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市販のマルセイユ石けんと手作りのコールドプロセスのマルセイユ石けんの違い。

私、石けん作りが趣味でして、こだわりの石けんブランドの代名詞、マルセイユ石けん、当然使ったこと、ありますし、おおいに意識しています。

手作りのマルセイユ石けんと市販のマルセイユ石けんの共通点と違いを、詳しくわかりやすく説明していきます。

 

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(前記事の補足・追加です)

 

www.hitomi-shock.com

 

マルセイユ石けん(市販)とは。

本場フランスでも割れているんですよ。いろいろな流派があるのです。*1

 

とりあえず

  1. 100%天然素材で
  2. 伝統的な釜炊きけん化法で
  3. オリーブ油を主に使った石けん。

で進めていきます。

逆にいえば

  • マルセイユで作らなくでも「マルセイユ石けん」、あります。
  • 一般的には工場で固形石けんを作る製法は「中和法」と呼ばれています。中和法で石けんを作り、マルセイユ石けんっぽい刻印を押してセロファンで包んだり、オリーブの絵の包装紙で、なんかオーガニックっぽいけど。…よく見れば「マルセイユ石けん」って、どこにも書いてない…。ありえます。

 

日本で無添加で人気が高いのは「白雪の詩」。中和法。パーム油100%。

 

100%天然素材である。

日本におけるフランスのマルセイユ石けんの代名詞、マリウス・ファーブル社の マルセイユ石けんの最新の材料表示は

  • オリーブ油脂肪酸
  • ヤシ油(=ココナツ油)脂肪酸
  • グリセリン
  • 塩化ナトリウム
  • 水酸化ナトリウム

釜炊きする時、油にソーダを水に溶かしたものを加え、熱を入れていくと脂肪酸(石けん)とグリセリンに変化します。なので正確には原料は

  • オリーブ油
  • ヤシ油(=ココナツ油)
  • 塩化ナトリウム
  • 水酸化ナトリウム

自作のマルセイユ石けんの材料は

  • オリーブ油72%
  • ココナツ油18%
  • パーム油10%
  • 水(精製水)
  • 水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)

油は油屋さんや手作り石けんの材料を取り扱っている専門店から購入します。

精製水(日本薬局方)と水酸化ナトリウムは薬局から購入。

パーム油は、マリウス・ファーブル社、昨今の環境問題を踏まえ、材料から抜いたのです。他のマルセイユ石けんの老舗でも使っているトコはあります。72・18・10は19世紀からの伝統のレシピです。

マリウス・ファーブル社の材料には塩化ナトリウム、すなわち塩が含まれます。石けんを塩水で洗う工程があるためです。後でまた書きます。

 

釜炊法。しかし使っている油の明記はなし。表示は「石けん素地」のみ。

 

100%植物油素材である。

防腐剤不使用

100%無添加である。

無着色

無香料

市販の石けんと自作の石けん、すべてクリア。同じです。

ただし、異論がないわけではない。

天然素材の防腐剤だってあります。 (ローズマリーエクストラクト(ROE)、グレープフルーツシードエクストラクト(GSE)、ビタミンEオイル。)

無香料ももちろん結構ですが、天然素材の抗菌効果のあるエッセンシャルオイル(ティートリー、ローズマリー、サイプレスなど)を入れれば、石けんはより長く快適に使うことができる。

マルセイユ石けんは17世紀からの300年の伝統があります。逆に言えば300年前になかったから使わなかっただけなんじゃないの~とか思うのですが。

 

製法

製法は市場に流通しているマルセイユ石けんと自作のマルセイユ石けん、大きく異なります。 市販のマルセイユ石けんは

釜炊きけん化法

  • 油と水と水酸化ナトリウムを大釜に入れ、熱(95度)を10日間加える。もっとも24時間×10日ではない。日中火を入れ、夜はお休み。
  • できあがったペースト状の石けんに塩を加えて塩析し、不純物や石けんの中にまだ含まれている過剰なソーダ、グリセリンを取り除く。その後、冷水に塩は溶けるが石けんは溶けない性質を利用して、冷水でさらに洗い、塩分と不純物を抜く。
  • 大量生産なので巨大な型に入れる。
  • おおむね固まったところで扱いやすい大きさに切り分け、刻印を押し、自然乾燥させる。

 

自作のマルセイユ石けんは

コールドプロセス法

  • 水酸化ナトリウムを水を合わせ
  • 油をあたため、
  • 摂氏40度前後で油と水酸化ナトリウム水を混ぜ合わせる。
  • 20~1時間前後混ぜ合わせ、型に入れて40度前後で保温し、24時間保温。
  • 石けんが固めの羊羹くらいになったら(48時間後~)切り分ける。
  •  4週間、風通しが良く直射日光の当たらない場所で保管する。

 

 

釜炊きけん化法とコールドプロセス法の違い

  • けん化させる際の温度が違う。釜炊きけん化法の石けん生地はフツフツと煮えたぎっている。一方コールドプロセス法は40度前後。
  • コールドプロセス法の加熱の時間は釜炊きけん化法に比べ、圧倒的に短い。
    このため、固まった段階ではまだアルカリが強すぎるため、時間をかけ、4週間置いてアルカリを落ち着かせる必要がある。
    釜炊きけん化法は一気に石けんになるので、硬い柔らかい使いやすい使いにくいは別として、10日間の加熱の後、すぐに使うことができる。
  • 釜炊きけん化法の材料には、「脂肪酸」とあり、油はない。油を完全に全部、石けんにしてしまう。
    コールドプロセス法でも全けん化させることはできるが、あえて水酸化ナトリウムの量を落とし、石けんの中に油分を残すことが可能。
  • 釜炊きけん化法の材料には、「塩化ナトリウム」とある。塩は収れん効果があり、石けんの溶け崩れを防ぐ。
  • 釜炊きけん化法には製造過程で塩析が入り、グリセリンが抜かれる。
    一方、材料表示にはグリセリン、入っている。一部は石けんに残すが、一部は取ってしまう。

