップし、食堂車での夕食を加える
現地発着ツアーだと
- ウィンダミア、ボウネス、アンブルサイド発のツアーがある。
- 車を一台まるごとチャーターしてしまえばオーダーメイドの旅。
当たり前ですが、現地滞在時間が長いほど、回れるスポットは増える。
日本語対応については
- 日本語ガイドつき(ミキ・トラベル。ただし対応可能な日・曜日は限られる)
- 英語ドライバー、日本語対応なし(EvanEvans、ミキ・トラベル)
- 英語ドライバー、日本語オーディオガイドつき(MyBus)
など。
(↓ 一覧表はコチラ)
8時30分、ユーストン駅でグラスゴー行きのヴァージン・トレインズに乗って
車窓からのんびり草をはむ羊さんたちをながめ、
11時8分、オクセンホルム駅に到着。
ガイドさまの出迎えを受け、ミニバス(10~20人乗りくらいかな)に乗り込む。
古~い石造りの家、現役なんですね。窓の形と切妻屋根がカワイイ!
遠くに教会が見える。
ストリートも何気にお洒落じゃありませんか!
途中でインフォメーションセンターに立ち寄ります。
「お昼ご飯の時間とか、とくに設けていないんです。こちらを車中で召し上がってください。」と渡されたサンドイッチ・ミネラルウォーター・スナック・ミューズリー。
ウィンダミア湖畔
ウィンダミア湖はイングランドで一番大きい湖で、氷河湖だからウナギの寝床みたいに細長い。幅1.6キロメートル、長さ17キロメートル。
ウィンダミア湖の北岸の町がアンブルサイドで、遊覧船の船着き場がある。
イギリスのお天気って微妙なんですよね~。青く輝く湖畔とは…いかなかった。
雨が降らなかっただけでも良しとしなければ。
レイ城
レイ城は1840年代にリバプールの外科医ジェームズ・ドーソンが妻の遺産のほとんどをつぎ込んで建てたゴシック様式を模した邸宅。ウィンダミア湖畔の西岸にある。
1882年、ビアトリクス・ポターは16歳。ポター一家が初めてひと夏を過ごした家がレイ城。
その後、一家は夏の休暇を湖水地方で何度となく過ごす。
内気で人付き合いが苦手なビアトリクスはロンドンの社交界には興味がもてない。次第に湖水地方に心惹かれていくのです。
湖水地方のいたるところで見かけた石の塀。
一番良い石は建築用。使わない石を塀に使う。大小の石を巧みに組み合わせ、横に積んでいく。一番上は石を縦に積む。
塀は家畜を放牧するときに、牧草を均一に食べさせて次のエリアに移動させるため。縦に積むのは家畜が飛び越えられないようにするため。そして雨が降った時の水はけをよくするため。
エスウェイト湖を過ぎて
ニア・ソーリー村
ビアトリクス・ポターが住んだ「ヒルトップ」のある小さな村。1本メインの道があるだけで、家なんてせいぜい10~20軒。
湖水地方の一方の魅力であるダイナミックな自然とは対極にある、のどかな小さな村。
もちろん、ナショナルトラストの厳格な管理の元、ポターが住んでいたころのまま、100年前の風景が変わることなく残されている貴重な地域のひとつ。
ヒルトップ
入場券はヒルトップの手前の管理事務所からガイドさまが取ってきてくださいました。
入場は13時15分指定。
真面目な日本人の私は、13時すぎには入口前でスタンバイしていたところ、13時5~10分くらいには呼んでもらえました。中に入っている人数を数えて呼び込んでいる模様。
通りに面した 「Welcome to Hill Top」の看板。
石畳の小道。左右の草花は例年はもっと、うっそうと生い茂っているのですが、今年は湖水地方も記録的なかんばつと猛暑に見舞われ、生育はよろしくない。とのこと。
見えてきました!
ヒルトップ!
