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【画像100枚】イングリット・バーグマンの映画をおすすめ順に並べてみる。作品のみどころ、生涯など。

イングリッド・バーグマン( Ingrid Bergman 1915-1982)。20世紀の映画世界において、ひときわ清々しくきらめく光を放つ輝く北欧の星。

Ingrid Bergman

 

何が新しかったのか。まずはその清楚かつ侵すべからざる美貌。それも極致。自然体かつ健康な女の美しさ。当時のハリウッドでは、女優は美しくあるために、過度のメイクアップ・整形・矯正は当たり前。しかし、バーグマンは、いっさい受け付けず、眉毛の一本も抜かず映画の大画面に登場した・登場できた女優です。

Ingrid Bergman

正統派の美人女優であり、理知的であり、柔和であり情感豊かであり、恋に燃え上がりながらもその美は押しつけがましくなく、女らしさ満載ながらセックスアピールを売りとしていない。「聖女」とも称された。男性より女性に好かれそう。

身長が173cm(公称)と長身で、肩幅が大きく堂々たる体躯(イングリット本人はチョコレートとアイスクリームに目がなかったとのこと)。かの昭和の文豪、池波正太郎は「たくましい肉体」と一刀両断・快刀乱麻。の織りなす圧倒的な存在感!

Ingrid Bergman

おすすめ映画を写真・画像とともに。エピソードも一緒に。

 

カサブランカ(Casablanca 1942)

Ingrid Bergman

ハリウッド映画の古典の中の古典、傑作中の傑作、名画の中の名画。ラブストーリー。メロドラマ。20世紀を代表する俳優と女優、ハンフリー・ボガードとイングリット・バーグマン、2人大スターの磁力がこの映画に永遠の命を与えた。物語も名言も名シーンもみな一般常識の域に達している。

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あらすじ

第二次世界大戦下、モロッコのカサブランカ(当時はフランス領)に反ナチ活動家夫妻がやってくる。リック(ハンフリー・ボガード)の店を訪れる夫妻(妻イルザがバーグマン)。再会し、固まる2人。二人はパリ陥落の頃、愛し合った仲だった。亡命し、抵抗活動を続けるためには、ビザが必要。イルザは単身、リックの元を訪れ、ビサを譲ってくれと頼むが、リックは応じない。しかし結局、リックは、自分たち3人の運命よりも連合国の勝利を優先させ、ナチスドイツの捜索と現地カサブランカ警察をかわし、自分とイルザが逃亡すると見せかけて夫妻がアメリカへと飛び立つ手助けをし、自身はトレンチコートの襟を立て、背中に男の哀愁を漂わせ、霧の空港から去っていく。

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みどころ

ハンフリー・ボガード

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ハンフリー・ボガードといえばハードボイルドの象徴。タフかつニヒルなダンディズム。眼光鋭い暗黒街の男。トレンチコート、ソフト帽、タバコ。リックが経営するのはカジノと酒場。店には怪しげな客その他が常に出入りし、無法者・ならず者の香り。冷酷で、有能。ラストシーンでは拳銃も撃つ。それでいて実はスペインの内乱で戦った過去を持ち、最後には反ナチの英雄夫妻の命を救うヒューマニストでもある。強面だが、さほど2枚目ではないはずなんだが、なぜかとてもモテる。(何てったって映画中、バーグマンが愛する男!)女を愛しながらも身を引き、恋敵に女を譲り、自らはレジスタンスに身を投じるかっこよすぎる映画の幕切れ。やせ我慢の究極の教科書みたいな美学。すべてこの映画にあり。

イングリット・バーグマン

Ingrid Bergman

出演当時、27歳。この映画で頂点を極めた。理知的で清楚なヒロイン、宝石のような美しさ、潤んだ瞳。この世のものとは思えない。この世の中でこんなに美しい人がいるのだろうか。と呆然としてしまう。なのに息づかいの感じられる。リアリティがある。色でいえば、純白。それもかすかに輝き、なお温かみすらあるかの如くの新雪のような。が、終生変わらず貫かれたイングリット・バーグマンの素質であり、個性でありました。

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役柄・設定は、レジスタンスの妻ですから、民族の誇りと自由のため闘う強さを持つ。パリで夫と別れ、夫は死んだ。ボガードとの恋に身を焦がすが、実は夫は生きていた。義務からは逃れられない。カサブランカでボギーと再会し、夫を救うために奔走し、夫と真に愛する男性と民族自立の大儀の間に翻弄され、かつ行動する強靭さ。と正統派ヒロインの鉄板にふさわしい。

バーグマンは、美貌ももちろんですが、演技力もデビュー以来、高い評価を受けており、見せ場満載!