 

使用感

油はソーダを加えて石けんにすることで脂肪酸とグリセリンに代わる。脂肪酸は洗浄成分、グリセリンは保湿成分。釜炊きけん化法にしろコールドプロセス法にしても、天然のグリセリンが含まれている。 さらに市販のマルセイユ石けんの材料に、「脂肪酸」はあっても「油」はない。長年の職人のカンで釜炊きの時間を見定め、「油」を完全にけん化してしまう。

一方、手作り石けんはけん化率90%なり95%なりで石けんに油を残すのです。 乾燥肌に悩み、全身にクリーム塗りたくても、全身まんべんなく毎日塗るなんて、ほぼ不可能。しかし手作り石けんを使えば体を洗うだけで保湿が完了。

さらに釜炊きけん化法では塩析で一部抜く天然グリセリンは、コールドプロセス法では石けんの中に大量に残っている。グリセリンは空気中の水分を集める性質があり、コスメでも保湿材料として幅広く使われているポピュラーな素材。

油分+グリセリン効果で泡立ちはあくまでもまろやか。洗い心地はマイルドで洗い上がりはしっとり。

市販の中和法の石けんやリキッドソープではグリセリンは含まれていないことが多く、敏感な人、肌の弱い人はことのほかこの違いに気が付くみたいで、「これ、いいね!」の声には実感がこもっている。

 

コールドプロセス法の石けんの取り扱い

  • 市販のマルセイユ石けんと同じく、合成化学成分の入ったボディソープなどと比べると、泡立ちはあまり良くない。
    ボディタオルなり泡立てネットを使うと泡立ちます。新鮮な石けんのみずみずしい泡と、カッチカチの市販の石けんの泡の差は歴然。
  • 溶けやすいため、ソープディッシュを使う、使い終わったらお風呂場から出した方が気持ちよく使えます。
  • 石けんの中に油分が含まれるということは、油は酸化するとの背中合わせです。
    オリーブ油はビタミンEが入っているので、保存のききやすい油です。しかし永遠ではない。
    酸化が進むと、石けんにブラウンスポットが現れ、使うと酸化臭がするようになる。
    もっとも、石けんとして使えないことはないため、顔や体に使うことに抵抗があるなら台所用、部分洗い用にも使える。油が油を落とすので、襟・袖汚れがよく落ちます。色ものなど、漂白剤が使えないものの洗濯の時など、重宝します。
  • そして石けんは作ってから概ね4週間程度で使えるようになりますが、さらに時間が進むとアルカリが落ち着き、より一層洗い心地がマイルドになる。
    「熟成」といいます。作って半年たってからが一番の使いごろ、という人もいます。
  • 酸化させずに熟成させたいなら、石けんと石けんの間を空けて、風通しの良い、直射日光のあたらない場所で保管します。
    ビニールやセロファンで包むのは×。
  • 作ってどのくらい持つのか、使えるのかは、石けんの置かれたコンディションによるところが多いので、ひと口に「〇カ月」と言えない。

と微妙なポイントが多々あるため、コールドプロセス法で作られた石けんは、大量に市場に出回ることはまずありません。

 

 

人のお肌はそれぞれだから。

オリーブ油はオレイン酸が豊富で、保湿材料としてコスメによく使われる。どちらかといえば乾燥肌向き。

さっぱりした洗い上がりを求める人には好みがわかれるかも。

手づくり石けんでさっぱり系なら、ごま油、米油をメインにした石けんを使います。

 

マルセイユ石けんの製作、承ります。

とどこまでも市販の石けんにないユニークで見逃せない性質をいくつも持っているコールドプロセス法の石けんですが、性質ゆえに店頭で見かけることはまずない。 愛好家は自分で作っています。

よろしければ、マルセイユ石けんの製作、承ります。オーダーを受けてから作りますから、お届けまで1カ月程度かかります。出来上がりは600グラム前後。お気軽にお問合せフォームから連絡ください。

 

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(出来上がったコールドプロセス製法のマルセイユ石けんです。600グラム前後で、石けん9個になりました)

 

ちなみに手作り石けんに目覚め、作り続けてキャリアは6年。洗濯の粉石けん、洗顔石けん、ボディソープ、シャンプーの類は買わずに済んでます。

個人的な使用感ですが、超おすすめ!肌はもともと弱くはないので、劇的な変化はなかったのですが、髪はわかりました!使い続けたら、くせ毛が改善し、枝毛が激減しました!

 

handmadesoap.hatenablog.com

 

 

 

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*1:マルセイユ石鹸製造者協会(AFSM) ではプロバンス・アルプ・コートダジュール地域圏の製造者による製品の認証を主張。一方、マルセイユ石鹸業者連合(UPSM) はマルセイユ市のあるブッシュデュローヌ県内の業者が〇フランスのマルセイユかマルセイユ地方での製造〇ショードロン(大釜)を用い、釜炊きけん化法での製造〇植物油のみを使用 すること〇合成香料・着色料・防腐剤・加工補助剤の未使用こそが「マルセイユ石けん」だと。さらに 2017年、フランスマルセイユ石鹸メーカー協会(ASDMF)ではナント市(マルセイユから遠く離れた大西洋岸の都市)の業者が中心になって科学的製法を基準にした認証を新たに申請。マルセイユで作らなくたってクオリティを保てればいいじゃないか!ってことですかね。