ひとみにカルチャーショックを。

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農協の総会で聞き込んだ最近の農業と食の流れとふるさと名産品生産農家の誓いを暴露してみる。

そも農協=農業協同組合とは。

 

株式会社だと、会社は社長のものであり株主のものである。社員がいくら愛社精神に燃えているとしても、持てる権限はたかが知れている。

一方、協同組合とは、組合員の総意によって運営されている。超々わかりやすく言えば農家さんが集まってみんなで事業を進めていくから農業協同組合。そして組合加入者全員が等しく権限を持つ。

農業協同組合は普通は1年に1回「昨年度はかくかくじかじかの事業を行い、財務状況はこんな感じです」「今年度の事業と収支予算はこんなかんじです」と組合員さんにお諮りして、了承をもらわなければならない。コレが総会。もちろん「所用があり欠席します。すべてお任せします」と委任状も出せるし、組合員の数が多すぎると代表者だけが集まったりする。

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abexxxx [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

 

 

うららかな昼下がり、会場に赴けば駐車場係の農協職員さんは、集まられる農家の方々お一人お一人に「天気いいね~。今日は(作業できなくて)勿体なかったね~」と声かけをする。「もう〇〇病が出たね」と農家の方々は立ち話をしている。「今年は収穫、早まりそうだね」との農家の方の問いかけに「そのつもりで動いてます」との農協の方が答える。

 

 

農業協同組合総会の流れ

着席した〇〇〇人の組合員さん。…日に焼けているせいもあるのですが、どう見ても平均年齢は60代後半以上です。若い人は4・5人しかいない。日本の未来の食は、とちらりと胸の中に不安がよぎったりします。農協のナンバー2の偉い人が開会を宣言する。

後半は数字の話ばかりで、正直眠い。話が終わらないうちに集まられた農家の方々から「異議なし!」の声があがり、質疑一切なしで提出された議案はすべて承認されました。

前半が来賓の祝辞で、所要トータル1時間。こっちの方が面白かった。順番は

  • 組合長さん
  • 首長(市長・町長・村長)さん
  • 国会議員の先生(ただし秘書の方の代理出席)
  • 県会議員の先生
  • 都道府県の農業部門の偉い人
  • 卸売業者の偉い人

ほかに資材会社の偉い人も来ていた(あいさつなし)。

(首長さん、国会議員の代理の秘書さん、県会議員の先生、県の農業部門の偉い人は祝電披露のあと所用ありとのことで途中退場)

 

 

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農業協同組合総会で話題に上ったポイント2つ

祝辞をひとわたり拝聴させていただき、ポイントは2つ。

  • 稼げる農業
  • より良い農産物を供給してほしいとのお願い

一つずつ。

 

稼げる農業へ

日本の農業は高齢化が進んでいる。

農村の現状に関する統計(単位:万人)

  平成22年 平成27年 平成28年 平成29年
農家人口 650.3 488.0 465.3 437.5
うち女性 329.4 244.9 233.5 219.7
うち65歳以上 223.1 188.3 184.7 182.3
対総人口比(%) 5.1 3.8 3.7 3.5
農家人口に占める
高齢者(65歳以上)
割合(%)
34.3 38.6 39.7 41.7
総人口に占める高齢者(65歳以上)割合(%) 22.8 26.2 26.9 27.4

出典:農村の現状に関する統計:農林水産省

 

一方、収入はですね。本気で農業に取り組めば、けっこう稼げるんです。しかしどの世界も同じ、一朝一夕には無理。農家さんの跡取りで、近所のもう耕作のない農地を借り受け、仲間と一緒に大規模に作付けするとか、収益性の高い作物に狙いを定め、計画的に新種導入に踏み切るとか。

しかし大多数の農家さんは先祖代々受け継いだ農地を黙々と守ってくださっている。上質な農地ってね、国の、地域の大事な財産なんです。手をかけないとあっという間に荒れ果ててしまう。田んぼなんかだとまだいいんですが、果物だったりすると、別な作物植えろと言われても、抜根しなくてはいけない。お年もお年。今さら方向転換できない。の農家さんの打つ手とは。