「時の過ぎゆくままに」は不滅のテーマ曲

Ingrid Bergman

主役2人の出会いと別れを象徴するシーンに流れるセンチメンタルかつロマンチックなピアノのバラード、「時の過ぎゆくままに」(アズ・タイム・ゴーズ・バイ As Time Goes By)は映画「オズの魔法使い」(The Wizard of Oz 1939)中の「虹の彼方に」(Over The Rainbow)と並ぶアメリカ映画主題歌の双璧。実はもともとは別の映画で使われていた曲。しかし21世紀の今、アズ・タイム・ゴーズ・バイ=カサブランカ。が世界の常識。

 

As Time Goes By (1931) Herman Hupfeld

<歌詞>

You must remember this
A kiss is just a kiss,
a sigh is just a sigh.
The fundamental things apply
As time goes by.

 

And when two lovers woo
They still say, "I love you."
On that you can rely
No matter what the future brings
As time goes by.

 

Moonlight and love songs Never out of date.
Hearts full of passion Jealousy and hate.
Woman needs man And man must have his mate
That no one can deny.

 

It's still the same old story
A fight for love and glory
A case of do or die.
The world will always welcome lovers
As time goes by.

 

<和訳>

キスはキス  ため息はため息  恋人たちは「愛してる」とささやく
月光とラブソング  情熱と嫉妬と憎しみ  女は男を求め男は女を求める
栄光と愛への戦い 生きるか死ぬか 世界は恋人たちを受け入れる。
時代を超えて。いくら時が流れたとしても。

 

脇役のカサブランカ警察署長(クロード・レインズ)は抜群のキャラクター

Ingrid Bergman

カサブランカはフランス領、しかしドイツによりフランスは陥落。カサブランカの警察署長はフランス人だがドイツの命令を聞かねばならぬ。心境複雑。ビザを出すのにワイロも取るが、映画ラストのテンポの速い華麗などんでん返し。イルサを逃がすためナチス高官を撃ったリックをかばい、見逃し、亡命させる任侠も併せ持つ。映画のカナメを担う重要なキャラクター。

 

名セリフ

Ingrid Bergman

どれも定番中の定番です。

  • 「昨日なにしてたの?」「そんな昔のことは覚えていない」「今夜会える?」「そんな先のことは分からない」
    Where were you last night? That's so long ago. I don't remember. Will I see you tonight? I never make plans that for ahead.
    ボギーが女につれなくしているセリフ。ハードボイルドの男は素っ気ないのです。女に冷たいのです。女が悲しい顔をしても知らんふりなのです。なのになぜか、高確率でまわりに美人が複数存在するのが不思議です。ボギーはエロキューション、中~低音で、本人ボソっとつぶやいてるつもりなんだがキチンと通る声、やや早いせりふ回しに特徴があるので、吹き替えもいいけど、ぜひ字幕で、ボギーの声、聞いてみてください。

    Ingrid Bergman

  • 「弾いてサム。『時の過ぎ行くままに』を」
    Play it, Sam. Play 'As Time Goes By.
    バーグマンがピアニストのサムを見つめ、頼むのです。バーグマンのゆっくりめのウィスパーヴォイスもぜひ字幕版で味わって!ちなみに続きは「あの曲は忘れました」「こうよ。」とバーグマンは「ラライラライラライ、ラライラライラライ…」と一節歌う。(注:ココも絶対字幕版で生の声を聞くべき!)やむなく(サムはリックに「時の過ぎ行くままに」はバーグマンを思い出すから絶対弾くなと言われていた)ピアノを弾き、歌い始める。
    歌がサビに達せんとしたまさにその時!封印されたはずの歌を聞きつけ、ボギーは血相を変えて飛んでくる。「その歌は弾くなと言ったろう」…で、バーァァァァ~ン………と効果音が流れ。リックとイルザは運命の再開を果たすのです。

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  • 「世界に星の数ほど店はあるのに彼女はおれの店に…」
    Of all the gin joints in all the towns in all the world, she walks into mine.
    リックの店でリックとイルザは出会う。イルザは夫と一緒だった。忘れ難く断ち切りがたい思い出。思い出がフラッシュバックする。否応なしに胸はかきむしられる。誰もいない閉まった酒場、片手はこぶし、片手はグラス、酒場のテーブルに猫背気味に一人座り、呆然とつぶやく。

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  • 「君の瞳に乾杯!」
    Here's looking at you,kid
    戦時下のパリ。出会った二人。2人がグラスを合わせ、乾杯の音頭。原語には「瞳」の言葉が入っていない。公開当初、字幕は意訳で「君の瞳に乾杯!」とし、意訳が決定版となってしまい、もはや直訳「君に乾杯」では誰も納得しない。バーグマンの星のごときにきらめく瞳に捧げたくなる気持ちはわかる。そしてハードボイルドの男が、この手の言葉をサラっとキザに口に出せるのが素晴らしい。キマりすぎているのがまた素晴らしい。伊集院静さんみたい。世の男性に申し上げさせていただけば、モテたいなら、見かけだけじゃやっぱり片手落ち。中身もどうか、磨いてくださいませ。そして女の心を射抜く言葉を照れずに決めて。
    「君の瞳に乾杯!」は映画中、要所要所で繰り返し、出てきます。

