アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock 1899-1980)
「ある種の映画監督たちは人生の断面を映画に撮る。私はケーキの断片を映画に撮る。」
偉大なる職人、卓越した技巧。考え抜かれた洗練の極み。巧妙な演出。
観客の注意を絶対にそらすまいとする強烈な意志を持つ、この上もなく厳しい映画作家。
イギリス仕込みの愛嬌とユーモアとアイロニー。ミステリーよりはサスペンス。
ありそうもない偶然の荒唐無稽の連続によってプロットは進み、強烈な迫力でアクションとエピソードは緊密に結び付けられ、クライマックスの後、一気に緊張感は解き放たれる。
イングリット・バーグマンは、撮影の最中、「なぜ」「どうして」と監督に訴え続けた。
ヒッチコックの答えは、「イングリット、たかが映画じゃないか。」
観客の心を捉えるのは、メッセージではない。俳優じゃない。ストーリーじゃない。純粋に映画そのもの。
すぐそれとわかる強烈な文体を持った巨匠のおすすめ映画を順番に。みどころとエピソードも一緒に。
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