時間待ちの間、観光客はみな記念撮影に楽し気。
玄関の奥。
ポンプが見えます。
手前の小窓。窓枠は緑。
玄関前の小道。庭を抜け、牧場へ続きます。
中に入ります。
玄関ホール
一番大きい部屋。糸車とロッキング・チェア。
「ひげのサムエルのおはなし」に描かれたカップボード。ジョージ王朝様式。
「ひげのサムエルのおはなし」などに使われた暖炉。
昼間は窓のあかり、夜はろうそくかオイルランプ1つを使い、ほのかな光は家具の光沢を浮かび上がらせたことでしょう。
素朴さと典型的な農家のインテリア。
応接間
玄関ホールの続きの間。
シタン材の文箱、マホガニー材の折りたたみトランプテーブル、マントルピースの上には鏡とスタフォードシャー陶器の猟犬の置物と中国陶器。
本棚には羊の育種で獲得したトロフィーや証明書、農業品評会で撮影されたビアトリクスの写真2枚。
「パイがふたつあったおはなし」に使われたティーポットがある。
絵本が出窓に置いてあるので見比べることができる。
マントルピースは新古典様式。
ビアトリクスはヒルトップを典型的な湖水地方の農家として保存したいと言っていたけれど、このインテリアは、純農村とはいかない。ビアトリクスの趣味と好みが伝わってきます。
台所
階段
「ひげのサムエルのおはなし」の踊り場。窓に真紅のカーテンと角にはホールクロック。
重厚な階段はオーク材。18世紀のもの。彫刻は19世紀のイタリア人彫刻家ピエトロ・マーニの「本を読む少女」。壁には大きな絵が2枚。
ロンドン出身の高名な作家が自ら望んで田舎暮らし。の女性のお住まいにふさわしい。
寝室
壁紙はウィリアム・モリスの「ヒナギク」。
天蓋付きのベッドは17世紀初頭、湖水地方で作られたもので、「こねこのトムのおはなし」に出てくる。天蓋の刺繍はポター自身による。緑のダマスク生地に花型模様。
暖炉の横木と棚には「WHB」の彫刻が。結婚21年を祝って、夫君ウィリアム・ヒーリスとビアトリクスのイニシャルが刻まれた。
ベッドカバーのキルトとイスはアメリカ製。もともとは近くのアメリカ出身の老婦人の家のものをビアトリクスが譲り受けた。
湖水地方の家具には家庭に祝福をもたらすとされるシンボルを彫刻することが一般的だった。ベットの頭部分のザクロは多産、ぶどうのつるは祈り、チューリップは富裕をあらわす。
写真も飾ってありました。
ただし、このベッドはビアトリクスが後にカースル・コテージに引っ越した後に購入したもので、実際にこのベッドは使ったことはないし、ビアトリクスがこの部屋で眠ることは少なかったとのこと。
宝物の部屋
2階の中の間で、黒檀風に染色された19世紀の戸棚には陶器、磁器、宝飾品やビアトリクスの本に登場するキャラクターなど、こまごまとした品物が展示されている。
居間
親しい友人や家族をもてなすための部屋。刺繍枠がある。ビアトリクスは刺繍も上手だった。壁にかかっているのは弟、バートラムの描いた絵。
「こねこのトムのおはなし」に描かれた鏡。
19世紀初頭に作られたマホガニーのピアノ。御主人のウィリアムは音楽好きで、ダンス好き。村のダンスチームに参加してコンテストに出たりしていた。
地元の弁護士のウィリアム・ヒーリスと結婚した時、ウィリアムは42歳、ビアトリクスは47歳。
「私はとても幸せな結婚をしました。『テンペスト』で何と言っていましたっけ?「収穫の秋が過ぎ去れば、すぐあとを追って春が来た」というわけです」
ライティングデスク。上部はカップボード。
ピアノの上にはビアトリクスの写真。少女のころ。父と弟と。名高いヒルトップの入口で撮った写真。
図書室(執筆・作画の部屋)
1906年に増改築された部分で、窓が大きく、明るい。天井が高く、広いこの部屋はいままで部屋とはまるでタイプが違う。弟バートラムの描いた4枚の超大作「スコットランドの風景」にまず目を奪われる。
チェスト風ライティングデスクの上には、後の「ピーターラビットのおはなし」の元になった、ノエル君への手紙のレプリカ。
「あひるのジマイマのおはなし」「こねこのトムのおはなし」にも描かれたヒルトップの入口です。
出たところに小さいんですが、お土産屋さんがありました。びっくりしたのは、ガイド本が英語と、日本語しかない!なぜに日本語だけが、特別扱い!?