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  • 「君と幸せだったパリの思い出があるさ」
    We'll always have Paris.
    手に汗握る飛行場のラストシーン、リックと一緒に旅立つのだと思っていたイルザ。しかし夫とともに飛行機に乗るのだとの思いがけない展開。しかし急すぎる事態でも美女は取り乱さない。あくまでも美しく「あなたは!?」私たちをかばい、逃がせば自分の身も危ういというのに。(←自分の身を投げ出しても真に愛する女性と大義を守り抜くことこそがハードボイルドの神髄)思い出だけでは生きていけないはずです。なのに。自分は行かない。ハードボイルドって、ロマンチストなんですよ。そしてセンチメンタリスト。映画の冒頭近く、クロード・レインズ扮するカサブランカ警察署長は、はしなくもリックの本質を見抜き「君はセンチメンタリストだから」とのセリフが、実証されている。

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  • 「ルイ、これが美しい友情の始まりだな」
    Louis, I think this is the beginning of a beautiful friendship.
    映画の最後の決めセリフです。 イルザは旅立ち、追うドイツ軍将校に銃口を向け、撃つボギー。カサブランカの警察署長の目の前でドイツ軍将校を撃ったのですから、即現行犯逮捕、のはずですが。ルノー署長は、リックを見逃す。亡命先を示唆する。自分も一緒に行くと言う。で、ボギーのこのセリフが出る。
    「beginning(ビギニング)」と「beautiful(ビューティフル)」のエロキューションが、ちょっと皮肉っぽくもカッコよく。一時代を築いた男の美学、ここに極まれり。

 

名シーン

Ingrid Bergman

名言・名セリフとかぶるシーンもあります。悪しからず。

  • リックが女につれなくしているシーン
    (「そんな昔のことは覚えていない」「そんな先のことは分からない」は「タフでなけでば生きていけない。優しくなければ生きている資格はない」の言葉とともにハードボイルドの両輪。双輪です。)
  • バーグマン扮するイルザの初登場のシーン
    (現れただけで美しさに絶句。神話の始まりです。)
  • リックとイルザのパリの思い出のシーンや乾杯のシーン
    (二人とも表情が柔らかい、過ぎ去った甘い恋の記憶)
  • 一緒にパリを脱出しようと約束したのに、イルザは来ない。 別れの手紙が雨にぬれ、文字消えていくシーン
    (愛の終わりと、心は土砂降りのリックの心境を象徴している)

    (イルザの手紙)

    Richard,
    I cannot go with you or ever see you again.
    You must not ask why.
    Just believe that I love you. Go,
    my darling, and God bless you.
    Ilsa.

     

    Ingrid Bergman

  • リックが出国ビザの費用のため、ブルガリア人夫妻にルーレットで勝たせてあげるシーン
    (実はは愛国心に富むリックの内面とひと肌脱いであげる優しさが浮かび上がる)
  • イルザが単身リックの元に現れ、ビザを渡さないと撃つ。とリックに拳銃も向ける。続いて涙し、本当に愛しているのはあなただと告げ、続くリックとイルザのキスシーン。
    (ラブロマンスにラブシーンは必要不可欠)
  • リックの店でドイツ国家が歌われている。イルザの夫、ラズロが「ラ・マルセイエーズ」を歌い、皆が立ち上がり、フランス国家を斉唱するシーン
    (戦意高揚映画ですから)
  • イルザとラズロは旅立ち、追うナチスの将校を撃ち殺し、霧の中へ残った男二人は消えていく飛行場でのラストシーン
    (もつれにもつれた糸が一挙にほどけ、物語は大団円でエンドロールへと)

 

撮影エピソード

Ingrid Bergman

映画「カサブランカ」はハリウッド映画に燦然と君臨する大スタンダード。クラシック。古典。しかしですね、撮影時のエピソードを聞けば聞くほど、空いた口がふさがらない。いい加減。行き当たりばったり。

  • まず設定に無理がある。(亡命するならアフリカルート以外が一般的、女連れの(しかも衣装を次々変える)反ナチスドイツの亡命者などいるのか、等々)。
  • 撮影が始まっても脚本が出来ていないため、進まない。カメラの前で演技はしても、どのシチュエーションで演じる役柄が何なのかわからないままに動かされる。映画のラストはラズロが死んでリックとイルザが2人旅立つ、とリックが残り、ラズロとイルザが旅立つ、など何種類もあり、どっちを取るかでもめて、決まったのは撮影後。つまりボギーもバーグマンも、映画の幕切れを、物語の行方を知らないままで演技していたという信じられない真実。

    Ingrid Bergman

  • バーグマン自身も、訳もわからないままに演技させられていたため、手ごたえがなく、仕事的には後味は悪かった。客観的にはバーグマンの不動のNo.1の映画でありながら、本人はまったくこの映画に執着していなかったとのことです。
  • カサブランカのクレジットの順番はハンフリー・ボガード、イングリット・バーグマン、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ。4人とも一時代を築いたスターです。そして監督はマイケル・カーティス(Michael Curtiz, 1888-1962)。娯楽作を多く手掛けた監督。つまり映画「カサブランカ」はキャストは豪華ながら低予算の映画。さっさと撮って元が取れれば御の字…。のはずが。大大大大ヒットに加えて歴史の殿堂入り。わからないものです。ボギーとバーグマンだったから。としか説明がつかない。
  • バーグマンの演技は、美貌と同じく正統派である。言葉をかえれば大上段に構え、軽妙さに欠ける。なので相手役の男優も、強靭で、強烈すぎる個性を持っていないと釣り合わないのです。後にあげていく映画のラインナップを見ていけば、納得していただけるはずです。

