今回の旅の主要ミッションは「紀伊半島一周」。高野山を後に、次に目指すは那智の滝! 遠回りでもいい、海を見ながら行くんだ! 移動にほぼ1日かかりました。
紀伊半島の道路事情
マイカーで紀伊半島を旅するにあたり、衝撃的だったことは
「紀伊半島は高速道路で一周不可能」であることでした。
こう言っては申し訳ないのですが、日本国内、たいていのエリアは、ナビの言う通りに運転して最寄りのインターチェンジで降りればサクっと届くとばかり…。
伊勢神宮あたりまでなら高速道路はバンバン通ってるんですが。
高野山は高速を降りてからの山道はきつくないと言っては嘘になる。
さらに、紀伊半島を横に大きく移動しようとすると、メインの道路が狭い。集落の現役の生活道路と見受けるエリアを神経使って通り抜ける…の繰り返し。
しかし高速道路はなくても一般道なら沿岸部は開通している。高速道路なら1時間でかけぬける距離を3時間かけてのんびり一般道。情緒があっていいじゃないか。車は去年変えたばかりでナビも新しい。ナビさえあればどこでも行ける。と出たとこ勝負で紀伊半島にやってきた。
行って見て知る。(下調べを入念にやっておけば行く前からわかってたんでしょうが)高速道路は完全開通していないまでも、「自動車専用通行道路」はけっこう通っている。
途中まで高速を走り、料金所を抜けたあと、無料区間で70kmなり80kmで飛ばせるエリアは少なからずあって、観光客がメジャーなスポットを回る分には、真に「なんとかならんのか この道路」とビビりながらの運転は
- 高野山から海沿いの高速まで(2時間半かかった;;)
- 紀伊半島の先の串本あたり
くらいですんだ。
(那智の滝周辺やお土産物屋さんが並ぶあたりは山の勾配が半端なくきついけど、人も車も多かったからこの際入れないでおく)
山深いお土地柄なんでしょう。
道すがら「紀伊半島に高速を! 」の看板はあちこちで見かけた。
昔に比べれば格段に便利になってるんでしょうし、「便が良くない」は反面、穴場・手垢のついていないエリアであるはずなので、表裏一体なんですけどね。
那智の滝
高野山から那智の滝に行くには、グーグルマップ的にいけば山の中を駆け抜けるのが正解です。
ただし紀州の山道は前述のとおりきつい。海沿いを行けば、道路としては難易度は下がるから、「時間かかっても紀伊半島海沿い走破」は正解だったかも。
到着が遅れると、下手すればとっぷりと日が暮れてからになってしまう。焦ってしまいましたが、どうやら15時過ぎには到着することができた。
那智の滝くらいわかりやすい名所もそうない。
音がすごい。ただならぬ滝の水の音。来た! 着いた! 音が大きすぎ、空いているというのに、一番手前の駐車場に車をとめてしまった。
音のする方へする方へ歩いて行けばいい。
神武天皇の御代から那智の滝は「神様」であり名瀑ぶりをたたえられてきた。
紀州の山は雨が多く、湿気も高い。いいかんじにうっそうと茂り、苔むす岩の石の参道を下って行く。
ご対面です! 那智の滝!!
体全体で受ける、滝の音。地響き入ってますから、余計に迫力がある。滝の巨大さの神々しいこと。生で現実にあこがれの場所に立ち、見上げた感慨はつきない。威容に打たれ、崇めたてまつった古来からの人々と同じ感動を味わえた。
聖なる滝のマイナスイオン浴びられるかな~とか期待して行ったんですけど、体感としては水しぶきを感じるほどではなかった。大増水の時だったらまた違ったのかな。
御瀧神社は谷の底。日本屈指の名勝の割には規模は小さく、建物も湿気を浴びているから古色ゆかしく、仰々しさがない。のがいかにも南紀らしく、"聖地"”本物”の堂々たる風格漂う場所でした。
やっとお参りできた感謝を胸に
高まる気持ちで駆け下りた階段をまた昇る。
せっかく来たんだから、那智の滝と朱塗りの塔をスマホのカメラに納めて帰らねば。
谷底から対岸!? の青岸渡寺の参道を登っていくんですが、いやあ、きついですねえ!