首長さんが力説していらっしゃったのは

  • ブランド化を進める。幸い、皆様の生産される農産物は皇室御用達の栄誉に預かっており、由緒正しく清く美しいイメージを確立させていく。
  • 販路の拡大。道の駅や自治体主導のふるさと農産品の直売所が近隣地域に次々とオープンし、想定をはるかに上回る集客の道の駅もある。レストランを作った市町村もある。わが自治体もかくかくしかじかの施策をはかる。

一方、県会議員の先生、県の農業関係の偉い人は

  • 六次化を推進していきましょう。とのこと。
    「六次化」とは。第一次産業=農業、第二次産業=製造業、第三次産業=販売業をすべて生産業者が手掛ける。1+2+3=6で六次化、です。
    お米の農家が米粉をつくったり、リンゴ農家がりんごジュースやりんごジャムを作ったりする。自分の生産物をより高い付加価値で市場に出すことができる。
    県は製造のノウハウや売込方法にもサポートするし、容器やパッケージのセンスはダイレクトに消費者にイメージを訴えかける力がある。こちらも県はサポートしていく。
  • 輸出」を力説されていました。同じ作物でも近所の直売所なら100円でも、海の向こうの価値のわかる人になら1,000円で売れるのです。国ごとに受け入れの状況は異なるため、情勢を見極めるとともに、ここと見込んだ地域にはトップセールスをはじめ、先鋒として売り込みを仕掛ける。
  • あとから卸売会社の偉い人から、「現在、梱包の技術も、品質を保持したまま農産物を消費地に届ける技術もどちらも格段に進歩しています」との補足がありました。
  • 新しい流れとして農業生産工程管理、いわゆる「GAP」。安全安心な食べ物の来歴の裏付けとして、出荷されるまでの詳細なデータを控え、公開する。協力してほしい、お願いしますとまでは言及はなかったものの、取りあえずお耳にとめていただきたいとのPRがありました。

卸売会社の偉い人は

  • 先日はとある農産物に5kgで400,000円の値段がついた。(この発言により会場はため息に包まれた)輸出業者が2者、競り合っての結果だった。

と農家さんのモチベーションを上げるお話が続きました。

 

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より良い農産物を供給してほしいとのお願い

卸売会社の偉い人から。

  • 消費者は食べ物には国内産を求めている。自信を持って作付けをしていただきたい。
  • 市場が求めるのは安定した量と安定した質である。いつも私どもに質の高い農産物を供給していただき、深く感謝申し上げる。今年度もよろしくお願いしたい。
  • 優良な農産物は、私どもの立場から申せば、農協に出荷していただきたい。そして高品質の農産物の大量の安定した供給はブランド化に不可欠である。

…テレビとか見ていると、やる気満々で有機米とか高級メロンとか、自分で販路を開拓して手広く華々しく事業を展開しているバリバリの農家さんなんか見かけますが。

…しかし考えてみれば魚沼コシヒカリだって夕張メロンだって岡山の桃だって。代々の膨大な先人の積み重ねによって今日のネームバリューがある。…ことに改めて気づいたりする。

 

 

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国会議員の秘書の方からは

  • 生産現場での生の声や意見を国政にしっかり届けていく
  • 高品質な農産物の存在を世界にPRしていく

との決意表明をいただきました。

 

総会の最後は、高品質の農産物を農協に出荷された方への農協組合長さんからの表彰状授与。賞状に添えられた副賞品は、遠目でしたが、おそらく剪定鋏とか鎌とか。質素です。堅実です。に感じ入り、

ラストは全員立ち上がっての、こぶしを挙げての「団結ガンバロー!」でした。春~夏~秋とお天気や大風や嵐に神経をとがらせ、収穫の時期は文字通り眠る暇もない。

そして農家の方々って、田舎の豊かな自然に囲まれ、70歳になっても、80歳になっても、生涯現役。とっても素敵なことだと思います。

 

 

 

 

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