 

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後世への影響

所かまわずにくゆらすタバコは今の時代には合わなくなってしまった。しかし、トレンチコートの襟を立てたら。男性が帽子を斜めにかぶったら。ぶっきらぼうな物言いをすれば。すなわちハンフリー・ボガードを意識していると見て間違いない。

有名どころでは

  • ジャン=リュック・ゴダール監督の映画「勝手にしやがれ」(À bout de souffle 1959)なんか、主人公は映画冒頭からボギー気取りだし、
  • ウッディ・アレン監督の映画、「ボギー!俺も男だ」(Play It Again, Sam 1972)などもタイトルからしてオマージュである。
  • 最近だと映画「ラ・ラ・ランド」(La La Land 2016)。ハリウッド黄金期の映画のパクリともオマージュとも取れるシーンが満載で、当然「カサブランカ」を意識したシーンも見受けられ、ノスタルジックな雰囲気は盛り上がる。
  • 日本だと、昭和の大歌手、沢田研二ですね。 「勝手にしやがれ」 「カサブランカ・ダンディ」。 帽子を投げ捨てたり、「ボギー、ボギー」と歌の中、呼びかけたり。

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ハンフリー・ボガードことボギーは男の中の男で、男性の憧れ。 で、ハンフリー・ボガードが愛した映画「カサブランカ」のイングリット・バーグマンは、永遠。なのです。

 

汚名(Notorious 1946)

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サスペンス映画の巨匠、アルフレッド・ヒッチコック監督(Sir Alfred Hitchcock 1899-1980)とハリウッドのソフィスティケーテッド・ダンディーの第一人者、ケーリー・グラント(Cary Grant 1904-1986)、出る映画出る映画、必ずその都度主役を食ってしまわんばかりのクロード・レインズ(Claude Rains 1889-1967)とバーグマンががっぷり4つに組んだ骨太の堂々たる歴史に残る映画。

みどころ・おすすめポイント

ヒロイン、アリシアは超絶最高

Ingrid Bergman

楚々としたヒロイン然の「カサブランカ」のイルザより断然、私好みだわ~。気性が激しく、情熱的。スパイの娘。父親は収監され、自殺した。男と酒に溺れる日々。つまりイルザ+翳り。しかし奥底には愛国心がある。昔、彼女に求愛した男の身辺に怪しい動きがある。探らせるため、諜報員はアリシアとともに任務に向かうが、二人は愛し合うようになる。

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男を愛しながらも、任務のために偵察先の男の妻となる。愛する女を別の男のベッドに送り込む諜報部員。愛する女がスパイであったことを知る男の苦悩。毒は密かにもられ、弱っていくヒロインの運命やいかに!?

有名なシーン

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  • 公開当時の宣伝コピーに名高い「歴史上一番長いキス」。当時、3秒以上のキスはスクリーンではご法度だった。3秒以内ならいいんだな。とばかりにケーリー・グラントとイングリット・バーグマンはキスしては離れ、またキスしては離れ…を延々繰り返し、観客はあっけにとられ、まだキスしてる、まだ続く…まだまだ続く…。つまりイルザ+翳り+積極的!最強です!
  • ハイウェイを飛ばすアリシアの酔っ払いぶりの腹の座っていること。(注:飲酒運転は犯罪です。皆さまは決して絶対やらないでください)

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  • アリシアは恋に身を焦がす激しい女性でありながら理知的。しっとりとした感情表現、エロティシズム。流れるような体の動きの美しさ。加え天性の美貌。生涯イングリット・バーグマンを大女優たらしめた要素が閃光放ちまくりです!スパークしっぱなしです!

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  • 狙った男を(任務で)落とすイングリット・バーグマンの色仕掛けたるや、見ているだけでクラクラしてしまう。(ヒッチコック美人ですもの♪)あでやかさたるや、上に書いた純白は、この映画に限っては真紅の蘭の花に変更させていただきたい。夫役のクロード・レインズは、泣かせる悪役です。良いんですよ~。「僕は、アメリカのスパイと結婚したんです」と母親に告白するシーンには、思わず感情移入せずにいられない。

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    トリュフォー:(クロード・レインズが)小男であること。長身のイングリット・バーグマンよりもずっと背の低い男であること…(中略)自分よりもずっと背の高い女に恋をする小さい男というのは、それだけですでに感動的です。
    ヒッチコック:彼はひとを信頼し、その信頼が裏切られてしまうという役だし、そして、おそらくはケーリー・グラントよりも深くイングリット・バーグマンを愛している。
                  「ヒッチコック映画術」より
  • 有名な「鍵」のシーン。夫は館の鍵のうち、一つだけ、どうしても渡さない。目を盗んで抜き取った。パーティーの夜。カメラはお屋敷の吹き抜けの最上階からゆっくりと降りてくる。最後にバーグマンの手の中の鍵をクローズアップ。この間30秒あまりをワンショットで撮っている。さすがヒッチコック!と絶賛を浴び、映画的技巧を駆使したシーンとして超有名!