急階段をぜいぜい言いながら登っていく。
撮った!
落ち着いたところで改めてお寺にお参りし
絶景を堪能し
熊野は仏さまと神さまが隣あわせにまつられている。
八咫烏(やたがらす)。メジャーなところでは、JFAのロゴに使われている。
足が3本ある。もともとは古代中国で太陽に住む鳥とされた。
日本では古事記・日本書紀に記述があり、紀伊・ことに熊野にはゆかりが深く、神武天皇の道案内をつとめた。紀伊・熊野のお寺や神社では八咫烏の意匠は出現頻度高し。
滝を後にし、ホテルにチェックイン。
安いだけの理由で選んだポツンと一軒家のビジホで、駐車場には「ヘルメットと工具を満載したバン」なんか止まってる。(ただしチェックアウトの時は満車だった。しっかり繫盛している模様)
でもオーシャンビュー。
お風呂は車で10分くらいの系列ホテルのその名も「滝見の湯」(お天気が良ければ露天風呂から那智の滝が見える。見えなかったけど)(温泉)を使える。
那智勝浦で本生マグロ
はるばる那智勝浦までやってきたからには、本生マグロ食べて帰りたいじゃないですか。
17時半ごろ(コロナ下だし、お酒は別にいらないので早い時間でいい)、那智勝浦の繁華街にやってきたんですよ。
小さい町だなあ…。10~15分もすれば回れてしまいそうです。
ゴーストタウンみたい。人っ子一人歩いていない。
「緊急事態宣言ゆえお休みします」の店頭の張り紙ばかりが目に付く。開いている店はせいぜい1~2割といったところ。
あまつさえ、目をつけていたお店の張り紙には(夕方から店開きなのでまだ閉まっている)
「他県からの客お断り」みたいなことすら書いてあり、「…口をきかなければよそ者だとバレないだろう」と心の中で突破の覚悟を固めた。
情報収集のため、お土産物屋さんに入り、南紀に入った途端、ありとあらゆるところに立て看板が立っていた、多分コレを買えば間違いないのであろう。との
「なちぐろ」こと「那智の黒飴」
を購入。(自分用に1袋。ばらまき土産用に南紀の名所旧跡の写真入りのパッケージで個包装になっているものを2袋。他に缶入りのものもあった)
お店の人に
「…いつもこんなに人がいないんですか」と恐る恐る聞いてみた。
「いいえ~。まだまだこれからです。夕方になると人が出てきます。」
「本生まぐろ食べたいんですけど、他県から来ました。お店、入れますか? 」
「もちろん! 入れます! 」
ホッとしました。
おすすめのお店を教えていただき
開店ピッタリの時間におんなおひとりさまで入店させていただきました。
当然お客は私一人。カウンターにはビニールシート。
オーダーは、当然、本生マグロ定食でしょう!
こちらです。
ご飯、味噌汁、お漬物、タマネギのポン酢あえ(すだちつき)
そして、本生マグロ。
切り身の形が微妙に不均一なのが「本」「生」であることを物語る。
そして切り身、厚いでしょう。2㎝ある。この厚みで、かみしめる生マグロの風味!
トロの脂のマイルドなこと! じゅわじゅわ~っと口の中で溶けて、すーっとお腹に入っていく、この快感! 来てよかった!
陶酔しながら頂戴していると、ぽつぽつと、次のお客さんが入ってきました。
お店は武骨そうなご主人と、かいがいしく動かれる東南アジア系の女性2人。
店内は有名人の色紙で埋め尽くされてました。ごちそうさまでした!