ミニバスの運転手さんによれば、わざわざヒルトップまでやってくる観光客は、イギリスは別格として、アメリカ・カナダ・日本が多い。…ということは、フランスやイタリア、ロシア、中国あたりではピーターラビットとビアトリクス・ポターの知名度はさほどでもないのかもしれません。
良かったわ~。はるばるやって来た甲斐があった、との感慨を胸に外に出ると
のどかにひろがる牧草地の説明の看板。
世界で一つしかない道路標識「ピーターラビットに注意!」
カースル・コテージ
ビアトリクス・ポターは著名な児童文学作家でもありますが、湖水地方の大地主でもありました。(本の収入をつぎ込む、農場を経営する)結婚し、夫婦2人の住まいがカースル・コテージ。
ただし現在は人が住んでいるため、内部の見学は不可。庭の外から、写真撮影は可。2階の張り出し窓のあるお部屋で、ビアトリクス・ポターは亡くなりました。享年、77歳。
ホークスヘッド
ヒルトップのあるニアソーリーから車で10~15分くらいの距離にある。ビアトリクス・ポターも買い出しに、用足しに足しげく通った小さな村。17~18世紀のマーケットタウンの名残を残し、白壁の可愛い家が多く、玄関先や窓には寄せ植えやハンギングバスケットが飾られている。
もちろん「まちねずみジョニーのおはなし」「パイがふたつあったおはなし」「ひげのサムエルのおはなし」などで、ホークスヘッド、描かれている。
名所はホークスヘッド・グラマー・スクール。
イギリスを代表するロマン派の詩人、ウィリアム・ワーズワースは湖水地方出身。自然をうたいあげることにより名声を確立した。ホークスヘッド・グラマー・スクール出身。
ホークスヘッド・グラマー・スクールは1585年創立。1階の教室にはワーズワースと弟のジョンが彫った落書きが残っている。2階には校長室と展示室がある。
もうひとつの名所はビアトリクス・ポター・ギャラリー。
もともとはビアトリクス・ポターの御主人、ウィリアム・ヒーリス氏の弁護士事務所。現在はナショナル・トラストが管理し、ポターの遺品や写真を集めるギャラリーとして使用されている。
小さな村の小高い丘には教会があって
苔むした墓標が静かに立ち並んでいる。
グラスミア
グラスミア湖のほとりの町。湖水地方名物といえばセイラ・ネルソンのジンジャーブレッド。原則よそのお店には出さない。(通販なら送ってくれるようになったとガイドさんはおっしゃってた。)お店はせいぜい2~3畳の広さ。
お土産用に1箱買って、バラで1枚買ってみた。ショウガの香りと風味のかなり強いクッキーとパンの中間くらいのテクスチャーの甘めの味。紅茶のおともに合いそうな。
正直、たまに食べる分にはいいけど、毎日はね~、ってお味。イギリスの食事って、みんなそんなもんなんだけど。
いちおう賞味期限は一週間。やきたての香ばしさと柔らかさはなくなっていく。2~3週間でも食べられないことはない。オーブントースターで軽く温めるのがコツなんだとか。
グラスミアはワーズワースの里って、ホントは一番先に言わなければいけない。
一番有名な詩「水仙」(とガイドさまから教えていただいた)にちなんだ庭があり
隣のオズワルド教会にはワーズワースとワーズワースの家族のお墓があります。
お墓に着くと、雨が強くなってきました。
お墓の説明板です。
町に出てみると
羊さんのキャラクター商品がある。
湖水地方には固有のハードウィック種、という羊さんたちがいる。頭は白く、ボディの毛が褐色なのでわかりやすい。しかし他の品種にくらべ、1回の出産頭数が少ない、成長が遅く、1~2歳になるまで食用に適さない、そして羊毛の毛質が硬いことから、一時絶滅の危機までいった。
ビアトリクス・ポターは、自身の印税で湖水地方の土地や農場を次々と買い入れ、農場を貸して使わせる際「ハードウィック」を飼うことを条件とした。かくしてハードウィックの血筋と伝統は守られたのだ、とはガイドさまのお話。
日本語の案内がショーウィンドーに飾ってある。日本人、湖水地方に貢献度大、なんですね。
ナショナルトラストのお土産もの屋さんには
毛織物が置いてあった。ハードウィック羊から作られているのかしら。メイド・イン・湖水地方。
絶景ポイントにお連れしましょう。とバスは町を離れる。
雨もやみ、薄日が差してきます。
サプライズ・ビュー
ケズウィックにあるダーヴェント湖。湖の周囲は約5km、幅は約2.5km。湖の中央にあるセント・ハーバート島はビアトリクス・ポターの「りすのナトキンのおはなし」「ブラウンじいさまのふくろう島」のモデルになった島。
連れて行っていただいたのは「サプライズ・ビュー」。「あっと驚く」景色が眼下に広がるのです。
湖畔周辺の美しい山々とダーヴェント湖が一望でき、ケズウィックの北側にそびえるスキドー山やリトル・マンがくっきりと見える高名なビューポイント。
グラスミアでけっこうな雨だったので、景色、見えるかな~と心配だったんですが。
ちょうど雨も上がって、日没前の午後のひと時、時折薄日が差し、雲間から太陽の光が差し込む。
名前に恥じない、一生の思い出になる景色を見せていただきました!