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    アラブ人にはピーナッツの皮をむかせる余裕を与えず、
    イタリア人にはたばこに火をつける余裕を与えず、
    フランス人にはとなりの席の女の子に手を出す余裕を与えず、
    スウェーデン人には二列にまたがってセックスする余裕を与えない。
              フランソワ・トリュフォー(François Truffaut、1932-1984 フランスの映画監督)

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    息を持つかせぬ展開。映画の始まりから終わりまで目が離せない。偉大なる職人。ヒッチコックタッチですから♪

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  • この映画の衣装担当はイーディス・ヘッド(Edith Head 1897-1981)。
    毛皮や宝石で女優を飾りたてるくらいしかアイディアのないトップに逆らい、冒頭、白と黒のゼブラ柄のお腹の見えるブラウスでバーグマンが登場すると、着るものには無関心な男性までもが、では次は何を着て出てくるのかと目をこらす。
    カッチリしたスーツが多い。帽子はシンプルだったり黒のレースをあしらったり。スーツの下のブラウスは黒無地の幅広ボウタイ、ストライプのやや幅狭ボウタイ、ハイネック、襟元に白の縁取りをしたもの。またはジャケットの立ち襟のみチェックをあしらったりする。帽子を付けないスーツ姿もアリ。乗馬服もありました。

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    クロード・レインズを悩殺!?するのは白のドレス。クライマックスシーンはシンプルな黒のベルベットのドレス。
    彫刻のような美しさのバーグマンの美しさは上記のシンプルな衣装で一層引き立ち、野暮なトップたちも思わずうなったとか。

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    イーディス・ヘッドの黄金時代はこの映画で切って落とされた。この後、グレース・ケリー、オードリー・ヘップバーンの衣装などを手掛け「ハリウッドのドレスドクター」と称され不動の地位を築いた。

 

個人的には、「カサブランカ」と「汚名」、どっちが先でどっちを後にするか。悩ましすぎる。…世間的には、①カサブランカ②汚名です。

 

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【コラム①】イングリット・バーグマンはタフ。

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バーグマンはその死・晩年こそ、少し早すぎた気はするものの(乳がん。8年間の闘病の末67才の誕生日に死去)生涯、第一線に立ち、生前に望んだ墓碑名のとおり、「人生の最後の日まで演技し続けた」。

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国際スターの座は、ストレスも重圧も半端なかったはず。マリリン・モンロー(Marilyn Monroe 1926-1962)はオスカーと赤ちゃんが欲しかった。でもどちらも手に入らず、36才で睡眠薬の飲みすぎで世を去った。ヴィヴィアン・リー(Vivien Leigh 1913-1967)はは妊娠したが流産に終わった。結核と双極性障害に苦しめられ、53才で一人さびしく死んでいった。

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一方、バーグマンは、軽々と4人の子どもを産み育て、がんの闘病の傍ら次々と舞台に立つ。映画に出演し、賞をさらう。この差はいったい、何なのだ。

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乳がんとわかるその日まで、圧倒的に健康で、生涯通じて正統派で、優等生である。潰れない。崩れない。タウネスぶりはまさに太陽のよう。ブラックホールのように巨大だ。

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周りがバーグマンをほっておかない。プロデューサーの、監督の望む、あるいはそれ以上の結果を出す。「金の卵を産む鵞鳥」の言葉がこれほどふさわしい人はいないのではないかと。

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汲めども尽きぬ才能があり、感受性に富み、知的であり、そして男性が、女性が憧れる理想の女性の極致の一つであった。

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生まれはスウェーデン。両親を早くに亡くし、孤独な少女時代をすごす。王立演劇学校に入学し、在学中から映画出演を始め、人気女優となる。ハリウッドに呼ばれ、瞬く間にトップに上り詰め、不倫の恋によりいったんはハリウッドを追放されるが、復帰。国際スターとして死の4カ月前まで、現役だった。

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誰が為に鐘は鳴る (For Whom the Bell Tolls 1943)

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原作は文豪アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway、1899-1961)の大長編小説。舞台はスペイン山中。スペイン内戦時、アメリカ人志願兵とゲリラのスペイン娘とのたった4日間の極限状態の恋。をゲーリー・クーパー(Gary Cooper 1901-1961)とイングリット・バーグマンが演じる。

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ゲリラといっても、バーグマンが敵を襲うとかではなく、もとは市長の娘。両親を殺され、兵士たちに凌辱され、ブロンドの髪は刈り上げられ、素顔かつ小麦色に日焼けしている。衣装もパルチザンですから、Tシャツとズボン姿くらいしかない。その意味目の保養にはならない。

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生きるか死ぬかの野戦地の恋のはずなのに、クーパーとバーグマンのからむシーンは、良くいえばロマンティック、悪く言えばリアリティやぎりぎり瀬戸際感に欠ける。

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しかしスペインの大自然の山々をバックに、バーグマンのダイナミックな肢体とギリシャ彫刻さながらの顔を、修正・追加なし、そして当時はまだ少数派だったカラー大画面で見つめることができた。

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「ヘミングウェイ」「カラー映画」「クーパー」「バーグマン」と4拍子揃った映画であり、哀しい過去を持つ初々しくも激しい少女の演技は、バーグマンの代表作の1つとして名高い。 有名なシーン、セリフはバーグマンがクーパーに言う 「キスするとき鼻は邪魔にならないの?」です。

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ガス燈(Gaslight 1944)

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バーグマンの演技は正統派のコスチューム・プレイに映える。19世紀後半の霧のロンドン。夫が外出するとガス燈が暗くなる。そして館のどこからか不気味な物音が聞こえてくる。

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夫は、「君は神経が弱いから」と事あるごとに繰り返す。ブローチがなくなる。家の絵がなくなる。夫の懐中時計がなくなる。夫はお前がやったのだろうと責め続ける。君は病気だから。と聞かされ続け、自分は狂っているのではないかとさいなまれ、次第に追い詰められていくヒロイン…。

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と、舞台設定がクラシックでイングリット・バーグマンの巧みで精緻な表情表現の見せ場が満載。小さなエピソードが積み重ねられていき、ひたひたと寄せてくる恐怖に動転し、恐れおののくバーグマンは美しくも切なく、演技と美貌に引き込まれる。

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最後に謎は解き明かされ、夫が自分をだましていたこと、自分を愛していたのではない。己の目的(ダイヤモンド)のためだけに自分に近づき、自分を狂わせようとしたことを知り、激情が一気にほとばしる演技も、まさに所を得るとの言葉にふさわしく、バーグマン向きの役でありました。

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原作は舞台。心理劇、サスペンスに分類される。夫役はフランスでスターの地位を確立し、ハリウッドに進出し、この映画で名声を確固とした美男スター、シャルル・ボワイエ(Charles Boyer 1899-1978)。

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窮地のバーグマンを救い出すのは映画「第三の男」(The Third Man 1949)のジョゼフ・コットン(Joseph Cotten 1905-1994)。アカデミー主演女優賞獲得。

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凱旋門(Arch of Triumph 1948)

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正直言って映画の出来そのものはたいしたことはない。しかし原作が「西部戦線異常なし」のレマルクで、舞台が第二次世界大戦直前のパリでバーグマンの麗しの歌姫の姿を見ることができて、悲恋もので運命に翻弄され、恋人たちは愛し合いながらも引き裂かれ、ヒロインは死んでしまう。

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の悲劇でシチュエーションは悪くないし、バーグマンの全盛期の演技も美貌をじっくり鑑賞できる。という意味で推します。バーグマンの出演映画で、鑑賞できない・見つけられない作品もあるので、動くバーグマンを目にできるだけでありがたいとせねば。

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聖メリーの鐘(The Bells of St. Mary's 1945)

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この映画なんか見つけにくいです。しかし。イングリット・バーグマン主演でアメリカで最も稼いだ映画はこれ。のはずなのにバイオグラフィーに取り上げられることが少ない。不思議です。バーグマンが尼僧役だからかしら。シスター・ベネディクト。

映画はハートウォーミング。ヒューマン・コメディ映画「我が道を往く」(Going My Way 1944)の続編で、「我が道を往く」は大歌手、ビング・クロスビー(Bing Crosby 1903-1977)を大スターに押し上げ、また映画の完成度も高く(若い牧師がノンシャラン・ヌーボーと現れ、先輩牧師や地域の住民や子どもたちの心をつかみ、いつの間しか下町の教会を再建し、さながら「男はつらいよ」の寅さんのように去っていく)、その年のアカデミー賞7部門を獲得した名作。

の、老若男女問わず楽しめる映画の続編として、公開当時、大ヒットした。

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神に仕え、道を説き、しとやかに主人公を支え、別れに思わず流れる涙をそっとふく。…つまり大衆にとって、イングリット・バーグマンのイメージは清潔・誠実。この映画をもって決定的となり、固まってしまった。繰り返しますが、良い映画です。バーグマン、この映画の中で1曲、歌ってます!スウェーデンの民謡、「It's Spring」。

 

別離(Intermezzo: A Love Story 1939)

Ingrid Bergman

バーグマンのハリウッドデビュー作。スウェーデン映画「別離(ただし「間奏曲」の題名で公開)」にハリウッドの大プロデューサー、デヴィッド・O・セルズニック(David O. Selznick 1902-1965)が目を付け、バーグマンを呼び、作られた。

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お話は、既婚のバイオリニストと恋に落ちる女流ピアニスト。二人はいつしか愛し合い、演奏会で世界を共に旅する。 二人とも男の妻子への良心の呵責に苦しむが、離れられない。紆余曲折のあと、バーグマンは身を引き、男は家庭へ戻っていく。とメロドラマの王道です。バイオリン・ピアノ・世界旅行がスパイス。当初、アメリカでの契約はこの1作きりだった。バーグマンはスウェーデンに夫と子どもを残して単身赴任。情感あふれる演技で大衆と批評家の心を捉え、かくして「世界のイングリット・バーグマン」への扉は開かれた。