アシュネス橋
道を引き返して、アシュネス橋で写真を撮ります。
ガイドさまいわく、「石造りの小さな橋は、他にもたくさんあるんです。アシュネス橋は山側から写真を撮ると流れ落ちる渓流とアシュネス橋、周りの木々、ダーヴェント湖と遠くにそびえる山のフルセットの写真が撮れるので、絵葉書やポスターにもなっていて、有名です。」とのお話でした。
ケズイック
帰りのヴァージン・トレインは19時過ぎ発で22時30分着予定。夕食をお買い求めください。とケズウィックに戻り、スーパーマーケットに連れて行っていただきました。
湖水地方の観光というと、日本人にはどうしてもロンドン側、ウィンダミア周辺が主となってしまうけれど、ケズウィックはアウトドアの起点として充実していて、観光客の集まる拠点で、とても人気がある。とはいえ、ロンドンの喧騒とはぜんぜん違う、静かな、のんびりした空気が漂う町。
ケズウィックからペンリス駅の車中、ガイドさまから紙ナプキンとプラスチックのスプーン・フォーク・ナイフを受け取り、帰りの車中夕ご飯の準備も万端です!
名残の湖水地方の車窓の景色を一生懸命眺めます。
ペンリス城
ペンリス駅に着いたのは列車の着く時間の30分以上前なので、駅のど! 真ん前にある廃墟のお城を見に行きます。
看板が立っているだけ。もちろん入場無料。案内の人などいない。
英国国家遺産のグレード1。14~15世紀にかけて作られたお城の跡です。
大きなお城だったんですねえ。今は赤レンガの一部が残るだけ。画像奥の木造部分は跡形もない。
時折、観光客が1人・2人。
地元の人は犬の散歩に来ていた女の子が1人だけ。(さすがに写真は撮らなかった)
「薔薇戦争」の。シェイクスピアの「リチャード3世」の。あの、リチャード3世が一時この地を治めていたのですね。
今はひっそり、たたずんでいます。インパクト強烈でした!
ペンリス駅
「今日は湖水地方を南から北まで、一筆書きで駆け抜けたツアーでしたね。」とのガイドさまにお礼とお別れをつげ、ぼつぼつたそがれはじめたペンリス駅からロンドンに戻るのです。
残ったのは、思い出と、写真と、往復の切符。
湖水地方の感想
涼しい
世界有数の避暑地なのですから当たり前ですが。
朝ロンドンをたち、昼にオクセンホルム駅に降りたとき、体感温度が2段階くらい違う。
9月中旬でしたが
ロンドンでは「スプリングコートを着て歩いているとちょっと暑い」
湖水地方では「スプリングコートを着て歩いていると若干寒いときもあり、ショールで調節。現地ガイドさんはしっかり薄手のアウトドア用ジャンパーだった。」
ただし地球温暖化の影響は湖水地方にも出てきており、酷暑のこの夏は気温が28度まで上昇し、大騒ぎだった。とのこと。最近徐々にホテルや公共施設、観光バスの冷房設置の必要性が増してきたところなので、真夏のお出かけの場合はツアー先に確認を取るか、覚悟して出かける。
空気がおいしい
もちろん、自然ゆたかなエリアだもの。ロンドンと全然違う。
山に木があまり茂っていない
日本だと、山岳地帯にはうっそうと木が繁っており、山なら山、丘なら丘の地形は樹木の樹影でマスキングされてしまうのですが、湖水地方も、部分的には日本の山道みたいに両脇に樹木…みたいな場所もあるのですが、基本的には地形そのままが見て取れる。
風が強いのかしら、土質かしら、雨が少ないのかしら、湿気が足りないのかしら。全部羊のために牧草地にしちゃってるのかしら。
フットパスについて
イギリスでは自然の中の遊歩道・山歩き、トレッキングロードを「フットパス」と言いまして、見渡す限りの大自然の中、山から谷へ、また牧場から牧場へと歩いて行くルートが整備されている。最近は高性能の自転車で全身専用ウェアで固め、ヘルメット付きでイギリスを回る人も増えてきたため、自転車専用ルートも新たに整備されてきている。
日本だと、山歩きというと、登山・ハイキングとか、山菜とりなんかが思い浮かぶ。
そして素朴に
- 熊に襲われたりしないのか
- 蛇に襲われたりしないのか
- 蜂に襲われたりしないのか
- 悪い虫に刺されたりしないのか
と思う。
昔だったら
- 追いはぎや山賊に襲われたりしないのか
などのリスクも加わりますね。
山歩きは念には念を入れて。知識のある人の案内の元で。が私の固定観念だったのですが。
16~17時頃(9月なかば、イギリスの日没は19時半ごろ)はるか山の上からたった一人で半袖Tシャツ姿でかけおりてくる男性の姿を見て、心底びっくりしてしまいました。
イギリスの、少なくても湖水地方には熊も蛇も蜂も蚊もいないそうです。
山や丘が樹木で隠れてしまわず、気ままに自然散策していても出くわすリスクが少ないから、フットパスなんてものが発達したのかしら。
そして事故がないのかというとそうでもない。
山がなだらかで見通しが良く、軽く見て装備が不十分なまま山に入り、悪いタイミングが重なって遭難、緊急救助隊が出動…。夏は、けっこう、大忙しなんだとか。