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 【コラム②】3度の結婚と秘めたる恋と子どもたちと。

Ingrid Bergman

結婚は3回。

  • 最初の夫はピーター・リンドストローム。13年続いた。歯科医。22才で結婚。10才近く年上で、孤独に育ったイングリットにとって、包容力のある大人の男性は魅力的だったに違いない。ほどなく娘ピアを授かる。スウェーデンでの結婚。妻が大スターとなり、一家はアメリカに移り住む。しかしすれ違いの生活と結婚後の環境の変化により、夫婦間の溝は深まるばかりだった。バーグマンは離婚を望んだが夫ピーターはとりあわない。

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  • 自叙伝により、ロッセリーニと不倫する前、戦場カメラマン、ロバート・キャパ(Robert Capa 1913-1954)と恋愛関係にあった事実がバーグマン本人から明らかにされています。

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  • 2人目の夫は映画監督、ロベルト・ロッセリーニ。17年続いた。バーグマンはニューヨークの映画館でロッセリーニ監督の「無防備都市」(Roma città aperta 1945)を見て感激し、送った手紙
    親愛なるロッセリーニ様。私はあなたの映画「無防備都市」と「戦火のかなた」をみて大変感動いたしました。もしスウェーデンの女優が必要でしたら、私は出かけて行き、あなたと映画を作る用意があります。私は英語は堪能でドイツ語も忘れてはおりませんが、フランス語は忘れ、イタリア語で知っているのは'"Ti Amo"(愛してます)だけです。
             尊敬を込めて。イングリット・バーグマン

    は有名。ロッセリーニ監督(妻子あり)は申し出を受け、作った映画が「ストロンボリ」。そして息子ロベルティーノが生まれた。聖女・バーグマンのイメージは無残にも地に落ちた。後に双方の離婚が成立し、二人は結婚。双子の娘(イザベラとイゾッタ。イザベラは後に女優)も生まれた。

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    しかしイタリアンネオリアリズムの父と国際スター女優が組んだ映画は皆不発に終わる。もあって夫婦仲は悪化していく。

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  • 3人目の夫はスウェーデンの演劇プロモーター、ラルス・シュミット。10年続いた。失意のロッセリーニは別の女性に走り、バーグマンは3度目の結婚をする。

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    敏腕プロデューサーであり、別れた2人の夫とともに父親的。エピソードはあまり伝わってこない。この方、スウェーデンでは著名な貿易商の一族なんですね。投資に長け、バーグマンの晩年の経済的基盤は安泰だった。
  • 3度の結婚のあと、恋人がいたとも伝わりますが、離婚の翌年に乳がんが見つかる。真相はやぶの中。

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イングリット・バーグマンは大きく、強い。そして負けじ劣らず強い男性を探し求めていた。真面目に。真剣に。

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サラトガ本線(Saratoga Trunk 1943)

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監督がサム・ウッド(Sam Wood 1883-1949)、共演がゲーリー・クーパーなので「誰が為に鐘は鳴る」のトリオが再結集。ヒロインはブルネットで気性が激しく、「汚名」のアリシア系。

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19世紀後半、母の仇を討つためニューオーリンズの港に降り立つパリ仕込みのゴージャスな美人。人間模様が交錯し、復讐を選ぶか愛を選ぶかとストーリーも目まぐるしくかつ華々しく、残されたスチール写真には見ごたえがある。イングリット・バーグマン版「風とともに去りぬ」のスカーレット・オハラと呼びたい。

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出来がパッとしなかったらしく、この映画もバーグマンのバイオグラフィーに埋もれやすい。

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清廉潔白バーグマン、もちろん良いんですが、悪女・ビッチもバーグマンもカッコイイんですよ~。

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何しろ、行動的・アクティブでしょ。体格が立派なので迫力が出る。

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この映画が成功したとしたら、もう少し、後に出演する映画で演じる役も、変わっていたのかもしれません。バーグマン、基本どんな役でも演じられるので。

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でもこの映画のタイプの役は、なぜか後ろに追いやられる。とバーグマン本人も思っていたに違いない。

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ジャンヌ・ダーク(Joan of Arc 1848)

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イングリット・バーグマンはずっと「演じたいのはジャンヌ・ダルク」と熱望しつづけていた。この映画は自らがプロダクションを設立し、製作・主演した超大作。しかし残念というべきか皮肉というべきか、駄作とされている。監督はヴィクター・フレミング(Victor Fleming 1889-1949)。を筆頭にスタッフ・キャストは最高。先立つ舞台のジャンヌ・ダルクは絶賛を浴びていたというのに。

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わたし的には、ジャンヌ・ダルクはたった19才で処刑された女の子とのイメージが強く、バーグマンの美しくも凛々しく堂々たる女騎士ぶりは、…イメージ違うんだな…。しかし飛びぬけた人気と、スターにふさわしい実力を兼ね備えていたバーグマンなら。演技そのものは悪くなかったはずなのに。ミラ・ジョボヴィッチもジャンヌを演じている。タフな大人の女がジャンヌを演じる系譜は、バーグマンに始まったに違いない。

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ストロンボリ(Stromboli 1949)

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イタリア映画。世紀の不倫のさきがけ、と言ってしまっては身もふたもありませんが、当時世界をゆるがしたダブル不倫の末結婚したバーグマンとイタリア映画界のレジェンド、イタリアンネオリアリズムの巨匠、ロベルト・ロッセリーニ監督(Roberto Rossellini 1906-1977)作品。公開当時はスキャンダルも相まって評判はさんざんだった。イタリア時代のバーグマンの出演映画は皆駄作とされている。

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バーグマンの個性と演技はイタリアンネオリアリズムと合わない(そもそもバーグマンがイタリア映画に出始めたころ、既にイタリアン・ネオリアリズムは衰退期に入っていた)。と言われている。でもね。ハリウッド映画のバーグマンがイタリアに渡り、何が変わったのか。画像を見て、国が違い、映画作りのカラーが変わると女優さんはどう変わるのか。を見るだけでも、価値はある。お話そのものも、バーグマンの力強さを活かせる題材だし、色眼鏡なしで見れば。そして「カサブランカ」と「汚名」のバーグマンを頭の中で勝手にこの映画の中でダブらせなければ。見ごたえのあるドラマのはずなんですが…。

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恋多き女(Elena et les Hommes 1956)

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伊・仏合同製作映画。ベルエポックのパリ。恋の都パリ。バーグマンの役どころはポーランドの公爵夫人で未亡人。撮影当時40才前後。美しさは満開、大輪の花が繚乱に咲き誇っているかのよう。優雅な時代。優雅な恋模様が楽しい恋愛喜劇、おとなのお遊び。男たちはみんなバーグマンとバーグマンの小間使いの女の子に夢中になって追っかけとかくれんぼの絢爛たる饗宴で、最後には恋人たちは納まるべくして納まって。

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肩肘はらず、古きよき時代に浸り、どっぷりハマってしまいましょう。

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巨匠ジャン・ルノワール(Jean Renoir  1894-1979)監督作品であり、長くイタリア映画に出演しつづけ、少なくても客観的には停滞期と見られていたバーグマンが夫、ロッセリーニ監督の反対を押し切って出演し、大衆が求めるバーグマンのイメージにピタリはまったキャラクターと晴れやかさ・華やかさでバーグマン、カムバック!を印象付け、スウェーデン時代・ハリウッド時代・イタリア時代に続くインターナショナル時代の幕開けを飾った作品。

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追想(Anastasia 1956)

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原題は「アナスタシア」。ロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世の4女の名前です。惨殺された一家の中、あるいは生き残ったのでは、と後世「私がアナスタシアです」と名乗り出た女性は数知れず…。この映画ではイングランド銀行に眠るロマノフの遺産1,000万ポンドを手にせんと陰謀をめぐらす亡命ロシア貴族がセーヌ川に身投げしようとした記憶喪失の得体のしれない女をアナスタシアに仕立て上げるまでの激しいやりとり、「マイ・フェア・レディ」さながらに、美しく変身し、祖母の大公妃に謁見が叶うシーン…と、バーグマンは持ち前の心理表現で情感豊かにスケール大きく演じ上げる。すこし顔が細くなり、この時40才。いやぁ、やっぱり、綺麗なんですよ~。魅せられてしまうのですよ。ロンドンの王宮、デンマークの王宮と舞台は移り、さて、企ての成就はいかに?バーグマンはこの映画で2度目のアカデミー主演女優賞を取った。ハリウッドを追われたバーグマンのハリウッド映画。アメリカ復帰作。

 

 

まとめ

Ingrid Bergman

バーグマンのバイオグラフィーを見てみますと、正規の演劇の教育は1年あまり。スカウトされてスクリーンデビュー。

Ingrid Bergman

なのに初登場のその日から、ほめられっぱなし。完璧な容姿に負けじ劣らず、演技力と存在感において、圧倒的なパワーを持っていた。もちろん出演作の中には駄作もあれば凡作もある。

Ingrid Bergman

しかしイタリア時代の圧倒的な不調を除けば「演技は的確だが空回りしている」「バーグマンはチャーミングだがこんな作品に出たことに同情する」って具合です。

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もちろん、幼くして孤児となり、3度離婚し、子どもたちとの確執もあった。キャリアに悩んだ時期もあった。でも、乞われて出た美しくも聡明なヒロインたちは絶賛を浴び続け、新たな境地に挑み続けられた幸せきわまる女優人生。

Ingrid Bergman

 

神様って、不公平ですよねえ。どうして持つ者と持たざる者がいるんだろう。

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でも。イングリット・バーグマンに限って言えば。イルザとアリシアに免じ、「神様の不公平さに乾杯!」させていただきましょう。私たち。

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(ストックホルム北霊園のバーグマンのお墓。)

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